コロンビア
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FacebookGoogleマイクロソフトなどが相次いで進出して、2007?12年に同国のIT(情報技術)産業は177%成長し、68億ドル規模となった[35]
労働

コロンビアは労働環境が整備されておらず、世界的に見ても労働環境が良くない国である。2021年に経済開発協力機構(OECD)によって行われた年間労働時間ランキングでは、全就業者平均の1人当たりの年間実動時間が1,964時間であり、メキシコ、コスタリカに次ぐ第3位を記録している[36]

また、2021年に国際労働組合総連合グローバル権利指数(2021 ITUC Global Rights Index)が発表した「労働者にとって最悪な10カ国」にもコロンビアはランクインした。これは団体行動権や団体交渉権といった労働者が持つ権利がどの程度尊重されているかを指標化したものである。労働時間のみならず、労働者が持つ権利の観点からもコロンビアは労働環境が整備されていない国だということができる[37]

また、2020年から2021年にかけて行われたコロンビア政府の「国民生活時間調査」(ENUT:Encuesta Nacional de Uso del Tiempo)によると、有給労働を行っている男性が53.3%、女性が29.9%であり、無給労働を行っている男性が63.0%、女性が90.3%であった。このデータからも分かるように、コロンビアは労働時間が長いにもかかわらず、かなり高い割合で無給労働が行われている。また、男性と女性の労働に関する格差も問題である[38]
農業詳細は「コロンビアの農業(英語版)」を参照

19世紀の終わりから熱帯の換金作物のプランテーションが導入され、特にコーヒーは20世紀を通して外貨の稼ぎ頭であり、産出量は世界で2番目であった。コロンビアのコーヒー産地の文化的景観は、世界遺産にも指定されている。ただし、21世紀になり2位の座を新興生産地の一つであるベトナムに明け渡したほか、2010年代には、コーヒー豆の国際価格が下落し、主要生産地であるウイラ県アンティオキア県では立ち行かなくなる農家も見られるようになっている[39]。なお、コロンビアの可耕地面積は国土の3.3%程(2005年)である。

切り花(特にバラカーネーション)の輸出国でもあり、米国、欧州の他に日本へも輸出されている。

世界有数のコカ栽培国と知られており、生産されたコカインは欧米諸国を中心に密輸されている。コロンビア革命軍はコカインの密輸によって1990年代以降に組織の拡大に成功した。これを受けて、2000年代に政府はアメリカなどの支援を受けて、コカ農園に除草剤ラウンドアップの大規模な空中散布を行い一定の成果を上げた。しかし、政府の管理下に置かれていない地域が広く、農園の根絶は困難な状況が2020年代現在も続いている。

2019年に行われた全国農業調査(ENA:Encuesta Nacional Agropecuaria)によると、2019年に生産された農作物の総生産量は63億トンである。この66.7%に当たる4,220万トンが工芸作物であり、コロンビアで生産される農作物の中で最も高い割合を占めている。コロンビアにおいてはコーヒー、アブラヤシ、サトウキビなどがこの工芸作物に該当する[40]
鉱業詳細は「コロンビアの鉱業(英語版)」を参照

コロンビアは1991年憲法により、全ての地下資源を国家が所有している。以前は地方の治安が悪かったために探鉱・油田開発が殆ど行われていなかったが、治安改善に従って欧米メジャーによる開発が進んでいる。石炭、石油、天然ガスを産し、全輸出額に占める原油と石炭の割合は30%に達する。コロンビアの石炭産出量は西半球に限定すれば3位に達する。品位の高い瀝青炭の比率も高い。

油田はベネズエラ国境に近いマグダレーナ川流域に分布する。最も重要な金属資源は世界シェア7位(5.1%)を占めるニッケル鉱(7.1万トン、2003年)である。その他、白金マグネシウムを産する。金と白金の産出量は南米では2位、1位を占める。全ての金属鉱床はアンデス山脈に沿って点在する。このほか、リン鉱とも産出する。エメラルドの産出量は世界市場の約80%を占める。1990年時点では300万カラットに達した。
観光詳細は「コロンビアの観光(英語版)」を参照

