ゴルフ
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捶丸については、中国の学者が五代十国の時代にまで遡るという説を出している。

スコットランドが起源だとする説では、スコットランドの羊飼いたちが、暇つぶしに、羊を追う棒で、石ころを打って、野うさぎモグラの巣穴に入れて遊んでいた、それがゴルフの始まりだ、とされる。

※一番有力とされる説は、スコットランドの羊飼いが始まりだという説。

起源に限ればいろいろな説があるものの、現在のゴルフというスポーツが発展し完成して近代スポーツとなったのがスコットランドであることは間違いない。15世紀頃に、スコットランドで現代行われているゴルフ相当の競技形式が整備され、流行した。1457年には時のスコットランド王国国王ジェームズ2世によって、ゴルフにふけって弓術の鍛錬を怠る貴族たちへのゴルフ禁止令が出され、これがスコットランド史におけるゴルフの初出であるとされる。ゴルフはスコットランドの東海岸から広まっていき、宗教改革時のスコットランド長老教会の否定的な態度にもかかわらず民衆の娯楽として広まっていった。1750年ごろ(1754年エジンバラセント・アンドルーズにゴルフクラブができ[3]1834年にはウィリアム4世がこれをロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュースと命名し、同クラブが成文化された公式ルールを定めた。またイギリス帝国の拡大に伴って世界各地に移住したスコットランド人によってゴルフも各地で行われるようになった。1860年には世界初のゴルフの選手権大会である全英オープンもはじまった。しかし、ここまではゴルフはスコットランド人独自のスポーツに過ぎなかった。

なおスコットランド人の間で流行していた当時は、パーという概念は存在していなかった。なぜなら2名のゴルファーが1ホールごとにホール内での打数により勝ち負け(同じ打数の場合、そのホールは引き分け)を決め、18ホールまでにどちらが多くのホールで勝ったかを競うマッチプレー方式で行なわれていたため、それぞれのホールに規定打数を決める必要が無かったからである。

マッチプレーは2名で競技する場合はホールごとに勝ち負けが決まるため単純明快だったが、より多くのゴルファーによる試合では優勝者を決めるまでに18ホールの試合を何回も繰り返す必要があり、やがて多人数で競う場合には順位付けがし易い、予め定められたホールをまわった時点の打数(ストローク)の合計を競うストロークプレー方式が広まるようになった。ストロークプレーが主流になると、それまでコースごとにまちまちだった18ホールの合計距離などに対し、画一した規格を決める必要が出てきたため、全てのホールに対し既定打数を決めて、コースごとの合計既定打数による比較がし易いように定めたのが、パーの起源である。

ゴルフが爆発的に広まるのは、1880年代イングランドでゴルフブームが起きてからである[4]。イングランド各地にゴルフ場が建設され、さらに1890年代にはアメリカでも流行が始まり、またイギリス人によって世界各地にゴルフ場が建設され、ゴルフは世界的なスポーツとなっていった。

日本における最初のゴルフ場は、1901年神戸市六甲山に作られた神戸ゴルフ倶楽部である。これは外国人向けのもので、日本人による日本人のためのゴルフ場は、1913年井上準之助らによって東京駒沢に作られた東京ゴルフ倶楽部が最初である[5][6]。ゴルフ雑誌や解説書を日本で初めて出したのは、イギリス遊学中にゴルフに親しんだ播磨の大地主伊藤家出身の伊藤長蔵(貴族院議員・伊藤長次郎の弟)である[7]。伊藤は1921年に日本人による最初のゴルフ雑誌「阪神ゴルフ」を神戸で創刊(のち「ゴルムドム」と改題)[8]、1926年には『ゴルフ用語辞典』も出版し、ゴルフの普及に一役買った[9]

現在では世界に広まり、各国にプレイヤーが存在する。ゴルフ場も各国に建設され、2008年には35,112のゴルフ場が存在するまでになっている[10]が、中でもアメリカ合衆国が約半数を占め、圧倒的に多い。中国でゴルフは「緑色阿片(緑のアヘン)」と呼ばれ、資本主義の退廃的な娯楽と見なされていたが、北京大学でカリキュラムへの採用が検討されるほどの人気スポーツとなり、ゴルフ場の数もアジアでは日本に次いで多い[11]

世界的にゴルフの人気が落ちていると指摘されており、ルールを簡潔にしたり競技にかかる時間を短くするなどの変更を加えてプレイ人口の減少に歯止めをかける取り組みが行われている[12]
日本での例を取り上げると――


