ペニスのサイズに比べて大きすぎるコンドームは、性交中に膣内に脱落するなどしてカウパー腺液や精液が膣内に漏れる可能性があるほか、小さすぎるコンドームは圧迫によりペニスに痛みを感じたり、尿道を圧迫することで射精時に逆行性射精を招いたり尿道を痛めることがあるため、ペニスの太さに合ったサイズのコンドームを使用することが大切である。
海外で発売されたコンドームでサイズの小さなものでは、スイスのLamprecht AGが 2014年、12歳?14歳の少年向けコンドーム「Ceylor HotShot Youth Comdoms」(width(折幅) 45mm)を発売し、折幅表記に馴染みのない日本では直径表記と取り違えられ、日本のLサイズよりも大きいなどと話題になった[10]。直径に換算すると約28mmであり、日本のSサイズよりも小さなサイズである。スイスなどの国ではペニスを模した木製の棒にコンドームを装着する練習を、日本の小学6年生に相当する学年で男女ともに行わせるなど、日本よりも具体的で実践的であることを重視した性教育が行われており[11]、少年向けコンドームの発売もその一環とされている。 広く普及している避妊の手段であり、正しい使用法で用いれば、妊娠する確率を大きく低減できる。精子は射精時の精液だけでなく、前段階で分泌されるカウパー腺液中にも僅かに存在するため、射精直前ではなく、膣への挿入前に装着する必要がある。 妊婦と性交する場合、コンドームを装着せず射精しても新たな妊娠の可能性は低い。ただ、精子には子宮を収縮させる成分・プロスタグランディンがあるため、妊娠後期の場合、胎児に危険が及ぶ恐れがあるほか、わずかでも妊娠の可能性があるので、性交時にはコンドームを装着して行うのが望ましい。 コンドームによる避妊は、男性の尿道経由での性感染症や、精液・血液の膣内接触による性感染症の予防に有効である。ただし毛じらみなど、保護対象外部分の接触によるものには効果がない。 欧米での性教育ではこの点に重点が置かれている。特にエイズ(ヒト免疫不全ウイルス感染症、HIV感染症)について多くの疫学調査が実施されており、これらの結果から世界保健機関(WHO)は2000年にコンドームの使用によってHIV感染リスクを85%減らすことが可能だとの試算を報告している。コンドーム使用によって完全に感染防止ができるわけではないが、HIVには有効なワクチンが存在しないことや、抗HIV治療に掛かるコストとの兼ね合い、また他のウイルスに対するワクチンの場合の予防効果の実績などと比較してもコンドームによるHIV感染予防の持つ効果は大きいものだという判断から、WHOはエイズ対策の一環としてコンドームの使用推進キャンペーンを行っている[12]。 性感染症の予防効果については、疫学調査の方法や対象集団の選択などに議論がある。また製造、管理が不十分な一部の新品のコンドームにHIVを通す小さな穴が無数に確認され、WHOもコンドームだけで完全にHIV感染を予防できるとは考えていない。その為、どのメーカーにも「コンドームでエイズや性感染症は完全に防げない」と明記するように呼びかけている。 この項目には性的な表現や記述が含まれます。免責事項もお読みください。 装着手順[13]は右図と、以下の通り[14]である。装着手順射精後のコンドーム 陰茎が十分勃起していない状態ではうまく装着できない。コンドームを裏返しにすると装着できない。装着時に陰毛を挟み込まないようにする。挟み込んだまま使用すると、陰毛が引っ張られ痛みを伴う。 女性の膣内に装着する女性用コンドームは、女性の外陰部と膣壁を覆い、精液の侵入を防ぐ。女性が主体的に利用できる避妊法として注目されたが、装着がやや難しいことや装着時の外観の問題、膣内で胴部がしわになって密着感がなく、違和感を覚えること、男性器に装着するコンドームと比較して割高であることなどの問題点があり、男性用コンドームと比べてあまり普及していない。 日本では、不二ラテックスが女性用コンドームを輸入・販売している。大鵬薬品も「マイフェミィ」の商品名で発売していたが、2004年4月30日に販売終了となった。 