コロンビアの観光業は1940年代に始まり、現在も発展している。主な観光地としては首都ボゴタのほかカルタヘナサンタ・マルタシモン・ボリバルの没した町)、メデジンカリバランキージャサン・アンドレス島などがあり、それぞれ異なる嗜好の観光客を惹きつけている。

外務省をはじめとして各国が渡航中止勧告や要注意勧告を出しているにもかかわらず多くの旅行者がコロンビアに惹きつけられている。コロンビアには2006年に150万人の観光客が入国したが、これは前年比50%増であった。

治安に関しては郊外や観光客があまり訪れない場所にさえ行かなければ、危険な目に遭うことは少ないと考えられている。ウリベ政権発足後の劇的な治安回復が、今後の観光業の発展に良い影響を及ぼすことが期待されている。

地理や植生が多様で豊かであるため、エコ・ツーリズムも盛んである。カリブ海岸のカルタヘナはビーチ・リゾートとして有名である。 カルタヘナ
国民詳細は「コロンビア人」を参照北部アンデスの人口密度。赤い部分は特に人口が多い。コロンビアの人口増加グラフ。2005年のFAOのものにより、人口は千人単位である。

コロンビアの国民は、国の歴史の多様性と同じように様々な人々によって構成され、ヨーロッパ系移民、インディヘナ、アフリカ系、中東系をはじめとするアジア系などが主な構成要素となっている。インディヘナの多くはメスティーソに統合されたが、現在[いつ?]もメスティーソとははっきり異なるインディヘナの集団は存在する。

ヨーロッパからコロンビアに入国した移民のほとんどはスペイン人であったが、第一次世界大戦と第二次世界大戦では、多くのイタリア人ドイツ人ポルトガル人ユダヤ人オランダ人ポーランド人フランス人イギリス人ハンガリー人ギリシャ人スイス人ベルギー人が国に移住した。その後、冷戦はリトアニア人ラトビア人ロシア人ウクライナ人アルメニア人のさまざまなグループをコロンビアに移した。例を挙げれば、アンタナス・モックス前ボゴタ市長は、その名前が示すように、リトアニア系の子孫である。アフリカ系の住民は、16世紀と19世紀に奴隷として捕らえられた人々の子孫であり、ほとんどがカリブ海沿岸の熱帯低地に住んでいる。もう1つの大きな移民グループは、オスマン帝国に迫害され逃亡した中東出身のレバノン人、パレスチナ人、シリア人、ヨルダン人、イラク人であった。中国人、日本人、韓国人のようなアジアの移民は、国のいくつかの主要都市で見られる。近年、国への移民の最大数は、退職の一環として国に引っ越すアメリカ人とカナダ人である。

民族構成は、メスティソ45%、ヨーロッパ系42%、ムラート4%、インディヘナ4%、アフリカ系3%、その他(アジアまたはジプシーティコ)2%となっている[41]

コロンブスが到着する前は、この地域には先住民族が住んでおり、現在はインディヘナと呼ばれている。現在、インディヘナの人口は約1,900,000人と推定されており、102を超える部族に分かれている。彼らの多くはチブチャ語またはカリブ海の言語を話す。アル・ウアコス、ムイスカ、クナが登場[42]。[いつ?]も大きなコミュニティを築いている。

移民の多くはカリブ海沿岸のバランキージャに定着した。移民の出身国としては、レバノンイタリアドイツアメリカ合衆国中国フランスポルトガル、そしてロマなどが挙げられる。カリブ海沿岸においてドイツ系と中国系の占める役割は大きい。南西部のカリを中心にカウカ地方には少数ながら日系人もいる。

世界のどのような類似の地域よりも多様性に富んでいて、ラテンアメリカの中でも極めて地域主義が強い国である。例を挙げるとアンティオキア人はコロンビア人であることよりもまずアンティオキア人(アンティオケーノ)であることを優先するといわれ、他のコロンビア人にない貯蓄や開拓の気風はこうした傾向を一層強めた。そのため19世紀中にコロンビア全地域の商業がドイツ人とシリア人のものになってしまったのにもかかわらず、アンティオキア地方だけはアンティオケーノだけが商業を担った。こうした事情があいまって、1920年代にコーヒー景気によって発達したアンティオキア経済は、1960年代にカウカ地方のカリに抜かれるまでメデジンを国内経済の中心地とするほどだった。


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