ゴジラvsビオランテ
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9月17日から10月6には、東宝第2ステージにて大阪ビジネスパークのセット撮影が行われた[106][258][注釈 53]。美術の大澤哲三は大阪出身であることから、セット制作にはその土地勘が反映されている[256]。舞台が狭いエリア内であることや高層ビルをフレーム内に収められないこと、ゴジラのみで対戦怪獣が登場しないことなどから、芦ノ湖と同様コンパクトなセットとしつつ、俯瞰撮影を前提としたものとして作られた[出典 99]。河幅は実物よりも広く作られており、ビルの照明を水面に反射させて照明効果を高めている[106][258]。アオリのシーンは、手前側のミニチュアのみを用いたオープンセットで撮影された[106][258]。川北は、前作では高層ビルの中でゴジラが貧弱に見えてしまったことから、本作品ではあえてアオることでゴジラの巨大感を強調し、ビルの威圧感を薄めたと述べている[188]クリスタルタワーは、撮影当時は建設中であったためミニチュアもその状態で制作された[260][注釈 54]

10月12日から18日は、東宝第8ステージでサンダービーム作戦の撮影が行われた[261][240][注釈 55]。セットは奥行きを持たせるため、バースのついた設計となっている[240]。雨の描写は、消火栓の放水管を潰して水を細かくしており、メーサータンクのアップでは霧吹きを用いている[240]

クライマックスのゴジラとビオランテの対決シーンも第8ステージで撮影された[262][182]。ビオランテは当初動く予定ではなく、川北の発案によって行われた[出典 100]。「ビオランテ#植獣形態の移動」も参照

若狭の戦闘時間の方が芦ノ湖での戦闘シーンより短く東宝から疑問の声が出た。これは川北が芦ノ湖側の撮影に時間を使い、若狭側の撮影予定を消化しきれずに時間切れとなったためである[264]

大阪のシーンでは、川北が特撮を手掛けたテレビドラマ『東京大地震マグニチュード8.1』のビル破壊シーンを流用している[226]。廃墟となった新宿のシーンでは、前作で使用したミニチュアを流用している[55]

F-15が硝酸銀を撒くシーンのためミニチュアが用意されていたが、未使用となった[265]。また、映画『アナザー・ウェイ ―D機関情報―』(1988年)で用いられたなだしお型潜水艦のミニチュアも流用予定であったが、こちらも使用されなかった[265]
未使用シーン

本編班により蔦が桟橋を破壊する描写が東宝スタジオの大プールで撮影されていたが、カットされた
[176]。大森によれば、当初は特撮班で撮影する予定であったが、撮影が進まなかったため本編で撮影したものであったという[73]。また、特撮班で蔦がボートを襲うシーンも撮影されていたが、本編班側でシーン自体が不採用となったため欠番となった[244]

芦ノ湖での戦いの後、山にバラが咲き乱れるシーンもあったが[出典 101]、バラのスケールが合わないため未使用となった[29][244]。ゴジラが木をかき分けて進むシーンも同様の理由でカットされた[243]

芦ノ湖でのビオランテ戦は、コマ撮りによる未使用カットも存在する[267][244]。全高1メートルのミニチュアで撮影された映像そのものの出来は良かったが、実写とコマ撮りのカットのバランスが悪く、結果的に不採用となった。同様に、若狭湾での戦いで倒れたゴジラを飲み込もうとするビオランテの描写も、セルアニメで表現したシーンが存在したが、これも不採用となった[263]

これらの未使用シーンは、DVDに映像特典として収録されている。
音楽

音楽は、伊福部昭ではない新しいゴジラ音楽を求めて、当時大ヒットしていたドラゴンクエストシリーズの音楽を手掛けるすぎやまこういちが起用された[出典 102][注釈 56]。また、劇中で伊福部昭の楽曲が『メカゴジラの逆襲』以来15年ぶりに使用されている[48](アルバム『OSTINATO』[注釈 57]より「ゴジラ・タイトル」、「ゴジラ対特車隊」、「怪獣大戦争マーチ」の3曲を流用[出典 103])。

映画音楽は、映像がある程度仕上がってから制作されるのが一般的であるが、本作品ではクランクアップ前に脚本などのイメージに基づいた作曲が行われた[273]。すぎやまは、場面ごとの要望に沿った音楽ではなく、組曲として1枚のアルバムを制作するかたちを望んでいたという[270]。録音は11月14日から15日にかけて行われた[194]。楽曲は、ゴジラ、ビオランテ、スーパーX2の各テーマが中心となっており、エンディング曲にはスーパーX2のテーマが充てられた[273]。エンジニアの行方洋一や指揮・編曲を行ったデービッド・ハウエルらは『ドラゴンクエスト』からのつながりで参加している[270]

冒頭の自衛隊とバイオメジャーとの戦闘でかかる「バイオウォーズ」では、ゴジラのテーマのアレンジが挿入されている[270]。大森や音楽担当者からは好評であったが、音楽プロデューサーの岩瀬政雄は後日伊福部から苦言を呈されたことを述懐している[270]

すぎやまの楽曲について、映画音楽評論家の小林淳は「軽快で口当たりの良い音楽[46]」「ゴジラ映画のエンターテイメント性を引き出してきた[273]」、東宝レコード岩瀬政雄は「流麗なハリウッド風のオーケストレーション」[268]と評している。しかし、小林はすぎやまの音楽と伊福部の音楽は水と油であった[273]、岩瀬は結果として伊福部の楽曲の方が印象に残ってしまったとも述べており、次作では伊福部本人が復帰することとなった[出典 104]


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