コンピューティング
[Wikipedia|▼Menu]
アンティキラ島付近の沈没船から発見された古代ギリシアのアンティキティラ島の機械紀元前2世紀ころのものだと推定されており、現在確認できる最古の歯車式計算機である。これは天球上の天体の位置を計算するために使われていたと考えられている。

バビロニアのアバカス。これは粘土板に葦ペンを押し付けて楔形文字でバビロニア式の60進法表記の25:47 (十進の1547)と書いてある。

研究者からは「YBC 7289」と呼ばれているバビロニアの粘土板(紀元前1800-1600年頃のもの)。
2の平方根。近似値は60進法で4桁、10進法では約6桁に相当する。1 + 24/60 + 51/602 + 10/603 = 1.41421296... ⇒[1]

古代エジプトのパピルスに書かれた数学に関する文書

アンティキティラ島の機械

種類・分類

20世紀後半のコンピュータを用いたコンピューティングのオーソドックスで古典的な分類としては[注釈 2]次のものがあった。

数値計算

データ処理 (data processing)

情報処理

コンピュータ制御 - コンピュータで制御を行うこと。

その後コンピューティングは様々な方向で発展し、次のようなコンピューティングが登場した。

ビジネス・コンピューティング(: buisiness computing) - ビジネスの経営や運営に役立つコンピュータを開発したり、そのようなコンピュータを経営や運営に実際に役立てること。たとえばERPCRMSCMなど[注釈 3]を目的としたシステムを開発したり、それを自社のビジネスのために使うこと。[注釈 4]

ヴィジュアルコンピューティング(: visual computing) - "ヴィジュアルな" つまり視覚的な(あるいは画像的、映像的な)処理ができるコンピュータを開発したり、そのようなコンピュータを使うことであり、たとえばコンピュータグラフィックスデジタル画像処理、映像処理、画像・映像認識(en:computer vision)用のコンピュータを開発したり使うことである。

リアルタイムコンピューティング: real-time computing、RTC) - イベント発生からシステムが応答するまでの時間がきわめて短くなければならないという制約に応えるコンピュータ(リアルタイムシステム)を開発したり、使用すること。

ユーティリティコンピューティング: utility computing)- コンピュータのリソース(CPUの処理能力やストレージ容量など)を、まるで電気/ガス/水道のように、使用した量に応じて変動する従量課金方式で提供すること。

並列コンピューティング: parallel computing。主に並列計算と訳す)- 複数のコンピュータやプロセッサーでひとつのタスク処理を行い、高速化を図ること。

コンカレント・コンピューティング(: concurrent computing。主に並行計算と訳す) - 一つのプロセッサに複数のタスクを存在させ、各タスクに計算を割り振ること。タイムシェアリング技術などを使う。

分散コンピューティング: distributed computing)- 複数のコンピュータをネットワークを介して連携させて問題を解決する手法であり、複数のコンピュータをまるで単一の強力なコンピュータのように機能させること。

グリッドコンピューティング: grid computing) - インターネットなど広域のネットワークで繋がっているが地理的には離れている計算資源を複合的に結びつけ、ひとつのコンピュータシステムとしてサービスを提供する仕組み。

モバイルコンピューティング(en:Mobile computing)- 持ち運び可能なコンピュータを開発したりそれを使うことであり、たとえばノートPCPDAタブレット型PCスマートフォンなどを開発したりユーザとして使うこと。

ユビキタスコンピューティング: ubiquitous computing)- あらゆるモノにコンピュータが内蔵され、いつでも、どこでもコンピュータの支援が得られるような状態にすること。コンピュータがコンピュータとして意識されることなく、特に意識しなくてもいつでもコンピュータが身近にある状態にすること。パロアルト研究所のマーク・ワイザーが1988年に提唱したが、東京大学の坂村健も1980年代前半から同様の概念である「TRON」構想を提唱していた。

グリーンコンピューティング: green computing) - 地球環境への負荷が小さいコンピュータやITシステムなどを開発したり使用することであり、広義にはそれに加えて、ITを活用して地球環境への負荷を低減する取り組み(たとえばテレワーク、ビデオ会議、遠隔授業などにより、人の移動に伴うエネルギー浪費の削減など)を併せて指す。

クラウドコンピューティング: cloud computing) - インターネットなどのネットワークを介しコンピュータ資源をサービスの形で提供することや、そのようなサービスをユーザとして使うこと。

サーバーレス・コンピューティング: serverless computing) - クラウド・コンピューティングの実行モデルのひとつであり、クラウド・プロバイダーがアプリケーションに必要なマシン・リソースの割り当てを動的に管理し、事前の購入に基づく請求ではなく、各アプリケーション要求を満たすために使用される個々のリソース量に基づいて請求を行うもの。


エッジコンピューティング: edge computing) - ネットワークのエッジ(端点)つまり利用者らの近くやデータが生じる場所に処理装置を分散配置してデータ処理を行うこと。

フォグコンピューティング(en:fog computing) - データを端末とクラウドの間の端末に近い場所でミドルウェアにより分散処理することであり、クラウドへ負担が集中することを回避すること。シスコシステムズがIoT対応のために提唱した概念に由来し、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングと関係のある手法であり、「クラウド(雲)」との位置関係から「フォグ(霧)」と形容されている[5]

ハイパフォーマンスコンピューティング (: high-performance computing、HPC) - 他の一般的なコンピューターをはるかにしのぐ速度でデータを処理し、計算を実行することであり、また、そのようなソリューション(解決策、実行手段)を提供すること[6]

スーパーコンピューティング(: supercomputing) - ハイパフォーマンス・コンピューティングの一種であり、強力なコンピューターであるスーパーコンピューターを使用して決定や計算を行い、解決までの全体時間を短縮すること[7]


セマンティックコンピューティング(en:semantic computing) - 人間が使う「ことば」(自然言語による文章)の意味をコンピュータに解析させ理解させ、高品質で精度の高い情報収集・情報検索・コンテンツ作成などに役立てること。

コグニティブコンピューティング: cognitive computing)- (人工知能と混同されてしまうことがあるが、正確には異なっており)コンピュータで人間の知能の代わりに判断させることを目指すのではなく、コンピュータを人間の判断を助けるために使うことである。たとえば、人間の思考プロセスを模倣させて、(人間に分かるような)仮説を生成すること[注釈 5]などである[8]

フィジカルコンピューティング(en:physical computing)- コンピュータの周囲に存在しているフィジカルな世界(実在世界)[注釈 6]と相互作用できるコンピュータを開発したり使用することであり、周囲の実在世界をセンサ類で感知し、アクチュエータ類(モータ、サーボなど)やライト類などで実在世界に働きかけるようなコンピュータを開発したり使用すること。(この定義だと広義には工場内の大規模な生産制御システムなども含まれることになるが、メイカームーブメントの文脈ではフィジカルでも主にSBCを利用した小規模なシステムの開発や使用を指している。)また、そのようなコンピュータを使い人とコンピュータがインタラクティブにフィジカルなやり取りをしたり、あるいは、そのようなコンピュータを介した人と実在世界の間の相互作用を実現すること。

レトロコンピューティング(en:retrocomputing) - すでに古くなり骨董品的な位置づけとなったコンピュータ[注釈 7]を使用すること。通常、レトロコンピューティングは実用的な目的で行うものではなく、趣味として行われており、レトロコンピューティングのエンスージアストは古く希少になったハードウェアやソフトウェアに懐かしさやノスタルジーを感じてそれを蒐集する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:48 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef