ゴシック小説
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また『緋文字』(1850年)のナサニエル・ホーソンや、『アッシャー家の崩壊』(1839年)『大鴉』(1845年)などのE.A.ポーがその系譜を継ぐ作家であり、ハーマン・メルヴィルも「幽霊船」(1855年)などがゴシック小説的作品と言われる。イギリスでもシェリダン・レ・ファニュや、ブラム・ストーカー吸血鬼ドラキュラ』(1897年)など、この分野の怪奇小説が書かれる。デンマークからアメリカの作家になったカレン・ブリクセンも『七つのゴシック物語』(Seven Gothic Tales, 1934年)がある。サセックス州バールストンの古い屋敷を舞台にした『恐怖の谷』の『ストランド・マガジン』掲載時のイラスト(Frank Wiles作)

ゴシック小説では礼拝堂、鎧、肖像画などが道具立として使われたが、濠や跳ね橋、秘密の地下道のある古い屋敷は、推理小説ブームの時代においても、A.A.ミルン赤い館の秘密』(1921年)、コナン・ドイル恐怖の谷』(1914-15年)などでも舞台とされた[1]

ゴシック小説的手法を用いた作品として知られるものには、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』(1847年)や、トマス・ピンチョンV.』(1963年)がある。『オトラント城奇譚』は20世紀になるとシュルレアリスト達によって再評価され、特にアンドレ・ブルトンはこの作品が夢から着想を得た点に注目した。アメリカではシャーリイ・ジャクスンら、ゴシック・ノベル、ゴシック・ホラーなどと呼ばれる現代的ゴシック小説が高い人気を保っており、1990年代にはポスト・モダンがE.A.ポーと言われるパトリック・マグラアなどのニュー・ゴシックが注目された。

ゴシック小説定番のモチーフは、怪奇現象、宿命、古城・古い館、廃墟、幽霊などであり、それらは現代のゴシック小説でも継承されている。

映画においても、ケン・ラッセルゴシック』(1986年)や、ピトフヴィドック』(2001年)といったゴシック趣味の映画が作られている。
主なゴシック小説

『ヴァセック』(1786年、
ウィリアム・トマス・ベックフォード

フランケンシュタイン』(1818年、メアリー・シェリー

ノートルダム・ド・パリ』(1831年、ビクトル・ユーゴー

ジキル博士とハイド氏』(1886年、ロバート・ルイス・スティーヴンソン

吸血鬼ドラキュラ』(1897年、ブラム・ストーカー

ゴーメンガースト』(1946年 - 1959年、マーヴィン・ピーク

脚注^ a b 中尾真理『ホームズと推理小説の時代』筑摩書房 2018年
^ 由良

参考文献

ルイ・ヴァックス『幻想の美学』
窪田般彌白水社 文庫クセジュ 1961年

日夏耿之介『サバト恠異帖』国書刊行会 1987年。新版

笠井潔編著『SFとは何か』NHKブックス 1987年


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