新宿のセットはミニチュアのフルセットではなく、各シーンや各セットでの切り替えに合わせたミニチュア・セットとなった[220][238][注釈 39]。川北は、このセットは新宿を再現するためのものではなく、映画の効果として壊すためのものであるため、前々作のようにディテールにはこだわらなかったと述べている[238]。新宿三井ビルディングの隣には、実在しないバンダイのビルが置かれている[227]。メインセットの前に別のセットを置くことで、奥行きを出している[242]。
しかし、撮影半ばの6月3日、メカキングギドラがゴジラに飛びかかり都庁舎へ突っ込むというシーンの撮影で、準備中にゴジラとメカキングギドラを吊っていたワイヤーが切れてしまい、スーツ2体が都庁舎のミニチュアに衝突し損壊するというアクシデントが発生した[出典 109][注釈 40]。美術の大澤哲三は、復旧には数日かかると考えたが、川北は翌日までに修復することを指示し、都庁舎の破損箇所には型紙とスプレーを用いて窓状の柄を描いた石膏ボードを貼り付けるという手法で、一晩での修復を実現した[235][198]。通常、石膏が完全に乾くまで1週間を要するが、川北はなんとかできるだろうと修復後すぐに撮影に入った[238]。
6月18日から21日には第9ステージでゴジラの札幌大通り出現シーンの撮影[222][197][注釈 41]、6月14日・15日には第7ステージでキングギドラの福岡出現シーンの撮影が行われた[231][197][注釈 42]。札幌のミニチュアセットでは、公開時の季節を鑑みテレビ塔のデジタル時計の時刻を午後7時に設定したが、本編班がロケを行った際はまだ同時刻では日没には早い時期であったため、編集段階で画像を調整している[223][197]。さらに雨も降ってきたため、先行する特撮との整合性を考慮して本編パートは地下街のシーンが中心となった[223]。
キングギドラの天神襲撃シーンは、映画『空の大怪獣 ラドン』(1956年)に登場する天神襲撃シーンのオマージュである[94][245]。福岡駅前は当時とは様変わりしていたためまったく同じ構図とはならなかったが、通常より大きめの1/15スケールのミニチュアを用いて同作品に近い雰囲気を表現している[245][注釈 43]。タイアップの看板は更に大きめに作られている[107]。予算の都合でキングギドラの引力光線でビルが爆散するシーンの一部は石膏板に引き伸ばしたビルの写真を貼ったものを爆破している[232][107]。
7月2日から17日には、第9ステージで網走でのゴジラとキングギドラの対決シーンが撮影された[出典 110][注釈 44]。川北は、同シーンでは破壊する対象がないことから、ゴジラとキングギドラとの戦いをダイナミックに描写することを心がけていた[114][248]。また、空や陸との立体的な構図も意識している[248]。原野のセットは、様々なカメラポジションをとれるようレールで分割移動できる構造となっており、富士山麓でのMOTHERのシーンにも流用された[242]。7月16日には、簡易小ステージでMOTHERの合成カットが撮影された[135]。
7月12日から17日には、オープンセットや大プールでメカキングギドラの飛行シーンが撮影された[230][注釈 45]。大プールで行われたクライマックスの海上シーンは、水量不足により上から見下ろす構図が中心となった[249]。
7月18日から20日には第7ステージでMOTHER格納庫の撮影[230][注釈 46]、7月24日・25日には第9ステージで深海のシーンが撮影された[246][注釈 47]。深海の描写では、距離感を出すため、現実的なゴジラとの比率では見えないマリンスノーをあえて描いている[114]。疑似海底での潜水艦の表現は、映画『レッド・オクトーバーを追え!』を参考にしている[114]。
キングギドラが中京の石油コンビナートを破壊するシーンは『東京湾炎上』(1975年)の流用で[250][183]、引力光線の合成を追加している[183]。該当シーンはもともと絵コンテに存在しなかったが、絵コンテにはゴジラが東京湾に上陸して、コンビナートを破壊するシーンが存在する(こちらは撮影されていない)。
キングギドラと空中戦を行うF-15の映像の一部は、東映制作の映画『BEST GUY』(1990年)の映像を流用している[217]。