ゴジラvsビオランテ
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また、ゴジラが戦う場面で風や雨などを演出したのは、黒澤映画の模倣であると述べている[43][注釈 48]。一方で、操演のワイヤーが見えにくくなることから、戦闘シーンは夜が多くなり[196]、デイシーンでも暗めに映している[188]。夜間シーンではサーチライトが効果的に使われており、回転台や首振り機能付き扇風機などに取り付けて動かしているほか[243]、照明助手が手で振っていたものもある[244]

川北は、映画『大空のサムライ』(1976年)でのゼロ戦の撮影にラジコンを導入していたが、本作品では初めてヘリコプターのラジコンを用いた[233]。ラジコンの操作は、千葉のラジコンショップを介して紹介されたラジコンマニアの親子が担当しており、使用されたラジコンもその親子の私物を自衛隊カラーに塗装したものである[233]

合成作業には複数企業が参加し、日本エフェクトセンターは光線作画、マリンポストはモニター画面など、各社の得意分野で分担する体制となった[245]。川北から合成の相談を受けた東京現像所小川利弘は、合成量が増加し、作業も複雑化していたことから1社ではまかなえないと判断し、各社に依頼し小川が管理を行った[245]

CGも導入されているが、当時はCGのデータをフィルムに起こすことができるソフトがなかったため[注釈 49]プロッターを用いて紙に印刷したCGを撮影してオプチカル合成で着色する方法など、合成自体はアナログ作業で行われた[246][247]。芦ノ湖のシーンでは、合成に70mmフィルムが用いられた[248][243]。モニター画面も、ビデオテープに収録したものを再生している[246]

特撮班は1989年8月10日にクランクイン[出典 94]。同日から12日まで御殿場の陸上自衛隊東富士演習場にて、ゴジラが三原山から出現するシーンの撮影が行われた[出典 95]。前作でも同地で撮影が行われたが[233]、前作は富士裾野側、本作品では富士山側にカメラが向けられている[237]。晴天では富士山がはっきり映ってしまうため、曇天を待って3日目に撮影が行われた[233][注釈 50]。火口部分は、ブルドーザーで盛った土で作られた[237][233]

8月15日から30日には、東宝スタジオ大プールにてゴジラと自衛隊の戦闘シーンが撮影された[249][251][注釈 51]。同プールは、本来ホリゾント側が順光になるよう設計されていたが、川北は逆光による演出を狙いホリゾント上にレフ板を並べ水面をきらめかせて撮影を行った[出典 96]。実験的にラジコンヘリも用いているが[252][249]、操作が難しいため大プール内に墜落することもしばしばあったという[253]。撮影にはクレーンやいかだを用いられたが、いかだが転覆してカメラが使用不能となる事故が起きている[出典 97]。操演のセッティングには、映画『竹取物語』(1987年)で沢口靖子が演じる加耶が昇天するシーンで使用された籠を用いている[247]。9月7日に行われたゴジラが熱線を吐くシーンの撮影では、爆破のショックによりプールのヒビが広がり、水が流出する事故もあった[254]

8月31日から9月12日には、東宝第8ステージにて芦ノ湖セットの撮影が行われた[255][256][注釈 52]。従来は第9ステージで特撮の撮影が行われていたが、当時はスペースワールドのイベント映像撮影が行われていたため、第8ステージが使用された[256]。ホリゾントの低さをカバーするためにセット自体が小さく作られ、アオリ気味の演出で巨大感を表現しつつ、スモークで機材が水面に映り込むことを防いでいる[出典 98]。湖面の霧は、魔法瓶に詰めた液体窒素を水中で爆破して表出させたものである[233]。また、セットとカメラの間に木のミニチュアを置くことで奥行きを出しており、この手法は以後の作品でも用いられた[257]。湖面は実際に水を張ったプールとなっているが、照明機材などが漏電しており、感電するスタッフが多かった[253]。一部のシーンでは大プールも用いている[176]。ビオランテの炎上シーンなどはオープンセットで撮影された[176]

9月17日から10月6には、東宝第2ステージにて大阪ビジネスパークのセット撮影が行われた[106][258][注釈 53]。美術の大澤哲三は大阪出身であることから、セット制作にはその土地勘が反映されている[256]。舞台が狭いエリア内であることや高層ビルをフレーム内に収められないこと、ゴジラのみで対戦怪獣が登場しないことなどから、芦ノ湖と同様コンパクトなセットとしつつ、俯瞰撮影を前提としたものとして作られた[出典 99]。河幅は実物よりも広く作られており、ビルの照明を水面に反射させて照明効果を高めている[106][258]。アオリのシーンは、手前側のミニチュアのみを用いたオープンセットで撮影された[106][258]。川北は、前作では高層ビルの中でゴジラが貧弱に見えてしまったことから、本作品ではあえてアオることでゴジラの巨大感を強調し、ビルの威圧感を薄めたと述べている[188]クリスタルタワーは、撮影当時は建設中であったためミニチュアもその状態で制作された[260][注釈 54]


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