ゴムタイヤ
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これらはホイールリムスポークが貫通していることや、空気圧を低くセッティングするなどの理由により、ホイールとタイヤのみでは気密を保てないためである(ただしスポークのニップル等を密閉する等によりチューブレス化するキットも販売されている[5]が、チューブレス用ホイールとビードに接する部分の形状が異なる等でビードが上がらない場合はビードシーラーを要する場合がある。)。タイヤ断面図

リム組みされた一般的なチューブレスラジアルは、以下のような部位と構造を持っている。
1 - ブレーカーコード
接地面の強度を増し、異物の貫通を防止する。スチールワイヤーを編んでベルト状に構成されている。
2 - カーカスコード
タイヤ構造を保持し、タイヤの骨格の役割を持つ。
3 - ビード
タイヤ内周の4-ホイールリムに接する部分。タイヤをホイールに固定し駆動力を伝えるとともに、空気が漏れないようにシールする。また内部にはビードワイヤーと呼ばれるスチール製のワイヤーを内包している。
4 - ホイールリム
タイヤとこのホイールリムとの間に空気を保持する。
5 - トレッド
日本語では踏面(とうめん)と言う。主に路面に接する部分。表面にはグルーブと呼ばれる溝が彫られているのが一般的である。彫られた溝の模様は製品ごとに異なり、トレッドパターンと呼ばれる。グルーブには、トレッドと路面の間に入った水を排出してスリップを防止したり、操舵性や乗り心地を向上させるといった役割がある。溝の部分をシー、山の部分をランドと呼ぶこともあり、特に柔らかい路面でのトラクション(駆動力)が重要となるマッドテレーンタイヤやスノータイヤでは、シー/ランド比が重視される。オートバイ用のトレッド面は丸く、車体を傾けると内側と外側で接地面の直径が変わり、車体を傾けた方向へ旋回させようとする力が生じる。逆に車体が傾くと旋回しようとする力の反作用で車体を直立させ直進しようとする力が働く。オートバイはこの力により自立し直進する。また、トレッドの両端部(タイヤの肩の部分)をショルダーと呼ぶ。大舵角時などタイヤのキャンバー角が大きくなるほど摩耗が進む部分で、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}トレッド部の中央部分に十分な溝が残っていてもショルダー部の溝がなくなると操舵性能が著しく低下する[要出典]。
6 - サイドウォール
タイヤの側面。メーカー名やサイズなどが表示されて(刻まれて)いる。路面には接しないが、走行中は路面の凸凹に対応するために、激しく屈伸している。最も動く場所でもあり、乗り心地にも影響し、クラック(細かい亀裂)も入りやすいデリケートな場所でもある。
材料
ゴム

パラゴムノキの樹液からなる天然ゴムと各種の合成ゴムがある[6]

天然ゴム

合成ゴム

配合剤

カーボンブラック、シリカ、オイル、亜鉛華、硫黄などの配合剤が加えられる[6]

カーボンブラック粉末状炭素

湿式シリカ(別名ホワイトカーボン)

オイル

亜鉛華

硫黄

など
構造材

構造材としてナイロン、ポリエステル、スチールなどが使用される[6]

ナイロン

スチール : ラジアル構造のカーカスを締め付けるベルト(たが)の部分

など
表示詳細は「タイヤ記号(英語版)」を参照
寸法表示

タイヤ記号には、メトリック表示とインチ表示の2種類がある。かつてのアメリカではレター表示と呼ばれるものも存在した。メトリック表示
メトリック表示
今日の自動車用に広く見られる表記である。「205/55 R16 91W」とあった場合、205=幅 (mm)、55=偏平率 (%)、R=構造(ラジアル)、16=リム径(インチ)、91=支えられる荷重を示した指数(ロードインデックス)、W=保証される最高速度 (270 km/h) を表している。数値の単位は、リム径はインチ表示されるが、幅はmmで表示される。偏平率とは、サイドウォールの高さを幅との割合で表したものである。この場合のタイヤにおける漢字表記は偏平率であり、扁平率(楕円のつぶれ具合を表す)とは意味も異なる。なお、偏平率が低い(幅に対して高さが低い)ものほど操縦安定性、ブレーキ性能、高速走行時のグリップ性能、コーナリング時などの限界速度が向上し、高速走行でも安全に走行可能になるが、反面、乗り心地が硬くなり、路面の凹凸などを拾いやすく走行音も大きくなる傾向があるので、乗用車用の場合、快適性や経済性重視であれば偏平率の高い (65 - 82 %) ものを、スポーツ走行性能重視であれば偏平率の低い (30 - 60 %) ものを選択する。このメトリック表記基準はバイアスにも準用され、オートバイ用などの場合「180/60-17」といった具合で表される。
インチ表示
バイアスに多く見られる表記であるが、ラジアルにも用いられることがある。「3.50 S 18 4PR」とあった場合、3.50=幅(インチ)、S=保証される最高速度、18=リム径、4PR=強度(プライレーティング)を表している。こちらの表示はすべてインチである。偏平率は、通常は100、3.60や5.10では80になっている。自動車用には「5.00-10 8PR」などと表され、幅とリム径の間の表記が構造を表すことになる。この場合は、-(ハイフン、またはD)=バイアスを示す。ラジアルの場合にはRとなり「5.00R10 8PR」と表される。バイアスベルテッドの場合にはBが付記され、「5.00B10 8PR」と表される[7]
レター表示
1960年代から1970年代中期までのアメリカ車に見られた表記法で、外径と偏平率、リム径を順番に記述する形式であるが、外径をアルファベットで分類することが最大の特徴である。「A78-15」とあった場合、A=外径、78=偏平率 (%)、-=構造(バイアス)、15=リム径(インチ)を表し、原則としてアルファベットがAからZへ進むに従って、外径が増加していく。アメリカでもごく一時期しか用いられなかった表記法で、該当する自動車用リム径は14インチと15インチのみ。偏平率も78偏平(レター表示にしか存在しない偏平率でもある)、70偏平、60偏平の3種類しか存在しない。構造もほとんどがバイアスであるが、1970年代中期頃にはレター表示のラジアルも存在した。現在では完全に廃れた表記法であり、ビンテージマッスルカーハーレーダビッドソンの一部オートバイ向けに製造が行われるのみとなっている。アメリカ車の市場が小さい国では純正指定のレター表示のものは極めて入手しづらいため、クロスリファレンス[8]などを用いて外径が近いメトリック表示やインチ表示のものへの変更を行う必要がある。
強度の表示
英語圏における表記例。日本で販売されるものも概ねこの表記法に準ずる。寸法表示の次に書かれる数字は、最高負荷を表すロードインデックス (LI)。バイアス登場以来サイドウォールのプライ数を表示することで強度としてきた。カーカスコードの層数の表記(プライレーティング)は、とくに断り書きがない場合にはほとんどの場合4PR(4プライ、4層)であるが、トラック向けなどカーカスの層数が特別に多いものの場合には8PR、16PRなどの表記がサイズ表記の周囲になされている。現在はJATMA規格(スタンダード規格)と、ETRTO(エトルト、欧州タイヤ及びリム技術機構(英語版、ドイツ語版、フランス語版、オランダ語版)。)規格のXL(EXTRA LORD、エクストラロード)規格[注 2]の2種類の表示のものが増えている。LIから実際の耐荷重を知るには、それぞれの規格に合わせた換算表が必要になる。
最高速度の表示
速度記号(スピードレンジ)と呼ばれ、Lが120 km/h以下。それ以降の表示は、N=140 km・Q=160 km・R=170 km・S=180 km・T=190 km・H=210 km・V=240 km・W=270 km・Y=300 km以下・(Y)[注 3]=300 km超となる。この表示はバイアス・ラジアル両者共通であるが、インチ表示ではHが最高となっている。インチ表示における最高速度表示はオートバイ用やスポーツカー向けの偏平バイアスに特によく見られる。また、速度記号制定前の規格で、速度カテゴリと呼ばれるラジアルタイヤ用の最高速度表示があり、SR=180 km/h以下・HR=210 km/h以下・VR=240 km/h以下・ZR=240 km/h超となる。
適合車種の表示
欧米ではトラック向けにはLT(ライトトラック)やC(カーゴ)、乗用車向けにはP(パッセンジャー)、オートバイ用にはM/C(モーターサイクル)の表記がされており、誤用が起こらないような配慮がされている。
その他の表示ホワイトリボンタイヤUTQG表示
上部にスリップサインの位置を示す矢印があるタイヤの軽点(黄)とユニフォミティマーク(赤)
エアバルブと軽点の位置を合わせて組み付けられているタイヤの軽点(黄)しかペイントされていないタイヤの例
UTQG表示もない点にも注意

サイドウォールには一般的な寸法表示の他、下記の様々な表示が行われる[9]
メーカー名及びブランド名
メーカーによってはグレードによりメーカー名表記自体を変更するセカンドブランドを保有している場合がある。また、そのイメージ戦略によりこれらの名称を白く塗ったホワイトレターや、サイドウォールに円周状の白い塗装を施すホワイトリボン(ホワイトウォールタイヤ)などの意匠が施されることもある。
製造国表記
近年は日本・欧米のメーカーが製造コストの低減のためにメーカーの母国以外に、東南アジア地域で製造を行っている事例もまま見られる。こうした地域では日本・欧米メーカーからの技術移転などにより、その国独自のメーカーが新たに勃興する場合も多く、近年では日本や欧米に進出して販売を行っている事例も見受けられる。
製造時期表記
製造年月が数桁の数字により必ず刻印されている[10]。2000年以降に製造されたものの場合には「1303」「3409」など、数字4桁の表記が行われている場合が多い。製造時期はほとんどの場合、製造年及び1月第1週を起点とした製造週の数字を順に並べて表記(もしくは製造週/製造年の逆転表記)されるため、前述の事例では前者は「2003年の第13週(3月上旬頃)」、後者は「2009年の第34週(6月下旬 - 7月上旬頃)」と読み取ることが出来る。これにより新品及び中古で購入したものが製造から何年経過しているのかを概ね知ることが可能となる。また、1999年までに製造されたものは「249」などの3桁表記であり、上2桁が製造週で、下1桁が製造年であった。
構造表記
カーカスコードの構造と材質、及びチューブの有無を示す表記がされている。例えばラジアルの場合にはRADIAL、バイアスの場合にはBIAS PLY、バイアスベルテッドの場合にはBIAS-BELTED、スタッドレスの場合にはSTUDLESS、カーカスコードがスチールワイヤー[注 4]の場合にはSTEEL BELTEDといった表記がされている。チューブレスの場合にはTUBELESS、チューブの場合にはTUBE TYPEとされている場合が多い[注 5]
UTQG(Uniform Tire Quality Grading、統一タイヤ品質等級)表示(英語版)
米国家幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、NHTSA)(英語版)が制定した“Uniform Tire Quality Grading Standards”(UTQGS、「統一タイヤ品質等級基準」の意)に基づく表示。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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