コンピュータシミュレーション
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模型などによるシミュレーション木製の馬を用いたシミュレーション訓練。(第一次世界大戦当時)

ミニチュア(相似模型)による実験など、何らかの物理的な物体で実物を置き換えることもシミュレーションの一種である。これを「物理的シミュレーション」と言うこともある。置換する物体としては、実物よりも小さいものや安価なものが選ばれる。このとき、相似則が成立するかどうかの指標となるのが@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}パイナンバーという無次元量である[要検証ノート][31]

航空機(零戦のエルロンフラッターなど)や自動車の空気特性の予測[32]や交通事故の状況再現[33]などにおいて模型実験が活用されたが、再現性にかかわる要因が不足していると現実の現象を正しく近似できないため、ある意味で職人的な素養を要求される。
WSG

ウォー・シミュレイション・ゲームの略。「図上演習」とも言われる。詳細はゲーデザイナーである鈴木銀一郎などを参照のこと。模型(図表と駒)を使った戦争シミュレーションの例として、『戦国策』『墨子』には、墨子公輸盤と戦争を論じ合い、王の前で模型を使って勝負をし、公輸盤が新兵器である雲梯を使って9回攻めたが、墨子の守りは固く攻め落とすことができず、これを見た王はを侵略しないことを約束したという逸話が記されている。これは模型を使ったシミュレーションによって戦争を防いだ(守城戦を見せつけた)逸話である。また日本でも戦国時代の大名・上杉謙信は2メートル四方もある城の模型を用いて合戦のシミュレーションを行っていたと言い伝えられている[34]
コンピュータ・シミュレーション

コンピュータシミュレーションとは、その名の通りコンピュータを用いたシミュレーションのことである。いくつかの種類があり、微分方程式に基づく数値計算によるもの(天体力学における、解析的に解けない場合の軌道計算など)、物理モデルに基づくもの(レイトレーシングなど)、システム・ダイナミクスに基づくもの(成長の限界など)などが知られている。
コンピュータ・シミュレーションの種類

コンピュータ・シミュレーションには、一旦シミュレーションが始まるとあとはコンピュータだけで完結してシミュレーションを行う「非対話型シミュレーション」と、シミュレーション中に人間がなんらかの形で(コンピュータ内に模擬的に作られた世界に)介入し影響を与えることのできる「対話型シミュレーション」がある[35][36](その応用形のひとつの形が、フライトシミュレータやドライビングシミュレータなどである)。
モデル開発とモデルの質の重要性

コンピュータ・シミュレーションは、実世界や何らかの仮説的状況をコンピュータ上でモデル化するもので、それによってそのシステムがどのように作用するのかを研究することができる[2][5]。変数を変化させることで、システムの振る舞いについて予測を立てることができる[2][5]

コンピュータ・シミュレーションは、自然科学的システムのモデル化を行い(たとえば物理学/化学/生物学における様々なモデル化[7][8][37][38][39]経済学/社会科学における人間に関わるシステムのモデル化、[40][41]さらには工学におけるシステムのモデル化など)、それをコンピュータで計算することで、システムの作用について洞察を得る助けとなる。シミュレーションにコンピュータを使うことの利便性を表す例は多数ある。人々によく知られ、日々実感されている例としては数値予報(en:Numerical weather prediction)、メッシュ予報のために各国の気象機関でスーパーコンピューターを使って行われているシミュレーションが挙げられる。ほかにも「ネットワーク交通量シミュレーション」を挙げる人[42]もいる。異なった数値モデルを使うと振る舞い、結果が異なり、また環境の初期設定を変更してもモデルの振る舞いが変化する。

なお気候変動の予測には、適切な気候モデルを用いたコンピュータシミュレーションが不可欠である。2021年には、はじめて大気海洋結合モデルを開発し地球温暖化について具体的な温度変化の数字もコンピュータではじき出して科学的研究を可能にした眞鍋淑郎にノーベル物理学賞が授与された。en:Numerical modeling (geology) も参照。

コンピュータ・シミュレーションには様々なタイプがあるが、それらに共通するのは、システムが取りうる全ての状態を列挙するのが不可能あるいは現実的でない場合に、そのモデルの代表的シナリオの標本を生成しようとするという点である。

モンテカルロ法確率論的モデリングによるコンピュータ・シミュレーションは、モデル化が非常に簡単という特徴がある。[43][44][45][46]
計算理論など

コンピュータに関係するシミュレーションであるが、前の節で説明しているものとはおもむきが大きくことなるものなので、節を分けて説明する。計算理論では、たとえば万能チューリングマシン(のような、模倣する能力を持つ機械)が、模倣対象(たとえば、なんらかのチューリングマシン)の状態遷移と入力と出力を記述した状態遷移表[注 2]を実行すること(現代風に言うと、コンピュータがそのようなプログラムを走らすこと)を、シミュレーションと言う。これは、状態遷移系間の関係といった、意味論の研究などで使われている。
コンピュータ・シミュレーションの応用

コンピュータの登場によって、人間の手による計算ではほとんど不可能な膨大な量の総当りでしか行えない計算が比較的短時間で行えるようになったため、コンピュータによるシミュレーションは自然現象や経済活動や人口の推移といったものに使用されるようになった。コンピューターの演算能力の発展は、以前は縮小模型や実物大模型などによって行われていた実験を計算による仮想空間のみで実験・予測することが可能になってきている。
物理学

例えば、木の葉が舞い落ちる動きを通常の手計算で導き出す事は不可能であった。これは重力や空気抵抗だけでなく、木の葉自体の動きによる空気の状態変化などが複雑に絡み合っているからである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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