コンビニエンスストア
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この中でも、主に1と2に該当する店舗は、通常の営業の中でフランチャイザー社員やFCオーナー・店長候補者の実践的な研修・教育の場、新機軸を伴うサービスやプライベートブランドデリカ類の試作商品の先行テストの場などとしても使用されている。

他方、特に6や7のケースでは、ほかの経営者に経営が委譲されるか店舗閉鎖(閉店)の処理が完了するまでの一時的措置であることが多い。しかし、実際には大半のケースで事態の発生を理由に短期間ないし即時に店舗閉鎖の措置が取られる[† 3]。実際に本部が一時的な直営化を行ってでも維持するのは、ドミナントや地域戦略、他チェーンの展開への対抗などの観点から必要な立地に所在しているなど、本部側が維持を必要とする店舗に限られている[† 4]。他方で、不祥事や契約トラブルを理由としてチェーン本部が契約に基づいて強制的に店舗閉鎖の処置を取った店舗などでは、コンビニチェーンのイメージ保護やマスコミ対策などの目的から、チェーン本部が店舗建物を賃貸していた地主から建物上屋を買い取るなどしたうえで、店舗閉鎖後ごく短期間で店舗の施設一切を破却・撤去し、跡形もなく更地化する場合もある。

また、地域単位での初出店の場合などには、当初はフランチャイザーが直営店舗としてオープンさせ、経営が安定した頃合を見て店舗オーナー候補者を募るなどしてフランチャイズ店舗へと転換する手法が取られることもある[† 5]

なお、道内を中心に展開しているセイコーマートでは、他のチェーンとは異なり、プライベートブランド商品を自社で製造しているため、売場づくりや商品の発注量などの営業政策を徹底しやすい直営店舗を増やす方針を取っている。新規出店では直営店舗を主体とするほか、高齢オーナーのフランチャイズ店舗の直営化も積極的に行っている。これによって2005年には30%だった直営店の割合は2019年には約80%となっている[13][14]
立地場所

立地場所として、当初は市街地を中心に店舗展開したが、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在では[いつ?]都市周辺の住宅地や、郊外・地方の幹線道路沿いへのロードサイド店舗としての様態を持つ店舗が目立つ。コンビニが市街地から発祥した理由としては、当時の大規模小売店舗法による規制や不動産バブルによって、既存市街地に新規の商業床(立地条件)を確保することが困難となった大手百貨店が、新業態として小さい店舗を始めたと言われている。

市街地では徒歩5?10分程度の近距離に同一チェーンの別店舗が複数あるなど、同一地域内に特定チェーンの店舗が林立していることも多い。これはチェーン本部による「ドミナント戦略」と呼ばれる販売戦略に基づく出店戦術である。特に各店舗毎の商品在庫数が少ないことから、商品を配送する場合に各店舗が離れすぎていると、配送の時間とコストがかかりすぎて非効率となるため、地域ごとにベンダーと呼ばれる配送センターを設置して、その周辺にを描くように多くの店舗を出店することにより高効率の配送ルートを確立して配送コストを削減している。また、他チェーンに先んじて集中的な出店を行うことで、他チェーンによる展開と競合の余地を狭め、その地域のシェアを独占することもチェーン本部にとっては大きな目的となる。

また、一時期は東京都大阪府内の中でも、丸の内大手町虎ノ門新宿駅前、池袋駅前、梅田難波といった都心・副都心の大規模繁華街やオフィス街にはほとんど店舗は存在せず、住宅地特有の業態となっていたが、1980年代末からam/pmが積極的に出店。その後しばらくして他社も追随し、2000年ごろには都心におけるコンビニは当たり前の光景となった。

配送センターは共同配送化が進められており、昭和期の一般的な商店では問屋ごとに店舗への配送が行われていたものを、共同配送センターで各問屋からの商品をある程度ひとまとめにして店舗に配送することで、1店舗あたりの配送回数の削減を実現している。各店舗はおおむね日に2?5回程度(チェーンによって異なる)の商品配達を受けている。

