コーエン兄弟
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また、コーエン兄弟はロデリック・ジェインズ(Roderick Jaynes)という変名で映画の編集作業も行っている[6]
特徴

コメディ色の強いスリラー映画、もしくはスリラー色の強いコメディ映画、特にユダヤ的な笑いを用いたものを得意としている。作品のテーマとして犯罪、特に誘拐や恐喝を取り扱うことが多い。
脚本

基本的に兄弟が制作する映画は彼ら自身が書き上げた脚本に基づくものであるが、物語の大まかな枠組みとして既存の文学作品などからモチーフを借りてくることも多い。

特に兄弟のハードボイルド小説への傾倒は顕著である。『ミラーズ・クロッシング』はダシール・ハメットの『ガラスの鍵』や『血の収穫』を[7]、『ビッグ・リボウスキ』はレイモンド・チャンドラーの『大いなる眠り』を[8]、『バーバー』はジェームズ・M・ケインの『殺人保険』や『郵便配達は二度ベルを鳴らす』をそれぞれ参考にしている[9]。『オー・ブラザー!』ではギリシャの古典叙事詩オデュッセイア』の翻案がなされた。
撮影

技術的な特徴としては、移動撮影や複雑なカット割りの多用が挙げられる[10]

撮影監督として処女作の『ブラッド・シンプル』から3作目の『ミラーズ・クロッシング』までをバリー・ソネンフェルドが、4作目の『バートン・フィンク』以降の『バーン・アフター・リーディング』と『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』を除く『ヘイル・シーザー!』までの作品をロジャー・ディーキンスがそれぞれ担当している。
配役

兄弟は彼らの制作映画にしばしば特定の俳優たちを起用することで知られる。スティーヴ・ブシェミフランシス・マクドーマンドジョン・ポリトジョン・タトゥーロジョン・グッドマンらが「コーエン組」として認知されている。しかし近年では兄弟が名声を得たことによる作品のビッグ・バジェット化に伴い、ジョージ・クルーニー等のスター俳優の起用が増え、彼らの出演機会は以前と比べ相対的に減少しつつある。
音楽

映画中の音楽はカーター・バーウェルが一貫して作曲している。
評価

兄弟はカンヌ国際映画祭の常連であり、『バートン・フィンク』(1991年)で同映画祭初の主要3部門(パルム・ドール、監督賞、男優賞)を制覇したのを皮切りに、『ファーゴ』(1996年)、『バーバー』(2001年)でも監督賞を、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年)で審査員特別賞をそれぞれ受賞している。アカデミー賞では、『ファーゴ』(1996年)で脚本賞を受賞し、『ノーカントリー』(2007年)では作品賞や監督賞など、計4部門を受賞。名実ともに現代のアメリカ映画界を代表する巨匠として注目を集める存在である。
私生活

ジョエルは1984年に『ブラッド・シンプル』に主演したフランシス・マクドーマンドと、イーサンは1993年に『ミラーズ・クロッシング』の編集助手を担当したトリシア・クックとそれぞれ結婚した。どちらの夫婦もニューヨーク在住である。

ジョエルは『ファーゴ』でアカデミー賞脚本賞を、妻のマクドーマンドはアカデミー賞主演女優賞をそれぞれ受賞している。2011年に兄弟でダン・デイヴィッド賞受賞。
作品
監督作品

ブラッド・シンプル Blood Simple(1984年)

赤ちゃん泥棒 Raising Arizona(1987年)

ミラーズ・クロッシング Miller's Crossing(1990年)

バートン・フィンク Barton Fink(1991年)

未来は今 The Hudsucker Proxy(1994年)

ファーゴ Fargo(1996年)

ビッグ・リボウスキ The Big Lebowski(1998年)

オー・ブラザー! O Brother, Where Art Thou?(2000年)

バーバー The Man Who Wasn't There(2001年)

ディボース・ショウ Intolerable Cruelty(2003年)

レディ・キラーズ The Ladykillers(2004年)

パリ、ジュテーム Paris, je t'aime[注 1](2006年)

それぞれのシネマ Chacun son cinema[注 2](2007年)

ノーカントリー No Country for Old Men(2007年)

バーン・アフター・リーディング Burn After Reading(2008年)

シリアスマン A Serious Man(2009年)

トゥルー・グリット True Grit(2010年)

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 Inside Llewyn Davis(2013年)

ヘイル、シーザー! Hail, Caesar!(2016年)[11]

バスターのバラード The Ballad of Buster Scruggs(2018年)脚本・製作も担当

マクベス The Tragedy of Macbeth(2021年)※ジョエルが単独で監督・脚本・製作を担当

ドライブアウェイ・ドールズ Drive-Away Dolls(2024年)※イーサンが単独で監督・脚本・製作を担当

その他

死霊のはらわた The Evil Dead(1981年) - 編集助手

魔界からの逆襲 Fear No Evil(1981年) - 編集

XYZマーダーズ Crimewave(1985年) - 脚本

ホネツギマン The Naked Man (1998年) - イーサンのみ、脚本

バッドサンタ Bad Santa(2003年) - 製作総指揮

モネ・ゲーム Gambit(2012年) - 脚本

不屈の男 アンブロークン Unbroken: A World War II Story of Survival, Resilience, and Redemption(2014年) - 脚本

FARGO/ファーゴ Fargo(2014年) - 製作総指揮(テレビシリーズ)

ブリッジ・オブ・スパイ Bridge of Spies(2016年) - 脚本

サバービコン 仮面を被った街 Suburbicon(2017年) - 脚本

主な受賞

アカデミー賞

1996年度 脚本賞ファーゴ

2007年度 作品賞ノーカントリー

2007年度 監督賞 『ノーカントリー』

2007年度 脚色賞 『ノーカントリー』


ゴールデングローブ賞

2007年度 脚本賞 『ノーカントリー』


英国アカデミー賞

1996年度 監督賞 『ファーゴ』

2007年度 監督賞 『ノーカントリー』


カンヌ国際映画祭

1991年度 パルム・ドールバートン・フィンク


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