コンテナ化
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同委員会は、鉄道が独占的な価格設定および料金差別[注釈 7]を使用しないようにする目的で1887年に創設されたが、規制の虜の犠牲となった。1960年代まで、荷主が同じ車両で異なる品目を運んだり料金を変更する前には、ICCの承認が必要だった。現在の米国における全統合化システムは、ICCの規制に基づく監視が縮小(そして1995年に廃止)された後にのみ可能となったもので、トラック輸送および鉄道は1970年代に規制緩和され、海運料金は1984年に規制緩和された[38]

コンテナが鉄道車両上に2段積み上げられる複層貨物鉄道輸送が、米国で導入された。この概念はシーランド社とサザン・パシフィック鉄道によって開発された。最初の独立式複層コンテナ車は1977年7月に納入された。業界標準となる5ユニットのウェルカーは1981年に初めて登場した。当初、これらの複層貨物鉄道車両は普通列車の運行で展開されていた。 1984年にアメリカンプレジデントラインズ社がロサンゼルス-シカゴ間で複層貨物コンテナに特化した列車事業を開始して以降、その輸送量は急速に増加した[要出典]。
効果タンカーに荷積みされたコンテナ。ロッテルダム港にて

コンテナリゼーションは、特に消費財やコモディティ物品の国際貿易の費用を大幅に削減し、スピードを大きく向上させた。また、世界中の港湾都市の性格も劇的に変貌させた。高度に機械化されたコンテナ積み替え以前は、20-22人の港湾労働者(沖仲仕)が個々の貨物を船倉に詰め込んでいた。コンテナリゼーション後、港湾施設では大所帯の港湾労働者が不要になり、職業が大幅に変わった。

一方、コンテナリゼーションの支援に必要な港湾施設も変貌を遂げた。 影響の1つが港の若干の減少と他の増加だった。 サンフランシスコ港では、荷役に使用されていた以前の桟橋はもはや必要なくなり、しかしコンテナ積み替えに必要とされる広大な保管区画を建設する余地が殆どなかった。その結果、サンフランシスコ港は実質的に主要な商業港として機能しなくなったが、隣接するオークランド港が米国西海岸で2番目に大きい港として浮上した。同様の運命がマンハッタンニュージャージーの港の間でも起こった。英国では、ロンドン港とリバプール港の重要性が低下した。一方、英国のフェリクストウ港とオランダのロッテルダム港が主要港として登場した。一般的には、深喫水船の通行ができない水路の内陸港はコンテナリゼーションから撤退し、海港が有利となった。インターモーダル用コンテナを使うことで、コンテナの仕分けおよび梱包作業を乗船地点から遠く離れた内陸部の施設で実行することが可能となった。

コンテナリゼーションの影響は、海運業界を超えて急速に広がった。コンテナは、海上輸送を伴わない貨物輸送向けのトラック輸送および鉄道輸送産業で急速に採用された。製造業もまたコンテナの利点を活用するべく進化した。かつて小さな委託貨物を配送していた会社は、それらをコンテナにグループ化するようになった。現在、貨物の多くはコンテナに正確に収まるよう設計されている。コンテナの信頼性は、部品供給業者が定期的な固定スケジュールで特定の部材を提供できるため、ジャストインタイム生産システムも可能にした。原料生産地から部品工場まで、部品工場から組立工場まで、組立工場から最終消費地の物流センターまでの間が定時性の高く輸送費の安い海上コンテナで結ばれるため、多数の国にまたがる複数の企業間の生産時期を調整して、短い納期と少ない在庫を達成するサプライチェーン・マネジメント構築も可能になった。

2004年、世界のコンテナ交通量は3億4500万TEUで、約82%のコンテナポートが上位100のコンテナ港で取り扱われたと推定されている[39]
21世紀マースク社のコンテナ船が出航するところ。フリーマントル (西オーストラリア州)にて

2009年時点で、世界中の非ばら積み貨物の約90%が輸送船に積まれたコンテナによって運ばれており[40]、全コンテナ積み替えの26%が中国で行われている[41]。例えば、2009年に中国では105,976,701台の積み替えがあり(香港を除く国際および沿岸の両方)、香港では21,040,096台(リストで別記載)、そして米国では34,299,572台だった。2005年、約1800万台のコンテナが年間2億回以上の旅をした。 2006年8月に就航したEmmaMarsk号のように、14,500以上の20フィートコンテナ(TEU)を積載できる船もある。ある時、コンテナ船はインド洋と太平洋を結ぶ世界で往来の最も激しい輸送レーンの1つであるマラッカ海峡の深さによってのみサイズが制限されると予測されたりもした。このいわゆるマラッカマックスは、船舶を全長470m×幅60mの寸法までにサイズ制限している[36]

ただし、当初はコンテナリゼーションが海運業界に与える影響の程度を殆ど予見できなかった。1950年代にハーバード大学の経済学者ベンジャミン・チニッツは、コンテナリゼーションが工業製品を他地域よりも安く米国南部に出荷できるようになることでニューヨークに利益をもたらすと予測したが、彼はコンテナリゼーションが海外からのそうした商品の輸入を安くするとまでは予想しなかった。コンテナリゼーションの経済的研究の大半は、海運会社が古い輸送形態をコンテナリゼーションに置き換えるようになると単純に決め込んだだけで、コンテナリゼーションのプロセス自体が生産者の選択にもっと直接的な影響を与え、総貿易量を増加させるとまでは予測しえなかった[36]

ISO規格コンテナの普及は他の貨物輸送規格にも変更をもたらし、着脱可能なトラックボディやスワップボディ[注釈 8]が規格サイズおよび形状へと徐々に強制(積み上げに必要な強度はないが)されていき、ISOコンテナや商用車に適合する貨物パレットの世界的な使用へと完全に移り変わっていった。

貨物の安全性向上も、コンテナリゼーションの重要な利点である。ひとたび貨物がコンテナに積み込まれたら、目的地に着くまで再び触られることがない[43]。偶然通りかかった人からは(コンテナ内部の)貨物が見えないため、盗まれる可能性が低い。通常、コンテナのドアは封鎖されているため不正開放がより明確となる。一部のコンテナには電子監視装置が装備されており、ドアが開いた時に起こる気圧変化を遠隔監視することが可能である。このことが海運業界を長年悩ませてきた盗難事案を減少させた。近年の開発はセキュリティをさらに強化するためインテリジェントな物流最適化[注釈 9]の使用に焦点を当てている。


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