サイエンスフィクション
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また、たとえ異星や異世界や超未来が舞台であっても、どこかで「現実」と繋がっている(ホラーファンタジーとの区別)」「現実の日常ではぜったいに起きないようなことが起きる(ミステリとの区別)」「読者の常識を覆す独自の発想がある(センス・オブ・ワンダーまたは認識的異化作用)」「既存の(擬似)科学的なガジェットまたはアイデア(宇宙人宇宙船ロボット超能力タイムトラベルなど)が作中に登場する(ジャンル的なお約束)」の四つをあげている。[13]

超自然現象を扱った作品は「スーパーナチュラル」に分類されるが、SFやファンタジーの要素を含む作品もあり境界は曖昧である。
歴史

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2012年7月)

創世以前のSF

最初のSF作家として普通認知されているのは、ジュール・ヴェルヌもしくはH・G・ウェルズである。しかしそれ以前にもSFではないがSF的な文学は存在した。おそらく最古のSF的小説は、2世紀に古代ギリシアの作家ルキアノスの書いた『本当の話』と『イカロメニッパス』であろう。[14]『イカロメニッパス』では、主人公のメニッパスが両手に翼をつけてオリュンポス山の上からイカロスのように(イカロ)飛び立って月の世界に行き、そこで月の哲学者と会う。そしてかれに、目を千里眼にしてもらって地上を見て、世界の小ささを実感する。日本の竹取物語平安時代)は月から人が来る設定であり、浦島太郎室町時代)では時間の流れの歪みが描かれている。8世紀アラビアンナイトにもSF的なストーリーが含まれる。14世紀ダンテ・アリギエーリによって書かれた『神曲』も、当時の科学的知見が盛り込まれ、天国篇では、主人公ダンテが天動説宇宙に基づいて構想された天界を遍歴し、恒星天の上にまで昇っていくストーリーである。

神話まで遡ると、エジプト神話ではすでに月や太陽の神などが登場する。ギリシア神話の月の女神や太陽の神など天界の神々はチャリオット(戦闘用馬車)に乗って天上世界(宇宙)を自在に行き来するとされる。また古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」の登場人物(神)が使う超兵器「インドラの雷」が、核兵器を想起させる描写であったり、『ラーマーヤナ』には大気圏外の航行が可能なヴィマナと呼ばれる乗り物が登場するなど、古典や神話の表現が、現代ではファンタジーやSFとして見えることもある。さらにヴィマニカ・シャストラと呼ばれる文献には他の叙事詩とは違い、ヴィマナの詳細な解説や、操縦方法のみが記述されているなど、現代でいうSF作品とその設定資料集の様な関係を持つ作品群も存在している。日本神話においても、天孫降臨伝説は高度な文明を持つ異星人が文字通り“天から来た”と例えれば不自然ではなく、SF的な設定を含んでいる。

コペルニクス地動説を唱える以前の天動説が信じられていたり宇宙を天界(ヘブン)と混同していた時代に書かれた物語や神話は、宇宙旅行のコンセプトを含んでいたとしても「科学的」フィクションとは言えない。

17世紀の天動説が主流であった当時、1620年代ごろに天文学者ヨハネス・ケプラーが地動説の考えに基づいて書いた小説『ケプラーの夢』(ラテン語 Somnium)がある。この小説は、アイスランド人ドゥラコトゥスが地球(ヴォルヴァ)と月(レヴァニア)を自由に往復する精霊に連れられて月世界へと旅行する物語である。シラノ・ド・ベルジュラックは1657年に「月世界旅行記」を出版した。これは、ロケットによる月旅行を描いた最初の作品とされている。また、北極に異世界が存在するという設定はen: The Blazing World(1666年)に、地球内部が空洞であり異世界が存在するという設定はen: Niels Klim's Underground Travels(1741年)に描かれている。ヴォルテールによるen:Micromegas(1752年)は、シリウスを周回する惑星と土星からの来訪者が地球にやってくるというストーリーである。

ジョナサン・スウィフトガリヴァー旅行記には科学者が住む飛行する島ラピュータが登場する。島は底部の天然磁により磁鉄鉱の豊富な土地の上空を自在に移動できるなど科学的な設定があり、地上に住む人間を押しつぶすなど兵器として使われるシーンもある。映画『フランケンシュタイン』(1910年)

さらに、1816年に当時19歳のメアリー・シェリーが書いた『フランケンシュタイン-あるいは現代のプロメテウス』がある。科学者ヴィクター・フランケンシュタインが死体を集めて繋ぎ合わせ、人造人間を作ることに成功する。しかし、その醜さゆえに彼は、人造人間(”怪物”)を放棄する。造られた”怪物”は「こころ」を持ち、幾度か人間と交流を試みるが、醜い容姿のせいでことごとく拒絶される。絶望した”怪物”は自らヴィクターの元に現れ、自分の伴侶となり得る女性の”怪物”を一人造るように要求する。彼は一度約束したが、女性の完成間近になってそれを破る。怒った”怪物”は、ヴィクターの妻や友人を殺害。ヴィクターの方もその死に怒り、”怪物”を殺すために追跡を始める。しかし、長い追跡の末、北極海でヴィクターは衰弱し死亡する。”怪物”は彼の亡骸の前で、複雑な心境を語った後、自ら焼死するために北極海へと消えた。

この小説は、メアリー・シェリーが夫(パーシー・シェリー)と共にバイロンの別荘(ディオダティ荘)に行った際の構想を元に書かれたものである(ディオダティ荘の怪奇談義)。ある日バイロンは怪奇小説を書いて互いに見せ合う事を提案した。パーシーとバイロンは途中で小説を投げ出した(バイロンがこの時書いた構想を借りて、彼の主治医であるジョン・ポリドリが『吸血鬼』を書いた)が、メアリーはこれを仕上げた。

メアリーの『フランケンシュタイン』はSF的テーマを扱いながらも「怪奇小説」であり、科学小説を書こうというモチベーションによって書かれたわけではないが、ブライアン・オールディスをはじめとする後世の多くの作家や評論家たちがメアリーに先駆的な業績を認め、SFの先駆者あるいは、創始者であると捉えている。[15]一方で、『フランケンシュタイン』は確かに重要な作品ではあるが、SFの起源とすることはSFの領域を拡張させ過ぎている、という意見も存在する。[16]

19世紀前半の作家エドガー・アラン・ポーも、SFの開祖の一人である。彼の作品は人間心理の異常性に踏み込んだ怪奇・恐怖小説が多いが、『鋸山奇譚』・『大渦に呑まれて』・『ハンス・プファールの無類の冒険』など、科学知識を応用した作品も見られる。特に『ハンス・プファールの無類の冒険』は、気球による月世界旅行を描いたもので、当時の最新の科学知識を用いた、まさに正統派のSFであった。ヴェルヌやウェルズもポーの影響を受けており、現代SFの発展に功績があったといえる。[17]
創世期のSF

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ジュール・ヴェルヌジュール・ヴェルヌ月世界旅行』挿絵(1868)。SFイラストレーションの嚆矢でもある。

ジュール・ヴェルヌは若い頃は大デュマに師事してロマン劇を書いていたが、愛読書のエドガー・アラン・ポーの小説にある科学技術を織りまぜて現実性をより高めるという手法に注目し、1863年に冒険小説『気球に乗って五週間』を発表した。


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