コンクリート
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コンクリートは鋼材とともに現代の建築土木工事には不可欠な構造材料である[1]強度と価格の面や施工の安易さから、一般に最も広範に使用されている建築資材の一つであり、建築物道路ダム高架橋トンネル港湾設備と用途は幅広い。

コンクリートはセメント、骨材(粗骨材や細骨材)、水および若干の空気泡からなる[1]。コンクリートの場合は粗骨材(砂利や砕石)も細骨材(砂や砕砂)も用いられるのに対し[1]、セメントペーストに細骨材のを練混ぜたものはモルタルと呼び区別する[2]

コンクリートは圧縮力には耐えられるが引張力には弱いため、コンクリートを単体で使うより、コンクリートの中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして使われることが多い。コンクリートと同じ熱膨張率を持つ鉄筋を入れることで引張力を鉄筋が受け持ち、どちらの力にも十分な強度を持たせることができる。また、鉄筋コンクリートに鉄骨を埋め込んだ鉄骨鉄筋コンクリートや、鉄骨鉄筋コンクリートの鉄骨を鋼管に置き換えた鋼管コンクリート、あらかじめ圧縮力をかけておくことによって大きな引張力が作用しても軽減できるプレストレスト・コンクリート、生コンクリートに合成樹脂繊維を混ぜ込んで強度・延性を増した繊維補強コンクリートも用いられる。
名称

現在は英語単語のカタカナ表記である「コンクリート」という表記を用いるのが一般的である。広井勇の発案であるとされる「混凝土」(コン・クリー・ト)という音訳表記も以前は広く用いられ、このまま「コンクリート」と読まれた。この漢字表記は、中国語圏では現在でも最も一般的なコンクリートの名称として用いられている。

コンクリートは、広義の意味では砂利などをセメントなどの糊状のもので結合させたものを指す。そのためセメントで結合させたものをセメントコンクリートと呼び、アスファルトで結合させたものをアスファルトコンクリートと呼ぶ。建築資材として一般にコンクリートと呼ばれるものはセメントコンクリートの方である。(省略してコンクリ、CO、CONとも読み書きされる)。

別名ベトン(: beton、: Beton、: beton)。

凝固する以前の状態はフレッシュコンクリートと言われる(生コンクリートまたは省略して生コンとも)。
歴史

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ヴェスビオス火山山麓にあった火山灰石灰砕石を混合したものが水中で硬化したことを発見したのがコンクリートの歴史の始まり。

歴史は古く、コンクリートに類似したものは古代エジプトにもあったが、ローマ人ヴェスビオス火山の山麓にあった火山灰「ポッツォリーナ」(Pozzolina)、石灰砕石を混合したものが水中で硬化し、強度を増すことを先住民のエトルリア人から習い[3]水道橋伽藍など建築物構造物構築物古代ローマ・コンクリートを多用した。ローマにある伽藍のドーム型枠すら使用されていた痕跡が確認されている。

ローマに現在も残るパンテオン鉄筋を使用していないコンクリート建築としては世界最大級のコンクリート製ドームのであり、ローマン・コンクリートがむき出しの状態である。現在とは異なり、当時のローマではコンクリート壁をレンガなどで覆っていた。ローマ帝国で使用されたローマン・コンクリートは、生石灰、「ポッツオーリの土」とも称される火山灰、軽石を骨材に使用していた。それまでの、レンガを使用した建築に対し、コンクリートは革命的な材料で、制限されない自由で斬新な設計が可能となり、アーチヴォールト、ドーム形状などに素早く硬化して剛体となり、それまでの石・レンガ建築で問題であった内部の圧縮・引張りを気にする必要が薄れ、建築史を大きく塗り替えた[4]

最近の評価では、ローマン・コンクリートは現代使用されるポルトランドセメントと比較しても圧縮に対する強度は200  kg/cm2と大して変わらないが、鉄筋を使用していない分、引っ張りに対する強度ははるかに低かった。ローマン・コンクリートの骨材には細かく砕いた煉瓦などの瓦礫を主に使っていた[4]

古代ローマ帝国遺跡のコンクリートを調査した東北大学教授の久田真は、火山灰を混ぜることで緻密になり、耐久性が増したと分析している。北海道立総合研究機構北方建築総合研究所の谷口円は、劣化の原因となる二酸化炭素塩分の染み込みを、火山灰が妨ぐことで耐用年数が長くなると推測している。ローマ帝国滅亡後の中世ヨーロッパでは大型建築物は石造となり、コンクリートが再び使われるようになったのは産業革命後である[5]。.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}ローマのパンテオンの外観。現在も鉄筋などの補強のないものとしては、世界最大のコンクリート製ドームである[6]ローマ近郊の墓で、ローマン・コンクリートがむき出しになっている様子。現代のコンクリート建築とは対照的に、ローマではコンクリート壁をレンガなどで覆っていた。

ローマ帝国でのローマン・コンクリート (Opus caementicium) は、生石灰、ポゾラン(「ポッツオーリの土」と呼ばれる火山灰)、骨材としての軽石から作られていた。ローマ建築に広く使われて建築史上の画期をなし、石やレンガに制限されない自由で斬新な設計の建築が可能となった[7]

古代ローマ人にとって、アーチヴォールトドームの形状を作ると内部の圧縮や引っ張りを考慮しなくてはならない石やレンガと違い、素早く固まって剛体になるコンクリートは画期的な素材だった。[8]

最近の評価によると、ローマン・コンクリートは現代のポルトランドセメントを使ったコンクリートと比較しても、圧縮に対する強さは引けを取らない(約200 kg/cm2)[9]。しかし、鉄筋が入っていないため、引っ張りに対する強さは遥かに低く、したがって使い方も異なる。

現代のコンクリート構造はローマン・コンクリートのそれと2つの重要な点で異なる。第一に固まる前の現代のコンクリートは流動的で均質であり、型枠に流し込むことができる。ローマン・コンクリートでは骨材として瓦礫を使うことが多く、手で積み重ねるようにして形成する必要があった。第二に現代のコンクリートは鉄筋を入れることで引っ張りに対する強さが強化されているが、ローマン・コンクリートにはそれがなく、コンクリート自体の引っ張りへの強さだけに依存していた[10]


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