先端部は精液を溜めるための小さな袋状突起があり、装着したまま膣内射精しても、精子が膣に行かないようになっている。粘膜の接触も遮断するため、避妊だけでなく、梅毒・クラミジアなどの性感染症の予防にも効果がある。多くは男性用だが女性用コンドームもある[4]。
本品を使用した避妊は、経口避妊薬、子宮内避妊用具(IUD)とともに、避妊方法として最も普及している方法である。香港・日本・ギリシア・ウルグアイ・アイルランドでは、避妊法として使用されている割合が最大である[5]。前者の避妊法と比べ入手が容易であることや取り扱いが簡便である一方、避妊率は最も高い指標でも年間95%に留まる。
世界全体の出荷数は年間約58億個である[† 2]。販売は5個入りや1ダース製品が主流で、1個あたり0.15 - 0.9ユーロ程度で市販されている[† 3]。女性の許可無く、コンドームを外す「ステルシング」は国によってレイプとして扱われる[6][7][8]。 コンドームは、装着することによって性的快感が損なわないよう非常に薄くかつ丈夫に作られている(約0.01 - 0.1mm前後)。表面にはゼリー状の潤滑剤が塗布されている。女性が快感をさらに得られるよう、表面に凹凸状の加工がされているものや冷感・温感剤を塗布したもの、ゴム臭を抑えるための香り付けをしたものもある。 また、ラテックスゴムに対するアレルギーや特有のゴム臭を避けるために、ポリウレタン製コンドームも開発された。ポリウレタン製コンドームは、ゴム製のものと比較すると熱伝導に優れ、相手の体温が感じられる利点があり、また0.02mmと非常に薄いにもかかわらず丈夫である。コンドームの色は半透明、水色、ピンク色、蛍光色、黒色などカラフルな色が多数揃っており、好みで選ぶことが出来る。 勃起時のペニスの太さによって異なるサイズをラインナップしているメーカーもある。コンドームのサイズは、国際規格 ISO 4074
形状
日本ではサイズは主に直径(勃起したペニスを上から見下ろした時の横幅に近い)で表記され、S(直径31mm[9])。からLL(同44mm)まで各人のペニスのサイズに合わせて選べる。米国や英国などでは、直径ではなく国際規格に従ってコンドームを平らに伸ばしたときの幅 (nominal width) (勃起したペニスにメジャーを巻き付けて測った周長の1/2)で表記され、直径表記のおよそ1.57倍(円周率3.14÷2)のサイズ表記となる(例:幅 52mm ≒ 直径 33mm)。
折幅(nominal width)と直径(circular width)の対応
ISO規格およびJIS規格に従って測定した折幅(nominal width)。海外ではこのコンドームのサイズは45mmと表記される。
同じコンドームを、日本のパッケージ表示に従い直径で示した例。海外で45mmと表記されるこのコンドームのサイズは、日本では28mmと表記される。
ペニスのサイズに比べて大きすぎるコンドームは、性交中に膣内に脱落するなどしてカウパー腺液や精液が膣内に漏れる可能性があるほか、小さすぎるコンドームは圧迫によりペニスに痛みを感じたり、尿道を圧迫することで射精時に逆行性射精を招いたり尿道を痛めることがあるため、ペニスの太さに合ったサイズのコンドームを使用することが大切である。
海外で発売されたコンドームでサイズの小さなものでは、スイスのLamprecht AGが 2014年、12歳?14歳の少年向けコンドーム「Ceylor HotShot Youth Comdoms」(width(折幅) 45mm)を発売し、折幅表記に馴染みのない日本では直径表記と取り違えられ、日本のLサイズよりも大きいなどと話題になった[10]。直径に換算すると約28mmであり、日本のSサイズよりも小さなサイズである。スイスなどの国ではペニスを模した木製の棒にコンドームを装着する練習を、日本の小学6年生に相当する学年で男女ともに行わせるなど、日本よりも具体的で実践的であることを重視した性教育が行われており[11]、少年向けコンドームの発売もその一環とされている。 広く普及している避妊の手段であり、正しい使用法で用いれば、妊娠する確率を大きく低減できる。