ウェルズやヴェルヌに影響を受けた作家として、アーサー・コナン・ドイルがいる。彼は、シャーロック・ホームズシリーズなどの推理小説以外にも、チャレンジャー教授を主人公とした『失われた世界』(1912年)や『毒ガス帯』(1913年)などのSFも書いた。死去する前年の1929年に発表された海洋SF小説『マラコット深海』は科学的予見に満ちたドイルの傑作である。ヒュー・ロフティングは1927年から33年にかけて、ドリトル先生シリーズで月旅行を描いた。さらに、ジョージ・グリフィスが大衆向けの作品で商業的に成功し[18]、イギリスやヨーロッパではSFが盛んになっていった。
ロボットの「発明」とアンドロイド映画『地球の静止する日』に登場するロボット
「ロボット」という言葉は1921年にチェコ・スロバキアの作家カレル・チャペックが書いた戯曲『R.U.R ロッサムの万能ロボット会社』(「R.U.R」はチェコ語なので「エル・ウー・エル」と読む)で初めて使われた(この戯曲に出てくるロボットは、機械人間ではなく人造人間に近い)。この戯曲では、ロボットは人間に代わる労働力として扱われている。
科学が発展の限りを尽くしたが、子供が何故か生まれなくなり人間が減少し、労働力としてロボットが大量に生産される世界が舞台となる。ある時一人の人道主義者の女性が、ロボット達のこの境遇に同情してロボットに心を持たせるよう、ロボット会社R.U.Rに掛け合う。彼女の申し出は、ロボット会社の技術者達が彼女に惚れていたため、即刻叶う事になる。心を持ったロボットらは、自分たちの境遇に憤怒し、反乱を起こして人類を滅ぼしてしまう。この小説は、ただ1人生き残った人類が、男女のロボットが互いに相手をかばい合うのを見て、ロボットたちに「愛」が目覚めたのを知ったところで終わる。解釈はいくつかあるが、非人間的になった人類と人間的なロボットとの対比を用いて、科学批判を行っているという解釈が主流である。
ロボットと並ぶ人造人間の名称、「アンドロイド」は、ヴィリエ・ド・リラダンの長編小説『未来のイヴ』(1886年)によってはじめて世に出された。この作品では、英国貴族エワルド卿が、完璧な肢体と美貌を持ちながら内面はどうしようもない俗物であった美女アリシャ・クラリーに恋焦がれながら、その内面に失望して、友人のエディソン博士に相談を持ちかけた。エディソンはアリシャそっくりのアンドロイド、アダリーを作る。エワルドがイギリスに帰る船に貨物として積み込まれたアダリーは船の沈没により失われ、同船していたアリシャも死亡する。からくも生き延びたエワルドはアダリーが失われたことだけを嘆く。
両作品とも、急速な科学技術の発展や普及を危惧し、警告するという意図で書かれていると言われる。しかし『R.U.R』や『フランケンシュタイン』の強烈な印象により、以降のロボット・人造人間物は「ロボットが製作者を破滅させる」というプロットの繰り返しとなり、これは後にアイザック・アシモフがロボット工学三原則を編み出すまで続く事となった。 SFは、科学を想像力豊かに拡張したもので、魔術やオカルトから最も遠いものだと考える人も多いが、ブリティッシュ・コロンビア大学のアレン・ルーケマは、「オカルティズム」とも形容される現代の秘教的な理論や実践とSFとの関わりを指摘している[19]。19世紀から20世紀初頭にかけて初期のSFは、メスメリズム、心霊主義、神智学といった魔術的な潮流、特に超常現象や超自然的なものを科学的に解明しようとする流れと関わりを持ったことで、その中心的な主題や文体の一部を作り上げた[19]。
オカルティズムとの関わり