コーヒーには軽度の習慣性があるとされる。これはカフェインによる作用だと言われている。カフェインにはその苦みに対する感受性が高い人間に軽い依存症を引き起こす働きがあるという。ノースウェスタン大学の研究チームによれば、苦味成分の一種であるキニーネやプロピルチオウラシルに対する感受性が高い遺伝子を持つ人たちには、コーヒーの摂取量が少ない傾向がみられており、研究チームは「コーヒーを飲む人たちは、カフェインによって引き起こされる肯定的な影響(刺激)を学習し、カフェインを好む(検知できる)ようになったと考えられる」と説明している[注 4]。そして研究チームはその習慣性が心理現象である可能性が含まれていることを指摘している[108]。加えて同大学の遺伝科学者チームは「カフェインに対する人の好みはその味によるものではなく、摂取後の感覚から生じている」可能性があるとしている[注 5][109]。
また一日に300mg以上(コーヒー3杯に相当)のカフェインを常用する人には、カフェイン禁断頭痛と呼ばれる一種の禁断症状が現れることがある。これは最後のカフェイン摂取から24時間以上経過すると偏頭痛様の症状が現れるものである。このカフェイン禁断頭痛は症状が現れてから、カフェインを摂取することで30分以内に消失するが、カフェインを摂取しない場合は2日程度継続する。ただし、これらの症状は麻薬類やニコチン、アルコールと比較して、きわめて軽微なものだと考えられており、規制や年齢制限などは必要ないと考えられている。 コーヒーを長期間に亘って飲用した場合についても、多くの疫学的研究が古くから数多く行われてきた。1980年までには「コーヒーが体に悪い」という視点からの報告が多かったが、それらの研究の多くは1990年代に、より精度を高めた追試によって否定されている。一方、1990年代からは「コーヒーが体に良い」という視点からの研究もなされている[110]。 2015年5月7日、日本の国立がん研究センターなどの研究チームがコーヒーおよび緑茶を日常的に摂取する人が、そうでない人に比較し病気などで死亡するリスクが大幅に低減するとする調査結果をまとめた。調査は19年間にわたる追跡で日本全国の40-69歳の男女約9万人に対し行われ、他の生活習慣などと合わせ質問し、コーヒーおよび緑茶を1日にどれだけ摂取するか、というものであったが、その結果コーヒーを1日に3 - 4杯飲む者はほとんど飲まない者に対し、死亡リスクが24%低かった(緑茶=1日1杯未満の者に対し、1日5杯以上飲む男性で13%、女性で17%低減。死亡リスクにかかわる年齢及び運動習慣などは影響を与えないよう統計学的に調整済み)。19年間では約13,000人が死亡していた。同チームは、調査結果の原因をコーヒーに含まれるポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンによる血圧降下作用、両方に含有されるカフェインが血管や呼吸器の働きを高めている可能性を指摘した[113][114][115]。 IARCは、従来コーヒー酸とコーヒー(膀胱癌のみ)を「グループ2B:発がん性があるかもしれないもの」、としていた[116]が、2016年6月に発がん性を示す決定的な証拠はないとの発表を行った。またそれと同時に、65°C以上の熱い飲み物自体が食道癌の観点から「グループ2A:恐らく発がん性があるもの」に分類された[117][118][119]。これにより「コーヒー(飲用)」は、「グループ3:発がん性を分類できない」に分類された。評価文書は準備中である。コーヒー酸の評価は2Bのままである[117]。 国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部(津金昌一郎
健康増進
発症リスク低下(ほぼ確証):パーキンソン病・大腸がん・直腸がん・2型糖尿病
リスク低下の報告あるが論争中 :アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石
リスク上昇の報告あったが後に否定された:高脂血症・膵臓がん・心不全・十二指腸潰瘍
リスク上昇の報告あるが論争中:関節リウマチ・高血圧・死産リスク・骨粗鬆症・膀胱がん
発症リスク上昇(ほぼ確証):(今のところ特になし)
コーヒーに含まれるクロロゲン酸にマルトースをグルコースに分解する酵素であるα-グルコシダーゼの阻害活性が認められ、ラットで食後の血糖上昇の抑制作用が認められた。カフェインにはα-グルコシダーゼ阻害活性は認められなかった[111]。コーヒーをよく飲む人たちでは糖尿病発症のリスクが低くなる傾向が見られた[112]。
制癌作用