ゴッドファーザー_(映画)
[Wikipedia|▼Menu]
「ゴッドファーザー」(またはゴッドマザー、ゴッドペアレンツ)とは、日本語版では原作、映画共に「名付け親」と訳されているが、正式にはキリスト教(特にカトリック)文化において洗礼式に選定される代父母のことであり、その後の生涯にわたって第二の父母として人生の後見を担う立場である[注 3]。すなわち、タイトル『ザ・ゴッドファーザー』は、主人公のドン・コルレオーネが幅広く一族郎党のボスであることを暗示している。
あらすじ

第二次世界大戦終戦直後の1945年。ニューヨーク五大ファミリーの一角で、最大の勢力を誇るイタリア系マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の邸宅では、ドン・コルレオーネ(ヴィトー)の娘コニーの結婚式が盛大に開かれていた。ドンには他に3人の息子と1人の事実上の養子がおり、その中で末弟であるマイケルはただ一人裏社会には入らずに大学を経て軍隊に入り、戦場での活躍で英雄扱いを受けていた。式に参列したマイケルは婚約者のケイを家族に紹介し、祝福される。その華やかな雰囲気の一方で、ヴィトーは娘を凌辱された葬儀屋の男の請願を執務室にて受け、困惑しながらもその報復を部下に指示する。また、自らが代父となった歌手のジョニーからも懇願を受け、弱気なジョニーを叱咤激励しつつ、事実上の養子であり組織の弁護士かつ顧問(コンシリエーレ)であるトム・ヘイゲンを介して、ジョニーを干そうとしていたプロデューサーのウォルツを脅し、彼が大事に育てていた雄馬の首を切り取り、彼のベッドへと放り込ませる。

ある日、五大ファミリーのタッタリア・ファミリーの客分で麻薬密売人のソロッツォが、政治家や司法界への太い人脈を持つコルレオーネ・ファミリーに麻薬(ヘロイン)の取引を持ちかけてくる。麻薬取引を固く禁じるヴィトーは拒絶するが、長男で跡継ぎ(アンダーボス)のソニーは乗り気の姿勢を見せたために、ソロッツォ(及びタッタリア)は邪魔なヴィトーを消せば取引は可能と考える。ソロッツォはヴィトー襲撃事件を引き起こし、ヴィトーは複数の銃弾を受けて昏睡状態となるも一命を取り留め、思惑が外れてしまう。一方のコルレオーネ・ファミリーではソニーが報復を訴えるも、全面抗争を避けるため様子を見ることになる。そんな中、夜半の病院で、いまだ意識の戻らない父の見舞いに来たマイケルは、味方の護衛達が警察の指示で追いやられたと知り、敵の暗殺者が迫っていることに気づく。マイケルは機転を利かせて父を別室に移し、同じく見舞いに来ていたパン屋のエンツォと共に玄関で見張りに立ち、近づいてきたタッタリアの襲撃者たちを素通りさせる。間もなくタッタリアの依頼を受け護衛たちを帰らせたマクラスキー警部が病院に到着し、目論見を失敗させたマイケルの顔面を殴りつける。トムの機転で護衛問題は片付くが、再度父を狙われたことに激怒したソニーはタッタリアの跡継ぎブルーノを殺害し、ここに全面抗争が確定する。また、父を守る思いと怒りに燃えるマイケルは裏社会に入ることを決意して兄ソニーや父の盟友で幹部(カポ・レジーム)のクレメンザやテシオに相談する。そしてマイケルは、ソロッツォとマクラスキーとの会談に応じる振りをして、レストランでの交渉の席で二人を射殺すると、ケイに黙ったまま、組織と縁が深いシチリア島へ高跳びする。

その後もニューヨークでの抗争は熾烈を極め、コルレオーネ・ファミリーはソニー指揮の下でタッタリアに大損害を与えていた。コルレオーネの勝利が間近と見られていたが、そんな折に、ソニーは妹コニーがその夫のカルロより日常的に暴力を受けていることを知って激しく怒り、義弟カルロを問い詰めるために単身屋敷を飛び出してしまう。その隙を狙われ、ハイウェイの料金所にてソニーは刺客たちから短機関銃の集中射撃を浴びて無残に殺される。一方、シチリア島で知り合った現地の美女アポロニアと結婚し安穏とした生活を送るマイケルにも敵の手が伸び始めており、護衛役のファブリツィオの裏切りでアポロニアが爆死する。

