ゴジラvsビオランテ
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平成ゴジラシリーズの原点となる前作『ゴジラ』(1984年)の直接の続編であり[出典 13]、復活したゴジラが新たに出現したバイオ怪獣ビオランテと対決する。

本作品では原案が一般公募されたほか、特技監督には前作まで担当していた中野昭慶に代わって川北紘一、脚本と監督には『ヒポクラテスたち』などの大森一樹、音楽に「ドラゴンクエストシリーズ」などのすぎやまこういちを起用するという、それまでの怪獣映画にない新たな息吹を取り入れようとした意欲作でもある[出典 14][注釈 5]

ゴジラやビオランテに襲撃される主な舞台として芦ノ湖のほか、伊豆大島大阪市若狭湾が登場する[48]

本作品は、以降の平成VSシリーズでメインキャラクターとなる超能力者・三枝未希の初登場作品でもある[49][50]。また、本作品はミニチュアセットですべての市街地を再現した最後のシリーズ作品でもあり、次作『ゴジラvsキングギドラ』以降はCGによる描画が増えていくこととなる[51]

物語の展開はいわゆる昭和の児童向け怪獣映画とは一線を画しており[注釈 6]、ゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対自衛隊」のそれに主軸を置いている[出典 16]。ゴジラ(略して「G」と呼称)は「特殊災害」と規定され、4段階の警戒態勢が設けられている。放射熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」や、ゴジラのエネルギー源である核物質を食べるバクテリアから作られた「抗核エネルギーバクテリア」 (ANEB) など、先端技術を投入して開発された対G用の超兵器に加え、未希の超能力も自衛隊の戦力として運用されている。

本作品にはゴジラ細胞(G細胞)の設定も初めて盛り込まれており、1994年公開の『ゴジラvsスペースゴジラ』は敵怪獣・スペースゴジラの誕生の理由にビオランテが可能性の1つとして挙げられるうえ、権藤一佐の妹や親友が登場するなど、本作品との関連が高い。また、G細胞またはそれの持つ性質から新怪獣が誕生するという要素は『vsスペースゴジラ』だけで終わらず、後年の『ゴジラ2000 ミレニアム』や『シン・ゴジラ』などの作品にも、細かな設定の違いを見せながら継承される形となっている[注釈 7]

なお、劇場では入場者にゴジラスタンプ(全4種)がプレゼントされていた[56]
ストーリー

1985年ゴジラ襲撃から一夜明けた新宿では、自衛隊が廃墟内の残留放射能検査やスーパーXの回収を進める一方、ゴジラの体組織であるG細胞の破片を回収する作業が行なわれていた[57]。その最中、アメリカ合衆国のバイオメジャーもG細胞の採取に成功したところを自衛隊に発見され、銃撃戦となる。バイオメジャーは辛くも逃げ切るが、サラジア共和国のサラジア・シークレット・サービス工作員のSSS9によって全員とも射殺され、G細胞を奪取される[40]。サラジアへ運ばれたG細胞は、白神源壱郎博士の研究室にて小麦などの作物と融合させ、砂漠でも育つ植物・スーパープラントを生む実験に使用されていた。しかし、G細胞の争奪戦に敗れたバイオメジャーの策略で研究室は爆破され、源壱郎はG細胞とともに最愛の娘・英理加を失い、研究を完成させる前に帰国し、5年間芦ノ湖の研究所に隠遁する[出典 17]

それから5年後の1990年三原山火口内にて再び生命活動を開始したゴジラに備え、国土庁は大河内財団が保管するG細胞に含まれる核物質を食べる遺伝子を利用した対ゴジラ用の生物兵器・抗核エネルギーバクテリア (ANEB) の必要性を強く認識するが、科学者の桐島一人はそれが核兵器を無力化する兵器として世界の軍事バランスを崩すのでは、と危惧していた。しかし、日々活動を活発化させるゴジラに対抗し得るものとして、自衛隊の黒木翔特佐はその開発のために源壱郎の協力要請を仰ぐ。源壱郎は一度は断るが、三原山噴火による地震でその気持ちを変え、G細胞を1週間借り受けることを条件にANEB開発への協力を承諾する[57][58]

数日後、芦ノ湖に巨大なバラのような姿の怪獣が現れる。それは、源壱郎が英理加の遺伝子を融合させたバラを救うために組み込んだG細胞の影響により、急激な異常進化を遂げた怪獣ビオランテであった[40][57]。同じころ、ANEBの引き渡しを求めるバイオメジャーからの脅迫文が首相官邸に届く[57][58]。応じない場合は三原山を爆破してゴジラを復活させるというその内容に、桐島と自衛官の権藤吾郎一佐が引き渡しに応じた結果、ANEBのボンベはSSS9に奪われたうえ、脅迫用の爆弾によって爆破された三原山火口からはゴジラが復活する[57][58]

ゴジラは浦賀水道にて護衛艦やスーパーX2を撃退すると小田原へ上陸し、芦ノ湖にてビオランテと交戦する[出典 18]。ビオランテのさまざまな攻撃に苦しめられながらもゴジラは放射熱線でビオランテを倒し[57]、駿河湾へ消える。

対G作戦の指揮を任された黒木は、ゴジラが核物質補給のために若狭湾の原発群へ向かうと予想し、最短経路の名古屋を通ると踏んで伊勢湾に総力を結集させるが、ゴジラは紀伊水道から大阪湾へ向かっていた[40][58]。裏をかかれた黒木はスーパーX2のみを大阪へ、残りの戦力を若狭湾へそれぞれ向かわせる。一方、桐島と権藤はサラジアのアジトが大阪にあることを知り、ANEBの奪回に向かう。刻一刻とゴジラの上陸が迫る中、ANEBの奪回に成功した権藤はそのままANEB弾をゴジラに撃ち込む準備に入り、ゴジラはついに大阪市へ上陸する。

スーパーX2と権藤という大きな代償を払いながらもANEB弾の撃ち込みは成功するが[57]、14時間近くを経過してもその効果は現れず、ゴジラは若狭湾を目指す。桐島の唱えた仮説「ゴジラの体温が極めて低いためにANEBの活性化が抑えられているのではないか」を受け、黒木は若狭にマイクロウェーブ6000サンダーコントロールシステム(M6000TCシステム)を設置し、人為的な落雷によってゴジラの体温を上げてANEBの活動を促す作戦に出る[40][57]。その結果、ようやくANEBは効力を発揮し始めるが、ゴジラの進行は止まらない。高浜原発に緊急態勢が発令されて緊張が高まる中、ゴジラの前に成長してさらなる進化を遂げたビオランテが出現する[57][58]。ゴジラはビオランテを撃退するが、そこでANEBの抑制効果が現れて海中に沈み、ビオランテは光の粒子と化して宇宙へ舞い上がっていく[57][58]。戦いの終わりに人々が安堵する中、SSS9によって源壱郎が射殺される[57]。SSS9は桐島に追い詰められた末、黒木が作動させたM6000TCシステムによって消滅する[57]。ゴジラは海水で体温が下がり、ANEBの効果が切れて覚醒するが、戦意を喪失して海へ去っていった。
登場怪獣


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