2000年代にはいわゆる「サテライト店舗」も多数登場した。これは、店舗面積や営業時間などに柔軟性を持たせたもので、従来店の出店基準より、店舗商圏の購買力が低いために出店することが事実上できなかった小規模土地でも出店できるようにしたもの[15] で、この特権を生かし、公共施設である病院大学庁舎内などへの出店が増えている。病院内初出店は2000年8月10日(恵寿総合病院内にローソン)、庁舎内の初出店は2002年9月18日(大阪府警本部庁舎内にファミリーマート)、2004年11月22日(福岡市役所内にローソン)、2005年1月25日(東京都庁舎内にセブン-イレブン)である。また、高等学校中学校内初出店は2006年4月11日(栃木県宇都宮市宇都宮短期大学附属中学校・高等学校キャンパス内にファミリーマート(営業時間は7時45分?8時25分、12時20分?13時10分と、食事時間のみ、近隣店のサテライト店舗扱い)が購買部として進出)である。神奈川県伊勢原市の産業能率大学湘南キャンパスにもファミリーマートが出店している。また、ヤマザキショップは以前から山崎製パンの直営ミニコンビニであったが、2013年7月にデイリーヤマザキの運営が子会社から山崎製パンの直営になった際、事実上デイリーヤマザキのサテライト店舗となった。

またこのサテライト店舗の実現により、鉄道売店も大手コンビニと事実上のエリアフランチャイズとして業務提携を結ぶ事例も多くある。

関東では、2006年に東京急行電鉄系列の東急ステーションリテールサービスがローソンとフランチャイズを結び、「toks」とのデュアルブランド「LAWSON+toks」を展開しているのを皮切りとして、東京地下鉄系のメトロコマースもローソンと、東武鉄道系の東武商事(ACCESS TOBU)はファミリーマートとそれぞれフランチャイズ契約、西武鉄道[† 6] もファミリーマートと業務提携を結び「TOMONY」ブランドで展開している。

関西では、ジェイアール西日本デイリーサービスネットが展開していたキヨスク(駅構内売店)、およびハートイン(駅前・駅ナカの中・大規模店舗。およびサテライト店舗相当のキヨスク、旧デイリーイン含む)についても、2014年にセブン-イレブン・ジャパンとの業務提携(事実上JR西日本デイリーサービスネットが、セブン-イレブンのチェーン店フランチャイズ化)をしたことにより、これらの店舗に「セブン-イレブン」の冠を付けて営業している[16]。さらに近畿日本鉄道[† 7]がファミリーマートと、大阪市営地下鉄(現・大阪市高速電気軌道)はローソン[† 8] とフランチャイジーを結び、駅構内売店でこれらのコンビニを展開している。また阪急電鉄および阪神電気鉄道はローソンと[17]南海電気鉄道はセブン-イレブンと[18]フランチャイズ契約している。

九州では、1999年に九州旅客鉄道の関連企業であるJR九州リテールが展開していた「生活列車」がam/pmのエリアフランチャイズとなってから、駅構内の店舗がすべて「am/pm」店舗となった。2011年のファミリーマートへの吸収・合併に伴い、以後は全店舗ファミリーマートに転換している。2000年代以降、高速道路サービスエリアパーキングエリアへの出店が活発化している(首都高速6号三郷線八潮パーキングエリアなど)。

東日本旅客鉄道NewDaysなどのように鉄道事業者の関連企業が直営で展開しているところもあるが、最近では大手コンビニのフランチャイズに入るところが多い。

なお建築基準法により、第一種低層住居専用地域工業専用地域には建設できなかったが、2016年(平成28年)に福利厚生買い物弱者の支援などの面から一部緩和された[19][20]
設備
建物日本のコンビニエンスストア店舗の建設過程(鹿児島県[どこ?])

店舗の構造としては、独立した建築物の場合には平屋で、現在は[いつ?]軽量鉄筋プレハブ工法による簡易建築が主流であるが、木造FP工法もファミリーマートなど一部チェーンで用いられている。コンビニ業界初期に見られた酒屋などの既存店の転業による店舗には、既存の木造軸組工法の建物を改装したものも見られる。

建物部材についてはチェーンごとに共通化された特徴が見られ、本部サイドによる計画的な大量一括調達により部材のコストダウンが図られると同時に、共通の部材による外観デザインや外壁はそのチェーンを示す意匠的な特徴となっている。ただし、設置場所が景観条例などの対象区域である場合には、これに添った特殊な外観の店舗デザインが用いられる。

ビル・マンション・商業施設などへ出店する場合は1階(地上階)への設置が基本であり、飲食店金融機関で多く見られるような空中店舗地下店舗はビル・官公庁や複合施設内での事例はあるものの、大都市圏でも少数である。その他、新築分譲マンションショールームなどとして建てられた独立した比較的小規模な建築物が、当初の用途での利用終了後に貸店舗に転用され、テナントとしてコンビニエンスストアが入居するケースなども見られる。