精子は射精時の精液だけでなく、前段階で分泌されるカウパー腺液中にも僅かに存在するため、射精直前ではなく、膣への挿入前に装着する必要がある。 妊婦と性交する場合、コンドームを装着せず射精しても新たな妊娠の可能性は低い。ただ、精子には子宮を収縮させる成分・プロスタグランディンがあるため、妊娠後期の場合、胎児に危険が及ぶ恐れがあるほか、わずかでも妊娠の可能性があるので、性交時にはコンドームを装着して行うのが望ましい。 コンドームによる避妊は、男性の尿道経由での性感染症や、精液・血液の膣内接触による性感染症の予防に有効である。ただし毛じらみなど、保護対象外部分の接触によるものには効果がない。 欧米での性教育ではこの点に重点が置かれている。特にエイズ(ヒト免疫不全ウイルス感染症、HIV感染症)について多くの疫学調査が実施されており、これらの結果から世界保健機関(WHO)は2000年にコンドームの使用によってHIV感染リスクを85%減らすことが可能だとの試算を報告している。コンドーム使用によって完全に感染防止ができるわけではないが、HIVには有効なワクチンが存在しないことや、抗HIV治療に掛かるコストとの兼ね合い、また他のウイルスに対するワクチンの場合の予防効果の実績などと比較してもコンドームによるHIV感染予防の持つ効果は大きいものだという判断から、WHOはエイズ対策の一環としてコンドームの使用推進キャンペーンを行っている[12]。 性感染症の予防効果については、疫学調査の方法や対象集団の選択などに議論がある。また製造、管理が不十分な一部の新品のコンドームにHIVを通す小さな穴が無数に確認され、WHOもコンドームだけで完全にHIV感染を予防できるとは考えていない。その為、どのメーカーにも「コンドームでエイズや性感染症は完全に防げない」と明記するように呼びかけている。 この項目には性的な表現や記述が含まれます。免責事項もお読みください。 装着手順[13]は右図と、以下の通り[14]である。装着手順射精後のコンドーム 陰茎が十分勃起していない状態ではうまく装着できない。コンドームを裏返しにすると装着できない。装着時に陰毛を挟み込まないようにする。挟み込んだまま使用すると、陰毛が引っ張られ痛みを伴う。 女性の膣内に装着する女性用コンドームは、女性の外陰部と膣壁を覆い、精液の侵入を防ぐ。女性が主体的に利用できる避妊法として注目されたが、装着がやや難しいことや装着時の外観の問題、膣内で胴部がしわになって密着感がなく、違和感を覚えること、男性器に装着するコンドームと比較して割高であることなどの問題点があり、男性用コンドームと比べてあまり普及していない。 日本では、不二ラテックスが女性用コンドームを輸入・販売している。大鵬薬品も「マイフェミィ」の商品名で発売していたが、2004年4月30日に販売終了となった。 なお、女性用コンドームと男性用コンドームの同時併用は推奨されない。これは、男性用コンドームとの2枚重ねが、ゴム同士の摩擦による破損や位置のずれを起こしやすいのと同じ理由によるものである。 コンドームの語源は、フランスの地名・コンドンにあるとする説と、医師・コンドームの名から来ているとする説があるが、そのような医師が実在したかどうかは不明である。
個包装
全開した状態
店頭に並ぶ様々なコンドーム
効能
避妊
妊婦との性交
性感染症予防
装着手順装着手順
勃起した陰茎の包皮を押し下げる。
コンドーム先端の精液溜り(小袋)をつまんで空気が入らないようにし、その状態のまま亀頭部に指で固定する。
コンドームを固定したまま、コンドーム周囲のロール状に巻いてある部分を押し下げ、陰茎に密着させながら包み込む。また、下に下ろすまで、精液だまりを掴んだ手は離さない[15]。
ロール状に巻いている部分が陰茎の根元まで伸びれば完了。
射精後は縛って捨てる。
女性用コンドーム
女性用コンドーム
女性用コンドームの装着位置
大鵬薬品工業から2004年4月30日まで発売されていた女性用コンドーム「マイフェミィ」
語源
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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