戦闘の際には巨体を振るうことによる破壊以外はかぎ爪を用いる程度で[102]、過去作品の登場個体のような放射熱線を吐く能力は持っていないが、出火している場所に息吹を吐きかけることで火力を増大させ、対象に命中させるといった攻撃も用いる[注釈 29]。また、強靱な脚で飛び上がって相手に強烈な蹴りを浴びせるハイジャンプ・キックを使いこなす[注釈 30]。
変温動物であるため、極端に体温が低い。劇中ではゴジラの体温よりもビルの温度の方が高かったため、赤外線探知ミサイルで狙ったにもかかわらずミサイルが外れてクライスラービルを破壊してしまうという描写が存在する。
動きは時速480キロメートルで走れるほど素早いため、時速150キロメートル(原語では時速80ノット)の戦闘ヘリからも逃れられる。一方、ハドソン川では魚雷の直撃によって衰弱する、終盤ではタクシーに翻弄されるという演出もなされている[注釈 31]。水中での移動速度は魚雷と同等で、米原潜の3倍。
無性生殖によって一度に200個のベビーゴジラの卵を産卵するため、倒し損ねれば数年で人類を滅ぼす恐れがあると分析される。しかし、砲弾で出血するうえ、魚雷で深手を負い(小説版[要ページ番号])、最後は主人公たちが乗るタクシーに誘導されてブルックリン橋のワイヤーに絡め取られて動けなくなったところでF/A-18C編隊が発射したハープーンミサイル攻撃によって絶命するなど、肉体は過去作品の登場個体と違って脆弱である。マディソン・スクエア・ガーデンにおいて孵化したベビーゴジラの大群や多くの卵も同じようにF/A-18Cのハープーンミサイルによる空爆で全滅するが、エンディングでは残っていた卵1個からベビーゴジラが誕生する[99](ベビーゴジラのその後については「ゴジラ ザ・シリーズ#ゴジラ」を参照)。
日本版と本作品のゴジラは共に製作時点における恐竜の復元図を元にしているが、恐竜研究の進歩に伴って復元図も大きく変化しており、両者のデザインが大きく異なった要因の一つとなっている[注釈 32]。
本作品のゴジラは、怪獣ではなく動物であるとされている。怪獣であると人間にとって悪役になってしまい、ニューヨークには子供を産む巣作りのためにやってきただけであり、自分からは攻撃せず、ある意味では悪役だが、むしろ核によって生まれた悲劇的なキャラクターであるとしている[103]。また、タトプロスがゴジラに対して最初は驚愕し、次第に共感していくものの、人間が共存するためにゴジラを殺さなければならない、と葛藤する「感情の旅」を観客に感じてほしかったため、本作品では『ゴジラ』のみならず、『キングコング』や『フランケンシュタイン』という3大モンスター映画に共通する精神を大切にしたという[103]。
鳴き声は日本版をモチーフとして、新たに録音・制作されたものが使用された。ベビーゴジラの鳴き声はフランク・ウェルカーが担当した[104]。
日本版でも戦車など通常兵器で傷を負う、細胞が回収されるといった描写はあったが、この「通常兵器で絶命する」という設定は日米ゴジラにおける大きな相違点となっている。これについて、日本版プロデューサーの富山省吾は「アメリカにおける怪獣とは『乗り越えるべき存在』、日本においては『畏怖すべき存在』であるという価値観の違いが現れた」と述べている。なお、最初の戦いでは魚を漁っている最中に米軍の奇襲による戦車の砲弾で負傷しているが、銃撃では負傷に至っていない。
劇中でのゴジラの命名は、冒頭でゴジラに襲われた日本漁船の生き残りの口から発せられた言葉「ゴジラ」が由来となっている。劇中設定ではゴジラは日本の古い神話に伝わる巨大な海の怪物であり、小説版ではそれに関する舟歌が記述されている[要ページ番号]。
小説版では「ワニに似た怪獣」と明記されている[要ページ番号]。小説版の説明によれば複数の遺伝子が入り混じった雑種の突然変異体であり、その中でもワニが色濃く反映されているとする(産卵に関してもタトプロスはワニに例えている)。これ以外にもコモドオオトカゲ、さらには鳥類の特徴も備えていると語られている[要ページ番号]。また、小説版ではカメレオンのように体色を変化させることができるとも説明され[要ページ番号]、映画でもビル群の中ではダークグレイ気味の体色となっている[注釈 33]。