23世紀の日本はアメリカ、ソ連、中国をしのぐ世界最大国へと発展し、圧倒的な軍事力と経済力で世界の国々を隷属させていた。そこで国力の格差是正を訴える組織に属するウィルソンらは、ゴジラに代わって自らがコントロール可能な怪獣キングギドラを使って20世紀の日本を従属させ、23世紀の日本を弱体化させようと企んでいたのである[54]。キングギドラは福岡周辺一帯を壊滅させた。一方、祖国の惨状に衝撃を受けたエミーはウィルソンたちの計画に疑念を抱き始め、以後寺沢たちに内通するようになる[55]。
この危機に対し、巨大コンツェルン帝洋グループの総帥で、かつてゴジラザウルスに命を救われた新堂は、ゴジラを復活させるべく、東南アジア某国に隠し持つ核搭載型原子力潜水艦ムサシ2号をベーリング海に派遣しようと企てる[55]。そんな中で未希は、テレパシー能力によってベーリング海にゴジラザウルスとは異なる巨大な影を感知していた[55]。ゴジラザウルスはベーリング海に偶然にも沈没したソ連原子力潜水艦の核燃料の影響を受け、すでにゴジラへ変異していたのだ[33][54]。復活したゴジラは民間の原子力潜水艦であるムサシ2号を撃沈してその核エネルギーを吸収し、さらに強大な存在と化して日本に上陸、北海道網走の原野でキングギドラと会敵する[55]。「奴はもう一度、我々のために戦ってくれる……」と呟く新堂。ウィルソンの操るキングギドラにゴジラは苦戦を強いられるが、造反したエミーがキングギドラのコントロール装置を破壊すると形成が逆転、ゴジラはキングギドラをオホーツク海に沈め、ウィルソンのUFOも破壊する[54]。しかしゴジラは日本に牙を向くかの如く、今度は首都東京への侵攻を開始した[54][55]。
寺沢たちはゴジラの脅威から日本を救うために、キングギドラを23世紀の技術で再生し、再度ゴジラと戦わせるという計画を思いつく[33][55]。計画を実行するためにエミーは帰還を約束して2204年へと帰っていった。ゴジラに破壊し尽くされた23世紀の日本は最貧国となっていたが、オホーツク海ではキングギドラも瀕死の状態ながら生命力を残していた。
首都を破壊するゴジラは新宿の帝洋グループ本社ビルに接近。独り残る新堂を目の当たりにしたゴジラは一瞬沈黙するが、大きくほえるととともにビルを新堂もろとも破壊する。なおも侵攻を続けるゴジラの前に、時空を超えて再生を遂げたメカキングギドラがその姿を現した。エミーが操縦するメカキングギドラは、激闘のすえ捕獲装置でゴジラを捉えるも、小笠原海域でゴジラの熱線を受け、ともに深海へ沈む[54][55]。脱出したエミーは20世紀の故郷に別れを告げると、23世紀へ帰っていった[54][55]。
登場怪獣
ゴジラ
詳細は「ゴジラ (平成VSシリーズ)#『ゴジラvsキングギドラ』」を参照
ゴジラザウルス
詳細は「ゴジラ (平成VSシリーズ)#ゴジラザウルス」を参照
キングギドラ
詳細は「キングギドラ (平成VSシリーズ)」を参照
ドラット
詳細は「キングギドラ (平成VSシリーズ)#ドラット」を参照
メカキングギドラ
詳細は「キングギドラ (平成VSシリーズ)#メカキングギドラ」を参照
登場人物
エミー・カノー
本編の主人公。23世紀・地球均等環境会議の穏健派メンバー[出典 18]。25歳[出典 18]。日本人女性で、2204年から1992年にMOTHERでウィルソンやグレンチコらと共にタイムワープしてやって来た[61][60]。当初は現代人への警告名目でウィルソンたちに同行し、ゴジラを抹殺する作戦に協力した。しかし、新たに出現させたキングギドラで、現代の日本を攻撃して国力を消耗させようとするウィルソンたちの方針に反発し、寺沢たちに協力する[60]。自分を力ずくで連れ戻そうとしたM11に野次をぶつけまくりながら追い払おうとしたり、メカキングギドラに乗り込んでゴジラに戦いを挑むなど、気丈でアクティブな女性である[60]。実は、寺沢の子孫である[59]。本編では寺沢本人に言うことはなかったが、ノベライズ版では別れの直前に画面越しに述べている。ノベライズ版では、寺沢と千晶の結婚パーティーにコッソリ現れ、受付に自分と母親の写真が入ったペンダントを千晶に渡すように頼んだ。
大森一樹による『ゴジラ3 ストーリー概要』では、「エミ」という名前であった[62]。また、脚本準備稿までは寺沢の子孫だという設定はなく、千晶も登場しないため、寺沢との関係性はほのかなラブロマンスとなっていた[63]。
エミーの心情や立ち位置の変化にあわせて、髪型や衣裳も変化している[64]。演じた中川安奈は、未来人としての要素は脚本で書かれていた機械類の扱いなどの部分に委ね、自身の演技では現代人との違いを意識せずに演じたと述べている[64]。
寺沢 健一郎(てらさわ けんいちろう)[65][66]
超常現象専門のノンフィクションライター[出典 19]。33歳[出典 19]。「太平洋戦争時代に恐竜を見た」というネタを追っていくうちに、ゴジラ誕生の仮説を立て『ゴジラ誕生』という著書で出版しようと目論んだことから、今回の一件に深く関わっていく[60]。都会の外れに自らが書いた超能力関係の著書での収入で建てた一軒家に住んでいるが、本人は人物系ノンフィクションへ移行したいと考えている[67]。ウィルソンを殴り合いで倒すほど、血気盛んで腕っ節も強い。愛車はトヨタ・ランドクルーザー[69]。結局、『ゴジラ誕生』は記録に残るほど話題には至らなかったが、ノベライズ版ではエミーが歴史を改変したため、国際的な大ベストセラーとなった。
演じる豊原功補は、監督の大森一樹から日常生活のような雰囲気の芝居という方向性を提示され、カップ焼きそばを食べながらのシーンなどを取り入れた[70]。千晶との関係性についても、ドライなのではなく自然な会話の仕方であったと述べている[70]。