ゴールキーパー_(サッカー)
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また同じく西ドイツ大会でポーランド代表ヤン・トマシェフスキが背番号2を付けた事例がある)。現在では多くの大会やリーグにおいて、「1番はゴールキーパー用、2 - 11はフィールドプレイヤー用、12以降は自由」と定められている。Jリーグにおいても同様に規約により禁止されている[1]


怪我の治療

キーパーが怪我をした際は、フィールド上で治療が行われ、その間プレーは停止する。この間に要した時間はアディショナルタイムに加算される。


技術
能力相手フリーキック時に味方ディフェンスに対して指示を出すゴールキーパー

最重要・不可欠な能力が統率力・ポジショニングである。どんなキーパーであっても一人でゴールマウスを守ることは不可能である。そこでキーパーは相手の攻撃に対してディフェンダーに的確な指示を出し、相手の攻撃手段を限定することでシュートチャンスを早めに摘む・シュートされたとしても自分の守備範囲内にしかシュート出来ないように追い込む、といった戦術的な行動が必要とされる。反射神経・勘・セーブ力といった個人能力はその次に来る要素である(もちろんこれらも大事な要素ではある)。このような役割を持つため、ディフェンダーに対しての指示の声は「神の声」とも呼ばれる。その都合上、ディフェンスラインと意思疎通が不自由なくできるだけの言語力がある方が望ましい。

それ以外の身体能力で言えば、高い身長と長い手足が求められる事が極めて多い。単純にボールを止められる範囲が広がり、ハイボールの処理もしやすくなるためである。国を問わずプロレベルであれば概ね180cm台後半?190cm以上の大柄な選手が務めている例がほとんどであり、180cm台前半なら著名な選手も少なくないが、GKとしては小柄と評されることが多く、170cm台はかなり珍しい存在(菅野孝憲など)であり、長らくメキシコ代表で活躍したホルヘ・カンポス(身長168cm)のような160cm台は極小の例外である(カンポスは垂直飛び1メートル越えを誇る跳躍力で低身長のハンデをカバーした)。さらに、ゴール前で混戦となった時に競り負けない強靱さと頑丈さも必要とされる。またシュートに対して瞬時に反応できる動体視力と反射神経、瞬発力なども求められる。また、指示出しのための声の大きさも一つの能力として見られる。キックするキーパー

近年のサッカー戦術では攻撃時にはディフェンダーの押し上げが要求されることから、高く上がったディフェンダーの後ろのスペースをペナルティエリアを飛び出して守るスィーパー的な役割がゴールキーパーに求められることが多くなってきている。攻撃の起点として見られるようになり、フィードの精度など、フィールドプレイヤー的な技術も大きく評価されるようになった。キックの精度が非常に高いゴールキーパーも大勢存在し、そういった選手は攻撃の起点としても機能するほか、ホセ・ルイス・チラベルトやロジェリオ・セニのようにゴールキーパーでフリーキックペナルティーキックを蹴る者もいる。また、ゴールキーパーの蹴った自陣からのフリーキックやクリアボールが直接相手のゴールに入ることも稀にある。また、ゲーム終盤に守備を度外視してでも1点が欲しい場合[注 2]、パワープレイの一環でゴールキーパーが相手ペナルティエリアまで上がることもある。
ポジション争い

上述のように、フィールドプレーヤーと比較して非常に専門性が強いポジションであり、怪我やレッドカード等のアクシデントで欠いた場合に代替となる選手がいなければ極めて大きな問題となるため、一つのチームには最低でも3名のGKが在籍し、試合にもスターティングメンバーと控えで2名登録するのが一般的である。しかし、同じチームに2名以上の優秀な選手が存在したとしても、他のポジションと違い「同時起用で共存」という選択肢はない。そのうえ、体力の消耗が少ない事や、試合展開に伴う戦術変更での交代の必要性も皆無であるため、アクシデントがない限り控えGKが試合途中から出場する機会はほぼ無い。そのため出場機会そのものがレギュラーとなった1名に集中し、2番手以降の選手には出場機会がなかなか巡って来ない現実がある。さらにはフィールドプレーヤーよりも選手寿命が長く、経験がモノを言うポジションでもあるため、若いGKがチャンスを得るのは難しく、プロ契約から数年を経てもリーグ戦出場経験がほとんどないGKも少なくない。

その性質上、1人あたりの費用対効果が特に高いと言えるポジションであり、クラブチームでは言語の問題を押しのけてでも外国籍の優秀なGKを獲得することも多く、結果前述の事情と相まって自国籍のGKがハイレベルな試合への出場機会を失い、その傾向が加速することで自国代表チームの弱体化を招くことが問題として取り沙汰されることもある。代表的な例として、一時期は「優秀なゴールキーパー輩出国」と言われていたイングランド・プレミアリーグが挙げられる[2]。Jリーグにおいても優秀な外国人ゴールキーパー(特に地理・言語的に近い韓国出身が多い)を獲得するクラブが増えており日本人ゴールキーパーが出場機会を失いレベルが低下するという危惧を発表しているメディアもある[3]。2019年のJ1リーグにおいて、外国籍のGKを「正守護神」として起用したチームは18チーム中8チームで、全体の44%に当たる(内訳は韓国5、ポーランド2、オーストラリア1)[3]。また、韓国のKリーグは1999年から外国籍ゴールキーパーの所属、出場を禁止するルールができた結果ゴールキーパーの育成が進み、中国も同様のルールがあるため移籍できず、ヨーロッパへの移籍はかなりハードルが高いため、日本に移籍してくる韓国籍ゴールキーパーが多いという指摘がある[4]

同じチームに複数の優秀なGKが同時期に存在すると、どちらを起用すべきか激しい議論の的となる事がある。クラブの場合では、クラブ首脳陣の推すGKとファンの人気を獲得したGKが異なり、議論が巻き起こる例もあり、近年ではジョゼップ・グアルディオラマンチェスター・シティFCの監督に就任した際、足元の技術をGKに求めレギュラーがそれまでのジョー・ハートからバルセロナから引き抜いたクラウディオ・ブラーボに交代となった例や、レアル・マドリードでケイロル・ナバスがレギュラーを務めCL3連覇に貢献したにもかかわらず、フロレンティーノ・ペレス会長の強い希望でティボ・クルトゥワを獲得しそのままクルトゥワがレギュラーとなった例等がある。どちらの場合も後からレギュラーになったGKが不振に陥りチームが低迷したこともあり物議を醸した。

これらの事情から、控えとなったGKが出場機会を求めて時にディヴィジョンを跨いだ移籍をする例は多いが、そもそも移籍という選択肢がない代表チームの場合はポジション争いを避けられないため、評価の議論は長期化しがちである。例として、フランス代表でのファビアン・バルテスグレゴリー・クーペドイツ代表でのオリバー・カーンイェンス・レーマンマヌエル・ノイアーマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンイタリア代表でのフランチェスコ・トルドジャンルイジ・ブッフォンなどといった正GK争いをめぐる相克があった。日本代表でも1998年から約10年間に渡り、川口能活楢ア正剛が正GKの座を争い続けたが川島永嗣の台頭によって終止符が打たれた。
著名なゴールキーパー
IFFHS選定20世紀のゴールキーパー

IFFHSは2006年に20世紀で最も偉大なゴールキーパーを選定した。この内上位20人は以下の様になっている。[5]body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}
レフ・ヤシン

ゴードン・バンクス

ディノ・ゾフ

ゼップ・マイヤー

リカルド・サモラ

ホセ・ルイス・チラベルト

ピーター・シュマイケル

ピーター・シルトン

フランティシェク・プラーニチカ

アマデオ・カリーソ

ジウマール・ドス・サントス・ネヴェス


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