ゴジラvsキングギドラ
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5月16日から20日には、第9ステージでの新宿セットの設営期間を利用して、東宝スタジオのオープンセットおよび大プールでゴジラザウルスが登場するラゴス島のシーンが撮影された[233][226][注釈 35][注釈 33]。東宝スタジオの造園スペースをジャングルに見立てた撮影は、過去にも広島博覧会のイベント映像撮影で行われており、本作品での撮影はその時のノウハウを用いて当初から予定されていた[226]。川北は、ゴジラではなく恐竜映画を撮るという意識から、ゴジラザウルスのシーンはすべて自然光で撮影している[233][224]。5月19日の撮影は、スタジオが停電であったため発電機やバッテリーなどで電源を確保して行われた[229]。プールでの米軍の艦船は、『連合艦隊』(1981年)での戦艦大和などのミニチュアを改造したものが用いられた[233][228]

5月24日から6月4日にかけては、第9ステージの新宿新都心セットで撮影が行われた[231][235][注釈 36]。前作では、クライマックスの撮影をスケジュールのラストに持ってきたため日程の圧迫やスタッフの疲弊などにより思った撮影が出来なかったという反省から、本作品ではクライマックスを序盤に撮影することとなった[236][198]。撮影用カメラが3台使用され、撮影当時に完成したばかりの東京都庁を舞台とする戦闘を展開して破壊し、造られた都庁ミニチュアは完成に1か月を要したうえにその高さは5メートルを超えたため、東宝特撮史上最高の石膏ビルとして大きな話題となった[出典 108][注釈 37]。このミニチュアは、自重で倒壊するのを防ぐため、90センチメートルごとのパーツを組み上げており、内部には鉄骨を仕込んでいる[147][239][注釈 38]。大きすぎるため一度に壊すことはできず、4回ほどに分けて壊すシーンが撮影されることとなった[240]

新宿のセットはミニチュアのフルセットではなく、各シーンや各セットでの切り替えに合わせたミニチュア・セットとなった[220][238][注釈 39]。川北は、このセットは新宿を再現するためのものではなく、映画の効果として壊すためのものであるため、前々作のようにディテールにはこだわらなかったと述べている[238]新宿三井ビルディングの隣には、実在しないバンダイのビルが置かれている[227]。メインセットの前に別のセットを置くことで、奥行きを出している[242]

しかし、撮影半ばの6月3日、メカキングギドラがゴジラに飛びかかり都庁舎へ突っ込むというシーンの撮影で、準備中にゴジラとメカキングギドラを吊っていたワイヤーが切れてしまい、スーツ2体が都庁舎のミニチュアに衝突し損壊するというアクシデントが発生した[出典 109][注釈 40]。美術の大澤哲三は、復旧には数日かかると考えたが、川北は翌日までに修復することを指示し、都庁舎の破損箇所には型紙とスプレーを用いて窓状の柄を描いた石膏ボードを貼り付けるという手法で、一晩での修復を実現した[235][198]。通常、石膏が完全に乾くまで1週間を要するが、川北はなんとかできるだろうと修復後すぐに撮影に入った[238]

6月18日から21日には第9ステージでゴジラの札幌大通り出現シーンの撮影[222][197][注釈 41]、6月14日・15日には第7ステージでキングギドラの福岡出現シーンの撮影が行われた[231][197][注釈 42]。札幌のミニチュアセットでは、公開時の季節を鑑みテレビ塔のデジタル時計の時刻を午後7時に設定したが、本編班がロケを行った際はまだ同時刻では日没には早い時期であったため、編集段階で画像を調整している[223][197]。さらに雨も降ってきたため、先行する特撮との整合性を考慮して本編パートは地下街のシーンが中心となった[223]

キングギドラの天神襲撃シーンは、映画『空の大怪獣 ラドン』(1956年)に登場する天神襲撃シーンのオマージュである[94][245]。福岡駅前は当時とは様変わりしていたためまったく同じ構図とはならなかったが、通常より大きめの1/15スケールのミニチュアを用いて同作品に近い雰囲気を表現している[245][注釈 43]。タイアップの看板は更に大きめに作られている[107]。予算の都合でキングギドラの引力光線でビルが爆散するシーンの一部は石膏板に引き伸ばしたビルの写真を貼ったものを爆破している[232][107]

7月2日から17日には、第9ステージで網走でのゴジラとキングギドラの対決シーンが撮影された[出典 110][注釈 44]。川北は、同シーンでは破壊する対象がないことから、ゴジラとキングギドラとの戦いをダイナミックに描写することを心がけていた[114][248]。また、空や陸との立体的な構図も意識している[248]。原野のセットは、様々なカメラポジションをとれるようレールで分割移動できる構造となっており、富士山麓でのMOTHERのシーンにも流用された[242]。7月16日には、簡易小ステージでMOTHERの合成カットが撮影された[135]

7月12日から17日には、オープンセットや大プールでメカキングギドラの飛行シーンが撮影された[230][注釈 45]


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