コーヒー豆はブラジルやコロンビアなどの中南米や、ベトナムやインドネシアなどの東南アジア、エチオピアやタンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国で主に生産されている[4][5]。また有名銘柄の産地としてハワイ、イエメンなどでも生産されている[58]。また、インドや中国などでも生産されている[10]。また日本でも九州の鹿児島県徳之島や沖永良部島、沖縄、小笠原諸島では個人農園で栽培している[59][60][61][62]。
コーヒー豆の種類は、主に生産地で分類されている。品種名は、国名(コロンビア、ケニア、コスタリカ等)、山域(キリマンジャロ、ブルーマウンテン、エメラルドマウンテン等)、積出港(モカ、サントス等)、栽培地名(コナ、マンデリン、ジャワ等)などにちなむ。この他、種名や栽培品種の名を付加した名称(ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントス)や、選別時の等級を付加した名称(ブラジル No.2、タンザニアAA)なども用いられている[63]。
スペシャルティーコーヒーの概念も普及しつつある。日本スペシャルコーヒー協会によると、スペシャルコーヒーとは生産地、生産者、収穫後の生産処理方法、流通経路、焙煎・抽出・提供の一連の流れが品質管理されているコーヒーのことを言う[64]。アメリカなどの審査機関から高評価を受け、生産者から直輸入がされているものが多い[65]。
コーヒーノキ詳細は「コーヒーノキ」を参照
コーヒーの原料となるコーヒー豆は、3メートルから3.5メートルほどの常緑低木で、ジャスミンに似た香りの白い花を咲かせるコーヒーノキの果実から得られる。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実は赤または紫、品種によっては黄色の硬い実で、成熟に9ヶ月ほどかかる。通常は1果実に2粒の種子が入っている。まれに1果実に1粒の種子が入っている「ピーベリー」と呼ばれる種子がありこれは珍重される。コーヒー豆となる種子だけでなく、果肉部分にも若干のカフェインが含まれており、食用にされることがある。
コーヒーノキは、エチオピア原産のティピカ種(Tipica)に由来するアラビカ種(Coffea arabica)と、コンゴ原産のロブスタ種(カネフォーラ種、C. canephora)、リベリカ種(C. liberica)があり、合わせて「コーヒーの3原種」と呼ばれる。
このうち現在栽培されているコーヒーノキはアラビカ種とロブスタ種がほとんどで、中でも生産量の7-8割はアラビカ種が占める。20世紀前半まではリベリカ種の栽培も盛んだったが、病害に弱く品質面でも劣るため、21世紀前半の現在では生産量も1割以下となっている。なお、ロブスタ種についてはコンゴより1年早く1897年にガボンで発見され、正式学名の由来となった。
コーヒーの3原種焙煎前のロブスタコーヒー豆
コーヒーは大きく、アラビカ、ロブスタ、リベリカの3原種に分類され、それぞれに特徴がある[66]。 代表的なコーヒー豆の味や特徴を挙げる。産地国を名としないものは括弧書きで産地国を付記する。なおレギュラーコーヒーに使われるものはアラビカ種またはロブスタ種が主流の雑種である[注 2]。
アラビカ種
病害虫や霜、少雨等に弱く栽培が困難だが、風味とコクに優れ、レギュラーコーヒー用を主体として多様な品種がある。総生産量の約70%を占める[67]。ティピカ種やブルポン種、ゲイシャ種などが代表的で、風味がそれぞれ少しずつ異なっている[68]。
ロブスタ種
アラビカ種に比べて耐病性が高く、少雨、高温多湿の土地でも栽培できる。また安定収穫までにかかる期間が3年と短い。栽培が容易なので収量も多く、生産量2位のベトナムで主力となっている[67]。苦みと深いコクが特徴とされる[69]。アラビカ種より相対的に安く、基本的にインスタントコーヒーやブレンドに使われる[70]。また、イタリアやフランスで愛飲されるエスプレッソコーヒーにはロブスタ種を主体としたブレンドが使われ、独特のコクと苦みをもたらすとされる[71]。
リベリカ種
温暖な土地に耐性がありさび病に強い[72]。果実のサイズのムラが大きく扱いづらいため、ほとんど輸出されることはない[72][69]。
代表的なコーヒー豆