会員権で年に10万単位の料金を支払わされる。

道具を揃えるのに高額の支払いを要求される。

上司たちに休日返上で無理矢理同行させられたり、接待で気を遣わなければならず(契約や会社での昇進、最悪の場合は降格や退職に追い込まれるため)、ストレスが溜まる。

――などと言った事例が、ゴルフ人気を落としている要因であると言われている。

国ゴルフ場の数(2008年)%
アメリカ合衆国17,67250%
イギリス2,7528%
日本2,4427%
カナダ2,3007%
オーストラリア1,5004%
ドイツ6842%
フランス5592%
中国5001%
スウェーデン4801%
南アフリカ4501%
その他5,77317%
世界総計35,112

ルール
1ホールホールレイアウト例:
(1)ティーイングエリア (2)川 (3)ラフ (4)OB (Out of Bounds) (5)バンカー (6)池 (7)フェアウェイ (8)グリーン (9)ピン (10)カップグリーン周りのバンカーの例
英国ブリストルのフィルトンゴルフクラブホールに入る直前のゴルフボールティーショット後、打球を見る競技者。

通常4人1組でコースを回る。最初のホールでの第一打の順序を決める方法はルールに無いため、くじ引きで順序を決定する事が多い。競技の場合は競技主催者の指定打順による。第一打後は、ホールから遠い競技者から順に打つ。

まず、ティーイングエリア(第一打の打ち出し地点)からティーショットを行う。ティーショットの打順は最初はくじ引き等により決定されるが、その後は、前ホールの成績順に行う。ティーショットでは通常フェアウェイにボールが止まることを目標にする。ティーショットが届きそうなところには、フェアウェイバンカーや池といったハザード(障害)が設置されていたり、コースが左右に曲がっていたり(各々左ドッグレッグ、右ドッグレッグと言う)するので、安全にハザードの手前を狙うか、危険を冒して距離を稼ぎグリーンに近づくことを狙うのかを選択する。このように選択を行うことがゴルフの醍醐味の一つであり、精神力が重要といわれる所以である。

次に、ホール(カップ)があるグリーンに届きそうであれば狙う。しかし、敢えてグリーンを直接狙わず、近くまでショットし、次のショットでグリーンに乗せる場合がある。これを刻む(レイアップ)という。この理由は、グリーンの周りにはバンカーなどのハザードが設置されているため、ティーインググラウンド方向だけが安全で他の方向は危険な作りになっているからである。グリーンの周りからグリーンを狙う打撃をアプローチショットと呼ぶ。グリーンが狙えない場合は、引き続きフェアウェイにボールが止まることを目標にショットを行う。この場合においても、例えば残り300ヤードの場合に250ヤード飛ぶ選手であっても敢えて200ヤードしか飛ばさず100ヤードを残すという場合がよくある。これは、ハーフスイングで飛ばす距離(この場合50ヤードとなる)を残すと打撃に加減が必要となり難しくなるので、それより、フルスイングできる距離(この場合100ヤード)を残したほうが打撃に加減が必要ないため打ちやすく好結果が期待できるという判断である。

グリーンではパターと呼ばれるクラブで、ボールを転がすパットと呼ばれる打撃を行う。平坦で傾斜のないグリーンは少なく、大抵は傾斜や複雑な芝目がある場合が多い。これらグリーンの状況を読みきって、パットを行うことはゴルフの醍醐味の一つである。打撃の動作としては非常に簡単だが、プレッシャーのためにプロでもよくミスを犯す。極端な場合、パット自体ができなくなる「イップス」と呼ばれる精神病の1種とも言える状態になる人もいる。

各ホールには、あらかじめ規定の打数が定められており、この打数と等しい打数でホールに入れることをパー(Par)という。以下、1打少ないことをバーディー(Birdie)、2打少ないことをイーグル(Eagle)、3打少ないことをアルバトロス(Albatross)又はダブルイーグル(Double eagle)、4打少ないことをコンドル(Condor)又はダブルアルバトロス(Double albatoross)やトリプルイーグル(Triple eagle)と呼ぶ。ちなみに現実的ではないが、パーより5打少ないことも名がありオーストリッチ(Ostrich)と呼ぶ[13]。また、一つのホールに1打で入れることを、ホールインワン(Hole in one)又はエース(Ace)と呼ぶ。逆に1打多い場合は、ボギー(Bogey)。以下、打数が増えるごとに、ダブルボギー(Double bogey)、トリプルボギー(Triple bogey)と呼ぶ。

バーディーは小鳥、イーグルは(ワシ)、アルバトロスはアホウドリと、の大きさの違いから名付けられた。(なお、オーストリッチはダチョウである。)日本ゴルフ協会によると、鳥に因んだ名称が付けられた理由は不明だが、ボールが鳥のように舞い降りたイメージに由来する、という説もあるという[14]


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