音声圧縮のコーデックには、人間の発声を主な対象とし符号化を行う音声帯域向けのコーデックと、それに限定せず音楽なども対象としたコーデックとがある。前者は人の発声の特性を利用しているため、後者よりも低い符号化レートで音声の符号化が可能である。
音声帯域向けのコーデックの代表的なものでは、ITU-Gシリーズ勧告の各種コーデック(下記)が携帯電話やIP電話などで広く利用されており、音声を4?13kbps程度に圧縮している。音楽も対象としたコーデックの代表的なものでは、1990年代前半に登場したミニディスク (MD) に用いられているATRACや、1990年代末頃からPCオーディオで広く浸透しはじめたMP3がある。例えば、128kbpsのステレオ音声の圧縮オーディオではコンパクトディスク (CD) に比べて1/10以下に圧縮されている。これらは、元の音声には完全には復元できない非可逆圧縮方式を用いている。
一方で、近年、記録メディアの容量が飛躍的に増加したことで、データサイズは大きくなるものの、まったく劣化を生じさせない可逆圧縮を用いたコーデックも増えてきている。こちらはおおむね6割から7割程度の圧縮が行える。
圧縮しないコーデック
LPCM - 音楽CD、DVD-Video/Audio、Blu-ray Discなどで採用されている
DSD - スーパーオーディオCDなどで採用されている
可逆圧縮・非可逆圧縮が選択できるコーデック
Windows Media Audio (WMA) - Windows Media Playerに搭載されているコーデック
Dolby Digital Plus - ドルビーデジタルプラス (DD+)
DTS-HD Master Audio - DTSが開発したDTSの拡張規格。BDに採用されている。
WavPack - 可逆モード、非可逆モード、そしてユニークなハイブリッドモードを備えている
非可逆圧縮のコーデック
ADPCM - ドリームキャストなどに使用されたコーデック
AC-3 - ドルビーデジタル
AMR - NTTドコモのFOMA・携帯電話のVoLTEで使用されている
AMR-WB+ - 市町村防災行政無線で使用されている
aptX - BluetoothにおけるA2DPで使用されている
ATRAC - ミニディスク (MD) やSDDSで採用されているコーデック
ATRAC2