なお、女性用コンドームと男性用コンドームの同時併用は推奨されない。これは、男性用コンドームとの2枚重ねが、ゴム同士の摩擦による破損や位置のずれを起こしやすいのと同じ理由によるものである。 コンドームの語源は、フランスの地名・コンドンにあるとする説と、医師・コンドームの名から来ているとする説があるが、そのような医師が実在したかどうかは不明である。 コンドームの起源は、紀元前3000年ごろの初期エジプト王朝にあると言われており、ブタやヤギの盲腸や膀胱を利用して作られていた。同種の動物内臓を用いた男性生殖器に装着する物品は世界各地で利用され、魚の浮き袋を利用した物も伝えられている。 1564年、イタリアの解剖学者・ファロピウスが、性病予防の観点から、リネン鞘と呼ばれる陰茎サックを開発したが、実用性は疑問視されていた。 なお、今日のコンドームの原型となったのはチャールズ2世の殿医ドクター・コンドーム(人名)が1671年に牛の腸膜を利用して作った物であるとされている。なお、読みについては"コンドン"と発音する場合もある。これはチャールズ2世が無類の好色で非嫡出子だけでも14名の子をもうけ、王位継承の混乱を避けるための措置だったと言われている。しかしドクター・コンドームという人物が実在した証拠はなく、またコンドームはチャールズ2世が王位につく100年以上前から使われていたようである[16]。 ゴム製のものは1844年にゴム精製技術が改良されてから後のことだと言われているが、この辺りの事情ははっきりしていない。 日本では江戸時代に導入されており、その後1909年にゴム製の第1号が誕生した。ただし当時はまだ正しい使用法が知られておらず、使用後裏返して再使用した、使用後に洗って干して再利用したという話も多く伝わっている。当時の有名な日本製コンドームとしては「ハート美人」「敷島サック」、そして日本軍用の「突撃一番」「鉄兜」などがある。 第一次世界大戦では兵士と慰安婦との性交により性病が蔓延したため、参戦した各国の軍隊が支給品にコンドームを加えるようになり、広く普及する事となった。 現代のシームレスタイプのラテックスコンドームは、ポーランドで発明された。発明家で実業家のポーランド人ユリウス・フロムが新製法を確立、1916年に特許を取得し、1922年に大量生産を開始、新工場がドイツ、ポーランド、オランダ、デンマークなどに建てられ、「フロムス・アクト」の商品名でヨーロッパ各国で販売され大成功をおさめた。日本では1933年に国産開始。このためドイツでは「フロムス」がコンドームの代名詞となっている。しかし工場のほとんどは1938年にナチス・ドイツの脅迫によって二束三文の代価で乗っ取られ、ヘルマン・ゲーリングの代母の一家の手に渡った。戦後、「フロムス」のコンドームは「マパ」と商品名を変え、現在でも販売されている。 現在では多くのコンドームが天然ゴムを基剤としている[17]ほか、ポリウレタン製など、非ゴム製のコンドームも製品化されている。
個包装
全開した状態
店頭に並ぶ様々なコンドーム
効能
避妊
妊婦との性交
性感染症予防
装着手順装着手順
勃起した陰茎の包皮を押し下げる。
コンドーム先端の精液溜り(小袋)をつまんで空気が入らないようにし、その状態のまま亀頭部に指で固定する。
コンドームを固定したまま、コンドーム周囲のロール状に巻いてある部分を押し下げ、陰茎に密着させながら包み込む。また、下に下ろすまで、精液だまりを掴んだ手は離さない[15]。
ロール状に巻いている部分が陰茎の根元まで伸びれば完了。
射精後は縛って捨てる。
女性用コンドーム
女性用コンドーム
女性用コンドームの装着位置
大鵬薬品工業から2004年4月30日まで発売されていた女性用コンドーム「マイフェミィ」
語源
歴史
製造
製造過程
原材料受入
配合
成形
加硫
検査
包装
出荷
Size:63 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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