ゴジラ
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その後、「昭和ゴジラシリーズ」と同様、対決ものとしてシリーズ化され、1991年公開のシリーズ第18作『ゴジラvsキングギドラ』以降は正月映画として1995年公開の第22作『ゴジラvsデストロイア』まで毎年1本のペースで製作された[18]

第2期の初期(『ゴジラ』『ゴジラvsビオランテ』)は高齢化した当時のゴジラファンをターゲットにしていたためストーリーもマニア層向けであった。しかし実際の観客は親子連れが多数を占めていたため、徐々にファミリー向け娯楽映画にシフトしていき、内容もファンタジー要素やエンターテイメント性が強くなっていった。また『ゴジラvsビオランテ』が評価を得なかったため、その後は昭和の人気怪獣の再登場路線となる[19]。『ゴジラvsキングギドラ』以降は動員数も大幅に向上し、スタジオジブリ作品などと並び、毎年の邦画興行ランクの1・2位を争うドル箱シリーズとして定着していった。

その後、ハリウッド版『GODZILLA』の製作決定をきっかけとし、いったんシリーズの終了が決定[注釈 2]。シリーズ第22作『ゴジラvsデストロイア』で劇中ではゴジラの「死」を描きシリーズが終了した[20]。シリーズ7作品の観客動員数合計は2,330万人、総配給収入は119億3,000万円におよぶ[21]

このゴジラ休止の時期には、平成モスラ3部作が公開された。
シリーズの特徴(vsシリーズ)

総称として、平成ゴジラシリーズ、VSシリーズ、復活ゴジラシリーズなどの呼称が用いられている[22]

「平成ゴジラシリーズ」は、シリーズ第22作『ゴジラvsデストロイア』の全7作まで一貫した世界観となっており、『ゴジラvsビオランテ』で初登場した超能力少女・三枝未希(演:小高恵美)がシリーズの要として続けて登場している。ゴジラは一貫して人類の脅威として描かれ、対決相手は人類側の兵器ないし味方(メカキングギドラ、モスラ、メカゴジラ、モゲラ)あるいは三つ巴の戦いとなっている。後半、『ゴジラvsメカゴジラ』からは自衛隊に代わる新たな対ゴジラ組織・Gフォースと新怪獣のベビーゴジラ(後のリトルゴジラ)が登場した。なお「VSシリーズ」と「ミレニアムシリーズ」(『FINAL WARS』以外)は映画製作・公開年の翌年を物語の舞台にしている。クライマックスとなる戦場には公開当時に話題となった名所が選ばれることが多い(新宿都庁、みなとみらい、幕張メッセなど)。

この当時は、主に新作公開の時期に合わせて『金曜ロードショー』(vsモスラ)、『水曜ロードショー』(vsビオランテ)、『ゴールデン洋画劇場』(vsキングギドラ、vsスペースゴジラ、vsデストロイア)などのゴールデン枠でも作品が全国ネット放映され、高視聴率をマークしている。

この当時に防衛庁の広報課で対外広報を担当していた潮匡人によれば、1992年ごろにゴジラ映画に対する協力体制が本格化したという[23]

各作品の別名として『ゴジラ』を『ゴジラ1』とするナンバリングタイトルが存在し、(例:『ゴジラvsメカゴジラ』=『ゴジラ5』、『ゴジラvsスペースゴジラ』=『ゴジラ6』、『ゴジラvsデストロイア』=『ゴジラ7』)劇場版本編終了後の特報などで見られる。

このシリーズでは特殊技術を川北紘一(『ゴジラ』のみ中野昭慶)、ゴジラのスーツアクターは昭和シリーズでヘドラ、ガイガンを担当した薩摩剣八郎が務めている。休止期間中の1997年には第1作からゴジラ映画を製作し続けてきた田中友幸が死去し[24]、ゴジラシリーズとしては『ゴジラvsデストロイア』が最後の参加となった。
海外製作作品(トライスター版)

1998年にトライスター ピクチャーズ提供による『GODZILLA』が公開された。興行面では世界的に成功を収めたものの、軽快な作風のモンスタームービーに仕上げられた作品は従来のゴジラ像の乖離から日米のゴジラファンを満足させるものではなかった[25]。今までに無い生物感溢れるゴジラの造形や劇中のVFXは評価されたものの、第19回ゴールデンラズベリー賞で最低リメイク賞、最低助演女優賞を受賞。予定されていたシリーズ化には至らなかった。
ミレニアムシリーズ
シリーズの経緯(ミレニアムシリーズ)