意識を回復するもまだ体調は万全ではないヴィトーは息子ソニーの死にショックを受けつつ、タッタリアとの手打ちを決める。コルレオーネに次ぐ勢力を誇るバルジーニが仲介役となって五大ファミリーの会合が開かれ、その場でヴィトーは麻薬取引を部分的に認めつつ、残る息子マイケルの身の安全を要求し、タッタリアとの講和が結ばれる。その帰途、ヴィトーはトムに今回の騒動の黒幕はバルジーニだと指摘する。

ヴィトーは帰国したマイケルを正式にファミリーの跡継ぎにすることを決め、自らは相談役として退く。若く新参のマイケルに不安を覚える部下たちも多い中、マイケルは5年以内にファミリーを合法化して一部のシマは譲ると言い、また有能だが平時の人材と目する義兄トムを遠ざけ、ファミリーの仕事をしたがっていた義弟カルロを重用する。加えてマイケルはケイと再会して結婚し、2人の子供をもうける。しかし、コルレオーネ・ファミリーは落ち目だと内外にみなされ始めており、ラスベガスを新天地とする構想は、次兄フレドを預かっているラスベガスの有力者モー・グリーンとの対立で破綻する。また、死期が近いことを悟ったヴィトーは、マイケルに自分の死後にバルジーニが動き出すだろうと忠告し、さらに彼との会談を持ちかけてきた者が裏切り者だと指摘する。間もなくヴィトーは孫と庭の菜園で過ごしている際に心臓発作で亡くなり、その葬儀の場でテシオがバルジーニとの会談を持ちかけてくる。マイケルは会談の日を自らが代父(ゴッドファーザー)となる妹コニーの息子の洗礼式の日と定める。

洗礼式当日、マイケルは信頼するロッコやアル・ネリらに命令を下し、バルジーニを含めたニューヨーク五大ファミリーのドン全員と、モー・グリーンの同時暗殺を実行する。さらにテシオを粛清し、実は家庭内暴力が故意のもので、バルジーニにそそのかされてソニー暗殺計画の一端を担っていたカルロをも粛清する。

数日後、転居を控えたコルレオーネ邸に酷く取り乱したコニーが現れ、洗礼式の日に幼子の父親であるカルロを殺したこと、そもそも初めから殺すために手元に置く目的で重用していたことなどを指摘し、兄マイケルを人でなしと罵る。それを聞いて心配になるケイは事実かとマイケルに問うが、彼はこれを否定する。表面的には安堵の顔を浮かべるケイであったが、書斎に入ってきたカポ・レジームたちが新たなドン・コルレオーネとしてのマイケルに忠誠を誓う姿と、不安気な表情の妻の目の前でドアが閉じられるところで物語は終わる。
登場人物
主人公マーロン・ブランド(1963年)アル・パチーノ(1977年)
ヴィトー・コルレオーネ
演 - マーロン・ブランド通称ドン・コルレオーネ。ニューヨーク五大ファミリーである大マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の長。元はシチリア島出身の移民で、一代でニューヨーク最大のマフィア組織を築く。犯罪組織の長であるものの、道徳心は強く、また義理堅く、慈悲深い性格であるため、部下だけでなく一般人からも深く尊敬される。アメリゴのように距離を置かれた人物に対しても、そのことだけを理由に積極的に害すようなことはしない。必要とあれば暴力も厭わないが、シノギも賭博や酒、組合といったものに限定し、麻薬を固く禁じる。政治家や司法界にも多くの人脈を持っており、他のファミリーらから羨望される。詳細は「ヴィトー・コルレオーネ」を参照
マイケル・コルレオーネ
演 - アル・パチーノヴィトーの三男。コルレオーネ一族としては線の細い容姿だが、父に似て内に闘志を秘め、知性に優れる。ヴィトーのお気に入りであったが自らの意思で家業と距離を置きダートマス大学に進学、戦争が始まると父の反対を押し切ってアメリカ海兵隊に入隊し、戦場での活躍で英雄扱いされる。そのまま表の世界で活躍することをヴィトーからも望まれており、本人も一族とは一線を引いていた。しかし一連の抗争の中で、裏社会に入ることを決意し、最終的には長兄ソニーの死などを経て、正式にファミリーの2代目ドンとなる。詳細は「マイケル・コルレオーネ」を参照
コルレオーネ・ファミリージェームズ・カーン(1976年)ロバート・デュヴァル(2002年)リチャード・カステラーノ(1972年)エイブ・ヴィゴダ(1977年)
ソニー・コルレオーネ(英語版)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:454 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef