コンデンサ
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要求される周波数帯域、容量や精度、温度に対する容量変化、耐圧など回路の目的、用途、環境、コスト、大きさに合わせて各種の形状、材質の物が幅広く用いられる。低コスト化、小型化の要求の強い民生用小型機器では、チップ積層セラミックコンデンサが幅広く使われている。
デジタル電子回路での用途

バイパスコンデンサ(パスコン)としての用途が圧倒的に多い。他にわずかながら水晶発振器やタイミング回路に使われる。主に周波数特性がよいチップセラミックコンデンサが使われる。
電源回路での用途

アルミ電解コンデンサを中心として、セラミックコンデンサやタンタルコンデンサ(英語版)が使われる。
電源そのものとしての用途

近年、後述の電気二重層コンデンサをはじめとした1F以上の大容量のものが開発され、蓄電装置として利用されることが多くなりつつある。たとえばノートパソコンの電源としての利用、ハイブリッドカー電気自動車の始動用電源など。最近では電気自動車の走行用電源そのものとしても使用可能となってきている。
構造コンデンサの形状例。
この写真の中での分類としては、足のあるものが「リード形」、長方体のものが「チップ形」である

構造は単純化すると、誘電体絶縁体)を介した、2枚の電気伝導体平板であり、これに(直流)電圧を加えると、電荷(電気エネルギー)が蓄えられる。

実際の製品では、以下に挙げられるものがある。
単板型
二枚の平行平板からなるもの。誘電体の種類を選ばないが、面積を大きく取れないため、大型になる。
旋回型(巻き型)
二枚の電気伝導体箔と誘電体膜を交互に重ねて巻き込んだもの。旋回構造自体がインダクタの形となるため概して高周波特性は良くない。巻き方や線の引き出し方を工夫して無誘導化したものもある。
積層型
極板を形作る導電性の層と誘電体の層とを完成時に所望の容量に成るまで交互に重ね両端に電極を取り付けたもの。層を作る時は二つの極板の端面がそれぞれ別の辺に現れるように極板をずらして作る。出来上がった素子は通常直方体状になる。素子のまま表面実装用に使われる事もあれば、リード線を引き出した後樹脂で封止した物もある。
貫通型
電極のうち、一方の極板に対してもう一方の極板と平行な方向に電流を通せるよう、一つの極板に端子を少なくとも2個以上設けたもの。
管形
電気伝導体の軸の周りに誘電体の管を形成し、その外側にさらに電気伝導体の管を形成して同軸構造としたもの。シールドケースからの線の引出しなど高周波回路で利用される。
チップ形
積層形コンデンサの直方体の平行する二面に一枚の極板へ繋がる電極を設け、残りの任意の面にもう一方の極板に繋がる電極を設けてあるもの。管形に比べるとよりプリント回路基板への実装が容易になっている。3端子コンデンサとも呼ばれる事がある。
電解型
電気伝導体の表面に化学的に酸化皮膜による誘電体層を形成し、電解液に浸したもの。誘電体層が非常に薄くなおかつ比誘電率が大きいため、大容量が得られる。
電気二重層型
活性炭電極の表面に有機分子を吸着させ、誘電体としたもの。誘電体の厚さを分子長さレベルにまで薄くでき、更に多孔質な活性炭により大面積を確保できるので、極端な大容量が得られる。
コンデンサの用途による分類
高電圧電力回路用
紙コンデンサ
誘電体として木材パルプを加工したものを使用している。
オイルコンデンサ
絶縁油を含浸した紙を誘電体としたもの。真空管を使用したオーディオアンプやギターアンプ等でも利用される。
真空コンデンサ
内部を真空にしたもの。
ガス封入コンデンサ
内部にSF6(六フッ化硫黄)等を封入したもの。
電子回路用フィルムコンデンサ
プラスチックフィルムコンデンサ

主にアナログ回路用であるが、高電圧を扱う回路にも使用される。
スチロールコンデンサ
スチコンと呼ばれる。成形が容易で安価、諸特性優秀だが、耐熱温度が85℃と熱に弱く機械的にも脆い。樹脂分子の並びを制御して結晶化させることで問題点を改善した製品も出ている。
ポリエステルコンデンサ(マイラコンデンサ)
マイラコン[注釈 3]、あるいは単に「マイラ」と呼ばれる。諸特性良好だが、誘電吸収がやや大きい。
ポリプロピレンコンデンサ
PPコンと呼ばれる。諸特性優秀で、耐圧も高い(1,000V程度まである)。
テフロンコンデンサ
諸特性良好。プラスチックフィルムコンデンサとしては比較的高温に耐える。
ポリフェニレンスルフィドコンデンサ
PPSコンと呼ばれる。諸特性良好で耐熱性に優れる。
セラミックコンデンサ

0.5pFから1μFが一般的である。近年は数百μFのチップ型セラミックコンデンサも現れている。デジタル回路パスコン(高誘電率系および半導体)、アナログ回路の温度補償用(低誘電率系)に用いられる。高周波特性はよい。チップ型など小型のものや大容量のものは内部電極を積層構造にしている。
低誘電率系セラミックコンデンサ
誘電体に酸化チタンアルミナの磁器を用いたもの。容量温度係数が低く、かつ直線的。微量元素の導入で任意の温度係数に設定することもできるが、容量の誤差が大きい。
高誘電率系セラミックコンデンサ
誘電体にチタン酸バリウムを用いたもの。無極性・大容量のコンデンサが得られる。ただし、容量温度係数が大きくかつ非線形に変化する。さらに、印加電圧によって容量が変動する。また、交流電圧を印加すると圧電効果により誘電体に伸縮が生じて「音鳴き」または「鳴き」と呼ばれる現象が発生する[9]
半導体セラミックコンデンサ
チタン酸バリウムに金属化合物を導入して導電性を持たせたものに、化学処理を施して非常に薄い誘電体層を形成し、焼結したものを誘電体としたもの。高誘電率系セラミックコンデンサよりも更に大きな容量が得られるが、その分、容量変動の諸特性も悪化している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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