サイエンス・フィクション
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2007年には早川書房の「リアル・フィクション」が刊行終了したが、その後も第7回小松左京賞最終候補の円城塔伊藤計劃が相次いで早川書房からデビューし、SFジャンルの内外を問わず活躍した[注釈 2]

2009年になると、新人発掘の場であった日本SF新人賞小松左京賞が共に休止(事実上の終了)となったが、同年には創元SF短編賞が始まり、ここからはデビュー作『盤上の夜』で第147回直木賞候補となった宮内悠介らが輩出している。2013年にはハヤカワSFコンテストが長編新人賞として復活する。また、『年刊日本SF傑作選』(2008年-)、『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』(2009年-、全10巻)といった短編アンソロジーの刊行も始まり、若手・新人作家に発表の場を提供している。

2000年代後半にはアヴァン・ポップの潮流も開花し、円城塔・樺山三英(2007年デビュー)といった前衛的SF作家がデビューしたほか、シオドア・スタージョンの小説に代表される翻訳SFの『奇想コレクション』(2003年-)や『未来の文学』(2004年-)が刊行されるなかで、日本作家による新たな文学叢書『想像力の文学』(2009年-)も生まれた。また評論家の東浩紀のSF小説『クォンタム・ファミリーズ』(2009年)が三島由紀夫賞を受賞、円城塔が「道化師の蝶」(2012年)で芥川賞を受賞するなどした。

また、2009年には、日本SFの英訳シリーズ「Haikasoru」の刊行がアメリカで開始され、ここから刊行された伊藤計劃『ハーモニー』英訳版は2011年のフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した。また、福岡を本拠とする黒田藩プレスからも日本SFの英訳が刊行されるなど、英語圏における日本SF紹介活動が続いている。

雑誌媒体では、2011年には『SF Japan』が休刊となり[36]、SF専門誌はふたたび『S-Fマガジン』1誌のみとなった。その一方で2010年代からは、黒田藩プレスのホラー専門誌『ナイトランド』や電子雑誌『月刊アレ!』(2011-2013)のように、SF専門誌ではない文芸誌で国内外のSF作品・作家を積極的に取り上げたり、特集が組まれるケースも見られるようになっている。

小説以外の分野に目を向けると、SF的な要素を設定に取り込んだアニメはひきつづき多数製作され、2000年代後半には拡張現実を取り扱った『電脳コイル』(2007)や、夢枕獏のSFをリスペクトした『天元突破グレンラガン』(2007)、『時をかける少女』の細田守による『サマーウォーズ』(2009)といったSFアニメが登場した。
道具立ての変遷

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年7月)
NASA火星探査機ローバー

SFの道具立て(ガジェット)は、科学技術の進歩に伴って変遷する。

かつて現実味を持ちえた「もしも火星に知的生命体がいたら」などの仮定は、天体観測技術の発展・さらには火星探査機での調査により科学的には否定され、ファンタジーやパロディ的作品の設定として利用するか、その仮定を成立させるためのバックグラウンドの構築をともなうことでしか成立しなくなった。

逆に、手塚治虫らがSF的設定として描いた「人間の接近を感知して自動的に開閉する扉」は、現代では自動ドアとして日常的になっており、未来技術を演出するSFの小道具ではなくなった。どこにいても発着信・通話が可能な携帯電話などもまた然りである。また、コンピュータの進歩によってサイバースペースAIを小道具に使ったり、バイオテクノロジーナノテクノロジーなどの最新の研究やその発想を押し進めたSFも書かれている。

その一方で、タイムマシン超光速航法超光速通信反重力などの架空の技術は、考案された当初は様々な架空理論による理論づけがされたが、現在では特別な架空理論を伴わずに、物語開始の時点で既に技術が確立され汎用化しているという前提をもって作品中で使用されることも多い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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