ゴジラ_(架空の怪獣)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

また、放射熱線を放つ際の背びれのギミックについては、参考としたインプロージョン方式のように一つに集まるイメージが欲しかったことから、予備動作として儀式を盛り上げるような要素を考えた結果、思いついたという[70][注釈 14]。震電がゴジラを誘導した際の農村の風景については、当初は『シン・ウルトラマン』のデータを利用しようかと考えていたが、現代の風景やデータの重たさから実際の作業を考えて断念し、ロケ地にドローンを何回も飛ばして写真を多々撮影してもらってから構築する方法で作ったが、細かい箇所は上手くいかず木を植えたりする作業が必要となり、予定にない作業なので自分が担当したという[69]

企画・プロデュースの岸田一晃は、これまで培われたゴジラ像から離れた異端ともいうべき『シン・ゴジラ』のゴジラに対し、本作品ではこれまでの約70年の歴史の中で描かれたゴジラへのリスペクトを持ち合わせつつ、より強くより怖い正統派のゴジラを目指したという[71]

岸田は、本作品は人々が生を追求する物語である以上、直接的に人間に対して危害を加えて死なせる描写を表現することで、ゴジラという存在の恐ろしさを描いているという[71]

ゴジラとの戦いについては、当初は第1作でのオキシジェン・デストロイヤーを使ったことに倣い、再生能力を暴走させて殺害する超兵器「ゲノムアクセラレータ」を開発する案が検討されたが、最先端すぎてあまり現実的ではないとの結論から、かつて山崎が『アルキメデスの大戦』でも依頼した後藤一信が軍事監修兼作戦立案で参加することとなった[72]。後藤は戦後当時の日本がゴジラとどう戦えるのかとさまざまな作戦を考えてくれたうえ、泡で包んで沈めた海中にてフロンガスを使用することによって生じた大量の氷柱がゴジラに突き刺さるとの後半部分のアイデアも考えてくれたが、山崎は一撃で終わってしまうので映画としての面白味に欠けると判断し、前半だけ採用させてもらったという[72]
デザイン(ゴジラ-1.0)

デザインスケッチは山崎、デザインはモデリングアーティストの田口工亮が担当[63][71]。本作品のゴジラはフルCGで描かれている[37][60]

当初は『ゴジラ・ザ・ライド』とは異なる方向性のデザインも検討されており、獣感の強い細身体形で前傾姿勢のものもあり、かかとを浮かせた足の形は最後まで引き継がれている[63]。そのほかにも、背びれが現在よりも目立つもの、俊敏そうな鳥足のような脚をしたもの、半身をビキニ環礁で被爆してその半分がゴジラのようなもの、もう半分がケロイド状のものなど、試行錯誤が重ねられた[63][71]。顔の肉が機雷で取れてからは、エラーが細胞再生に生じて骨や牙が見えたスカーフェイス状態になってしまうものも考えられたが、後半にずっとその顔で登場するのはどうかと思い、なくなった[63]

本作品のゴジラは細胞が再生するが、あまりにも酷いダメージを受けると完全に再生できずにエラーが出るというものとなっており、一度ビキニ環礁の原爆実験によって強烈なダメージを受け、再生しようとしてこの姿になったという設定のため、新生丸の機雷や高雄の砲撃によって再生した部分は他と顔の色が異なることから、ある程度ディス・イズ・ゴジラという部分は大事にしなければと思い、初代『ゴジラ』に近い時代設定にしたということもあり、変化球なデザインでは無い王道的なゴジラにしようと決めていたため、最終的に理想的なゴジラであった『ゴジラ・ザ・ライド』のゴジラが一番良いと判断し、それをブラッシュアップしたものとなった[63][71]

ハリウッドの前傾姿勢のゴジラは戦う気満々であるが、首が立った日本のゴジラは半分は神様であることから、基本的には直立しており、人間のようには見えないように足は獣脚となっている[63]

『シン・ゴジラ』では長い尻尾は特徴的であったが、本作品のゴジラはそうでもない長さだという[63]。だが、素早く尻尾が振り回されると街に大変な被害をおよぼすものとなっている[63]

『シン・ゴジラ』では人間のような目であったことから、本作品では当初は半月形の「ゴジラ目」にする予定であったが、田口が人間のような目に何度もしていたため、怖い目であるとだんだん思えてきて、田口のこだわりを活かすものとなった[63]
造形・表現(ゴジラ-1.0)

スーツは制作されていないが、高さ2.3メートルの模型が東宝によって5体制作されており、TOHOシネマズ日比谷(2023年7月14日から8月31日まで)[73]ワンダーフェスティバル2023夏(2023年7月30日)[73]大浜パーキングエリアの下り売店(2023年12月10日まで)[74]などに展示されている。

山崎は、『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』の映像を作った際に怖さが距離の近さであるということを思ったといい、距離が近いのはスーツが人間に近づくとディテールのバレが出てしまうが、デジタルであると情報を寄った分だけ追加していけるといい、できるだけデジタルにしかできない表現を入れないとデジタルにした意味がないため、序盤で大戸島に出現したゴジラの攻撃方法はデジタルゆえの距離の近さであり、相互関係が作れるという良さであるという[68]

ある程度は恐竜のような動きをできるようにして、感情的になった際には激しく体を動かすが、ハリウッドのゴジラのように野獣的に戦うのではなく、神様と獣の両方を兼ね備えた存在という意識であると考えたという[63]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:528 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef