吹き替え用原稿を作るために翻訳する際、「バカな」という日本語の台詞の口に合う英単語が直訳では見つからず、口の動きが似ている「バナナオイル」 (banana oil) という単語が使われたが、該当シーンにおける日本語の「バカな」とはニュアンスの異なる単語であったうえに「バナナオイル」の響きがシーンと合致しておらず、さらに「バナナ」という単語の持つスラング的な意味もあって、「不適切な訳」として不評であった[注釈 28]。怪獣の鳴き声が日本版から変更されており、ジャイガンティスには日本のアンギラスの鳴き声の効果音が、アンギラスには日本のゴジラの鳴き声の効果音がそれぞれ使われた[122]。
公開後、1960年代前半まではテレビで放送されたことはあったが、ワーナーの権利が切れた後、ハリー・B・スワードローがリバイバル上映およびテレビ放映に興味を示さなかったことや、放送の打診なども無かったため、アメリカ版はその後長らく劇場公開・テレビ放映ともに行われない幻の作品となっていた[108]。1980年代になり、東宝が権利を買い戻してアメリカで発売された映像ソフト版では、タイトルは東宝の要望で『Godzilla Raids Again』に変更されており[注釈 29]、以後の海外編集版・日本オリジナル版ともにこの名称で流通されている[118]。 香山滋によって執筆された「原作」は、小説としても出版された。 公開前後に漫画化され、各社から発行された。同年6月の『三年ブック 第1作同様、公開前に宣伝部によってラジオドラマが企画され、ニッポン放送にて1955年3月26日[注釈 30]から5月まで毎週土曜日に放送されていた[126]。音声は初回のものが現存しており、2024年1月1日にニッポン放送で放送された『ゴジラ|ニッポン放送70周年特別番組 幻のラジオドラマ復活!新春ゴジラ談義』内にて再放送が行われた[127]。
ディスコグラフィー
「ゴジラさん」(ビクターレコード)[123]
公開年の6月に「ビクターレコードの傑作盤」と銘打たれて発売されたSPレコードで、青木晴美が歌う、お座敷小唄風のコミックソング[20]。B面「うちのアンギラス」は野澤一馬とのデュエット[123]。
小説版
『ゴジラ 東京・大阪編』(1955年7月20日、島村出版・少年文庫)
『ゴジラ』と『ゴジラの逆襲』の映画脚本をアレンジ[124]。本作品を基にした「大阪編」は、アンギラスが白熱光を吐く描写がある以外は映画と大きな差異はない[124]。
『ゴジラ 東京・大阪編』(1976年9月10日、奇想天外社)
島村出版の小説の復刻版。小学館・スーパークエスト文庫、筑摩書房・ちくま文庫などからも復刊された。
ゴジラとアンギラス(1997年・岩崎書店)
漫画版
『ゴジラの逆襲』(1955年4月25日、黎明社
『ゴジラの逆襲』(1955年5月、講談社)[125]
「少年クラブ」5月号別冊付録。原作:香山しげる、絵:湯川久男。
『大あばれゴジラ』(1955年6月、集英社)
「おもしろブック」6月号別冊付録。漫画:杉浦茂。アンギラスが登場するも、杉浦らしく途中から大きく異なった展開となっている。
『続ゴジラ』(1958年11月15日、あかしや書房)
原作:香山滋、漫画:藤田茂。
ラジオドラマ
原作:香山滋
脚色:欄治五郎
作曲指揮:横田昌久
演奏:アンサンブル・フリージア
効果:加納米一
演出:柴田忠夫
調整:佐野晃久
出演者は映画とほぼ同じだが、千秋実の演じた小林弘治役は、藤木悠が務めている。現在確認できるその他の出演者は以下の通り。
警視総監:小栗一也
寺沢隊長:武藤英司
池田隊員:勝田久
田島隊員:真木恭介
語り手:田中明夫
映像ソフト
ビデオテープ(VHSおよびベータマックス)は1982年発売[128]。品番TG4288[129][130]。
LDは1986年1月21日発売。品番TLL2204[2][130]。
DVDは2001年10月25日発売[131]。
2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
2008年1月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションI」に収録されており、単品版も同時発売。
2014年5月14日、60周年記念版版発売。
2016年6月15日、東宝DVD名作セレクション版発売。
Blu-ray Discは2014年7月14日発売[132]。
関連作品
『ゴジラvsビオランテ』(1989年) - シリーズ第17作。大阪が主要な舞台の1つとなっており、本作品と同じく中之島周辺が登場しているが[133]、大阪城は背景として数回映るに留まった[134]。監督・脚本を務めた大森一樹は、大阪を舞台の1つとした理由について前作『ゴジラ』(1984年版)が東京であったことの差別化であったとしているが、結果的に第1作『ゴジラ』(1954年)と『逆襲』との関係と同じになってしまったと述べている[135]。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 資料によっては、「85分」と記述している[17]。
^ 東宝特撮作品としては唯一のモノクロで撮影された怪獣対決映画でもある[12]。
^ 書籍『大ゴジラ図鑑』では、翌年に流行語となる「もはや戦後ではない」という言葉に象徴される当時の神武景気による生活の活気を反映したものであると解釈している[37]。
^ およそ1分ほどの、予告編の前半部分と思われる、冒頭に東宝マークのある映像のみが残されている。なお、1991年にアポロンより発売されたサントラCD『ゴジラのすべて Vol.1』には、予告編BGMが収録されている。
^ 前作『ゴジラ』のハイライトシーンが使われている。
^ 劇中の台詞では「北緯34度30分、東経134度50分」と言っているが、これは現実では淡路島北西付近を指す。