幼鳥は親と同じくらいの大きさになるまで白っぽい産毛に覆われている。幼鳥には半ば消化した餌が与えられる。このため、コンドル類の幼鳥を人工保育するときには、マウスの子供を消化酵素などと共にミキサーにかけてつくる、特別に調整した餌を与えなければならない。タカ目の幼い幼鳥を人工保育するときは、動物の新鮮な肉や、レバーのような内臓を与えれば済むのと対照的である。6カ月ほどで飛べるようになるが、2歳になるまで自分が生まれた巣で暮らし、親と共に餌探しを行う。その後、自分の親が育てる新しいヒナに巣を譲りあけることになる。
大きな集団の中には、よく整った社会構造が見られる。ボディーランゲージによる「つつきあい順」を決めるやり方であるとか、競技を催す習性であるとか、鳴声による交信は発達していないものの、多岐にわたるコミュニケーション能力が複雑な社会構造を持っていることを物語っている。
羽を広げ、雄大な円を描くように飛ぶ様は、まさに優雅そのものである。コンドルの胸骨はその大きな羽の筋肉を支えるには不十分な大きさであることを見ると、生理学的に羽ばたき飛行ではなく、高空での滑空飛行に適応していることがわかる。コンドルも含め、鳥は地面から飛び立つ時に羽ばたかなければならないが、こうした滑空飛行に長けた鳥類は、適度な高さに達してしまえば上昇気流や風に乗るだけで十分になる。チャールズ・ダーウィンは、半時ほど観察をしている間に1度しか羽ばたかなかったと報告している。彼らが高所に巣作りをするのは、あまり羽ばたかなくても楽に飛びたてる適応の意味もあるのである。
巣やねぐらの周囲に広い行動圏を持ち、死肉を探して日に250kmも移動することがしばしばある。彼らは鹿や牛などの大きな死体を好む。これらの大型獣の皮膚は強靭で、喰い破るのがたいへんなので、小型の肉食、あるいは死肉食の動物が利用するのは困難となり、また高空から餌を探すことによっていち早く死体を発見できることとも相まって、コンドルが独占できる食物となるのである。野生においては常時食物が得られるとは限らず、しばしば何も食べずに数日過ごすこともある。一方、食べる時には2-3kgくらいをガツガツと詰め込み、まれに体重が重くなりすぎ飛び立てなくなることもある。こうした点はタカ目である旧大陸のハゲワシ類とよく似ている。 病気や怪我などで弱った家畜を襲うことから、害鳥とみなされることもある[6]。 害鳥としての駆除、害獣とされるピューマやイヌ科の構成種に対する毒餌、鉛中毒、農地開発やプランテーションへの転換による生息地の破壊、送電線への衝突、ペットとしての採集、イヌとの競合などにより、生息数は減少している[3]。食物が家畜を含めた外来種の死骸に偏っているため、家畜の飼育になんらかの変化が起こった場合に本種に対する影響も懸念されている[3]。1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。 日本では2021年の時点で、ヴルトゥル・グリュフスとして特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[11]。 ボリビア、チリ、コロンビアおよびエクアドルの国鳥であり、南米の神話やフォルクローレの中で重要な役割をはたしている(これはアメリカ合衆国に於けるハクトウワシと同じ位置づけである)。また、インカ帝国最後の皇帝トゥパク・アマルが死後、コンドルに生まれ変わったという伝説も残っている。またナスカの地上絵の一つにコンドルがある。
人間との関係
画像
オスの頭部
メスの頭部
飛翔
卵
コンドルの陶器(モチェ文化・ペルー)
ナスカの地上絵・コンドル(ナスカ文化・ペルー)
コンドルの狩猟(チリ・19世紀)
ガウチョによるコンドルの捕縛(1895年画)
コンドルの図案
ボリビアの国章
チリの国章
コロンビアの国章
エクアドルの国章
メリダ州(ベネズエラ)の州章
出典[脚注の使い方]^ Appendices I, II and III (valid from 26 November 2019)
^ a b UNEP (2021). Vultur gryphus. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. [Accessed 10/01/2021]
^ a b c d e f g BirdLife International. 2020. Vultur gryphus. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T22697641A181325230. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-3.RLTS.T22697641A181325230.en. Downloaded on 10 January 2021.
^ a b c Hoatzin, New World vultures, Secretarybird, raptors, Gill, F & D Donsker (Eds). 2020. IOC World Bird List (v10.2). https://doi.org/10.14344/IOC.ML.10.2. (Accessed 10 January 2020)
^ a b 山階芳麿 「コンドル属」『世界鳥類和名辞典』、大学書林、1986年、40頁。
^ a b c d e f g h i j k l Travis Kidd, 2014. "Vultur gryphus" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed January 10, 2021 at https://animaldiversity.org/accounts/Vultur_gryphus/
^ 『世界都路. 巻6』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
^ 『地球説略和解. 巻之5』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
^ 村田文夫著 『洋語音訳筌』 山城屋佐兵衛、1872年。
^ 大槻文彦著 『大言海』新編版、冨山房、1982年。
^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2020年1月10日に利用)
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、コンドルに関連するメディアがあります。ウィキスピーシーズにコンドルに関する情報があります。ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。コンドル .mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.90em;right:1em;display:none}