当初の予定では平成ゴジラシリーズ終了後、平成モスラ三部作と地球防衛軍三部作を製作し、21世紀に入ってからゴジラを復活させるという計画であった。だが、東宝系の劇場や営業の方からモスラでは興行成績が厳しいという意見が起き、ゴジラ復活の要望が起こる[26][27]

そうした声に押される形で、1999年のシリーズ第23作『ゴジラ2000 ミレニアム』でシリーズが再開された。この作品で2度目の世界観のリセットが行われる。第1作以外の過去のエピソードは一切語られず、ゴジラは地震台風などの自然災害と同じように文明への脅威の存在として設定された。

本シリーズの一部は第1作とその他の東宝特撮作品の世界観を反映した。しかし200万人から400万人と比較的高い観客動員数を維持した平成ゴジラシリーズと比べ、本シリーズは100万人から200万人ほどと大幅に減少した。そのため平成ゴジラシリーズと同じく、モスラキングギドラメカゴジラなどの人気怪獣の再登場路線となった。2001年から2003年までは『とっとこハム太郎』と併映されることになり、その影響で第26作『ゴジラ×メカゴジラ』、第27作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の2作は例年より15分ほど、上映時間が短縮化されている。

2003年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』は110万人と当時のワースト3位を記録(現在はワースト4位)。制作サイドの目指す本当に新しい「ゴジラ映画」を制作することが当時の技術では困難として[28]、ゴジラ50周年の節目である2004年にシリーズ集大成となる最高の「ゴジラ映画」を作り上げて締めくくろうということになり[29]、同年公開の第28作『ゴジラ FINAL WARS』にてゴジラシリーズは再度終了となり、東宝が製作するゴジラシリーズは10年以上途絶えることとなる[注釈 3]。ゴジラシリーズに数多く出演した水野久美佐原健二らは『FINAL WARS』のパンフレットで「まだゴジラシリーズに出演したい」というような趣旨のコメントを寄せた。
シリーズの特徴(ミレニアムシリーズ)

ミレニアムシリーズは平成ゴジラシリーズ同様、毎年正月映画として公開される。『ゴジラ×メカゴジラ』と『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の関係を例外として、前年の作品とはストーリーや世界観に連続性がない。

ミレニアムシリーズの特徴として、CGの多用が挙げられる。ただし平成ゴジラシリーズのように怪獣が光線技を多用する描写は少なくなっており、特撮カットはスーツアクターによるアクションやワイヤーアクションに重点が置かれた。怪獣のサイズがVSシリーズの100メートル級から昭和シリーズに近い50から60メートル級に縮小された(『ゴジラ FINAL WARS』のみ100メートル級に戻された)。ミニチュアのスケールも1/50から1/25に大型化したことでその作り込みがより精密になった。本シリーズは『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』『ゴジラ×メカゴジラ』『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』の3作品で、優れた戦闘能力とリーダーシップを持つ女性自衛官が主役または準主役でゴジラと直接戦う設定を取り入れている。『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』以降のシリーズでは、『ゴジラの逆襲』以降の東宝特撮映画では通例となっていた特技監督の肩書きが「特殊技術」となった。
2010年代 -
シリーズの経緯(2010年代 - )

ハリウッド版(後述)の世界的ヒットを受けて、2014年12月8日、東宝製作によるシリーズ新作が約12年ぶりに全国公開されることが明らかになった[30][31]2015年4月1日、脚本と総監督を庵野秀明、監督と特技監督を樋口真嗣が務めることが発表され[32]、同年秋から撮影が開始された後、2016年7月29日に『シン・ゴジラ』のタイトルで公開された。

2016年8月19日、初のアニメーション映画作品となる『GODZILLA』の製作が発表された。監督を静野孔文瀬下寛之、ストーリー原案・脚本を虚淵玄が務める[33]。2017年1月19日には新たなコンセプトアートと声優陣が[34]、同年3月26日には3部作になることがそれぞれ発表された後、同年11月17日には第1部『怪獣惑星』が、2018年5月18日には第2部『決戦機動増殖都市』がそれぞれ公開され[35]、同年11月9日には第3部『星を喰う者』が公開された。


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