ゴジラvsデストロイア
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スペースゴジラとの戦いから1年後の1996年、バース島が消失し[39]ゴジラリトルゴジラが姿を消す。その1か月後、香港に全身から蒸気を発して燃えるように赤く発光させたゴジラが出現し、九龍島の南端に上陸すると赤い熱線を吐きながら香港の町を破壊する[39][40]。バース島の消滅は、その地下に存在する高純度の天然ウラン熱水に反応した結果の爆発であり、その影響を受けて体内炉心が異常に発熱して核エネルギー反応が不安定になったゴジラは、いつ核爆発を起こしてもおかしくない状態であった[39]

同じころ、青海トンネルの工事現場でトンネルマシンのシャフトや工事用パイプが溶解するトラブルが相次いで発生したほか、しながわ水族館では水槽の魚が突然水に食われるかのように白骨化する怪事件が起きる[39][40]。その原因は、かつてオキシジェン・デストロイヤーを使用してゴジラを抹殺した際、海底の土壌に眠っていた古生代の微小生命体が無酸素環境下で古代の地層から復活し、異常進化を遂げた恐るべき生物・デストロイアであった[39][40]。デストロイアは急速に巨大化し、人間大にまで成長して臨海副都心警視庁特殊部隊と交戦したうえ、自衛隊による攻撃に対して集合・合体し、40メートルの成長体と化して破壊の限りを尽くす[39]

そんな折、御前崎の海水浴場にゴジラに酷似した怪獣が出現する[39]。それは、行方不明となっていたリトルゴジラが天然ウランの影響を受けて急成長した、ゴジラジュニアであった[39]。バース島を失ったジュニアは、自らの故郷であるアドノア島へ帰ろうとしていたのだった[39]

ゴジラは四国電力伊方原子力発電所に向かうが、寸前でゴジラ迎撃のために出撃したスーパーXIIIの放った超低温レーザー光線によって動きを止め、カドミウム弾により、体内の核反応が抑制され始めた[39][40]。これにより、核分裂が制御され、核爆発の危機は回避されたが、6時間後に行動を再開し、体内炉心温度は900度を超えるまでに上昇し、内部から溶け出したメルトダウン寸前の状態となっていた[40]。国連G対策センターは、もはやゴジラのメルトダウンを阻止するには、オキシジェン・デストロイヤーを内包するデストロイアをゴジラと戦わせるしかいないと判断する。ゴジラとデストロイアを戦わせるため、ジュニアを囮としてゴジラをデストロイアに誘導させる作戦が提案される[39]。死闘の舞台が臨海副都心から羽田空港へ移る中、ゴジラの最期も刻一刻と迫っていく。

ゴジラとジュニアは再会するが、ジュニアはデストロイアに倒されてしまう。ゴジラとデストロイアは激闘の末、デストロイアは自衛隊の冷凍兵器によって倒される[39][40]。炉心温度が1200度に達して体が融解し、メルトダウンを開始したゴジラは、冷凍兵器を浴びながら全身からの放射線によって東京死の街と化し、その生命も尽きていった[39][40]。しかし、その直後には放射線量が急激に低下し、霧の中で死んだはずのジュニアが新たなゴジラに成長して姿を現し、咆哮をあげる姿をもって物語は幕を下ろす[39][40]
登場怪獣
ゴジラ
詳細は「
ゴジラ (平成VSシリーズ)#『ゴジラvsデストロイア』」を参照
デストロイア
詳細は「デストロイア」を参照
ゴジラジュニア
詳細は「ゴジラジュニア#『ゴジラvsデストロイア』のゴジラジュニア」を参照
登場人物

※ここでは『東宝SF特撮映画シリーズVOL.10 ゴジラVSデストロイア』で「主な登場人物」として掲載されている人物のみを挙げる[41]
伊集院 研作(いじゅういん けんさく)[42][43]
本作品の主人公。国立物理化学研究所所属の物理化学者[出典 13]。36歳[出典 13]酸素研究の過程で偶然ミクロオキシゲンを発見・発明し[47]、国際物理学賞を受賞したことでマスコミから注目を集め始めている。芹沢博士に心酔しており[46]、40年前にオキシジェン・デストロイヤーによって無酸素状態となった東京湾岸周辺の地質が先カンブリア紀の謎を解くヒントになると考え、トンネル工事事故調査の際、現場の土を密かに持ち帰った。ゆかりからはその行動が「悪魔の発明」の再来につながるのではないかと危惧されるが、自身は芹沢の遺志も強く尊重しており、「現代のエネルギー事情では悪魔の手すら必要を迫られるかも知れない」と苦悩を吐露しつつ、オキシジェン・デストロイヤーの再開発に対しては反対の立場を貫いている。中盤からはデストロイアに襲われたゆかりを捨て身で救い、さらにゴジラのメルトダウンやデストロイア撃退に冷凍兵器使用を提案するなど、肩書きにとどまらない活躍も見せた。

脚本を担当した大森一樹は、自身が離れていた『ゴジラvsメカゴジラ』および『ゴジラvsスペースゴジラ』で世界観が現実離れしたと感じ、現実に近いレベルに戻すため、現実的な科学者として伊集院を創作した[48]。演じる辰巳琢郎は準備稿段階から意見を出しており、当初は見せ場がなかったが、ゆかりを助けに向かうシーンやヘリコプターに搭乗するシーンなどが追加された[49]

大森による設定シナリオでは、伊集院勝利という名で年齢も50歳となっていた[50]。ゆかりにあたるニュースキャスターはその娘という設定で、勝利の父・芳雄は第2次世界大戦で日本初の原子炉を開発した人物とされ、伊集院家を中心とした物語となっていた[50]

特殊部隊の火器攻撃を中止させるために警告をした警官とのやりとりは第1作『ゴジラ』の山根博士のオマージュである[51][52]。辰巳はそのことを知らず、監督の大河原孝夫からも特に説明はなかったといい、変に意識しないよう配慮されていたのかもしれないと述懐している[53]

衣装は、インテリのイメージからオーソドックスなトレッド系としており、辰巳は上着を着回していることから伊集院はファッションに無頓着であると解釈している[49]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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