店舗は道路(正面)や駐車場の方向側の一面の側壁が大きく開かれ、足元近くから天井高さまでガラス張りになっており、4?8面程度並べた大型ガラスに面して雑誌の棚が配置されている構造・外観が一般的である。これは防犯上とマーケティング上の理由による。店舗内に常時(立ち読みの)客が店外から見える状態を維持することで、ほかの客の誘引効果を図り、また強盗万引きを抑止する効果を兼ねる。

商品を必要に応じて随時配送することにより、店舗側には余剰在庫を基本的に置かないことも店舗の設計・運用における大きな特徴である。こうして商品や業務用具をストックしておくバックヤードを最小限度に設計でき、店舗スペースを有効活用できる。このことは、同時に建物のダウンサイジングを可能とし、建設費・光熱費などの圧縮や、店内の隅々まで店員の目が行き届きやすくなるといった商品管理・防犯、従来の雑貨店では出店不可能であった都心部のビルなどのより狭小なスペースへの出店を可能にするなど、さまざまな副次的なメリットを生み出した。

商品種類が非常に多岐にわたるため、それらを余すことなく店頭展示するためにも、バックヤード側から商品補充が可能なウォークイン式冷蔵庫や、商品の後入れ先出しを容易にする可動構造の陳列棚、緻密な商品レイアウトなどの、さまざまな工夫が徹底されている。また、チェーンを問わず、事務所も最小限度の広さに、店舗運営に必要なストアコンピューターや事務机などが、所狭しと並べられている店舗もある。

チェーンの名称を入れた、内照式看板であるファサードサインを、店舗上部に掲げていることが一般的である。セブン-イレブンなどの一部店舗では、正面のガラス窓にシャッターが設置されており、台風などの災害[21]暴動発生時など、近隣での非常事態発生時や、閉店時、設備の点検・改修時[† 9]などには、必要に応じて一時的に閉めることが可能である。

また、出入り口は内外両方向に引く観音開きが多く、自動ドアを導入している店舗は初期投資やメンテナンスコストの都合などから比較的少なかった。のちに新規開店した店舗ではバリアフリー推進の観点から、以前は自動ドアの店舗がなかったコンビニチェーンの店舗でも導入するケースが増えている。同様に、現在の店舗には[いつ?]バリアフリー対応型トイレを設置している店舗も多い。また、大学病院総合病院などの大型医療機関が近隣にある店舗を中心にオストメイト対応トイレを持つものも見られる。

チェーンによっても割合は異なるが、全体的に見た場合、敷地や店舗建物は賃借されるケースが主流である。小売とはまったく別業種の企業が、自社所有のたとえば市街地の工場跡や旧本社跡などの有休地を利用したサイドビジネスとして不動産賃貸業を手がけることも多い。

店舗オーナーが敷地や建物のオーナーを兼ねるケースは、もともとが酒屋日用品店として、土地を自前で所有していた既存店舗転業型の店舗を例外とすれば少ない。ただし、稀にではあるが、経営効率改善を目指したり貸主側の事情などから、コンビニ店舗のオーナーが賃借していた土地建物を買収することが見られる。

オーナーが当初から土地建物を所有している場合、建物の設計全般についてはオーナーの意向が反映されることが多く、店舗建物についても重量鉄筋を用いたものよりしっかりとした造りであったり、オーナーの住宅が横や上部に併設された、住居兼店舗となっていることも少なくない。
店舗閉鎖後の建物解体されるコンビニエンスストア店舗(旧・ローソン鹿屋今坂町店、2013年10月撮影)。解体後はセブン-イレブンの駐車場敷地となった。

コンビニエンスストアが営業を終了し、閉鎖(完全閉店)したあとの店舗建物については、撤去される場合とそのまま残されて転用される場合がある。多くは建物所有者の意向や建物の状態、築年数、減価償却、そして利用用途などの要素が勘案されて決まる。

上述の通り、日本のコンビニエンスストアの店舗建物には軽量鉄筋プレハブの簡易建築が多い。コンビニチェーンのフランチャイズ契約は2000年代前半までは15年、現在でも[いつ?]10年程度が基本である。建物の減価償却・建築基準法耐震基準などの観点からも、標準的なコンビニエンスストアの営業期間を超える長期間の使用を前提とした耐久力への配慮がなされている。

コンビニエンスストアが店舗を閉鎖して退去後の建物が再利用される、あるいは中古不動産として売却されるケースは都市部・郊外部のいずれも枚挙に暇がない。貸店舗として賃貸される場合だけでも、飲食店理髪店英会話教室クリーニング店レンタルショップコインランドリーをはじめ、企業・政治家事務所など多種多様なものがテナントとして入っている。


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