日本へは10世紀以前に中国から伝えられたと考えられており、平安時代中期の『延喜式』(927年)に供奉の記載があり、『和名抄』(930年代ごろ)には古仁志(こにし)の古名が見られ、日本現存最古の本草書『本草和名』(918年)にも記載がある[2]。『延喜式』『和名抄』などに朝廷料理で生魚を食べる際に必ず用いる薬味として記載がある。江戸時代の貝原益軒の『農業全書』や、本草学者小野蘭山の『重修本草綱目』にも記述がある[2]。
現在では、ロシア、東欧諸国、モロッコ、アルゼンチン、インド、中国、タイなどの東南アジア地域などにも広がって栽培されている[2]。 冬期を除いてほぼ周年植え付け、収穫ができる[20]。播種から開花までの日数は、春まきで約90日、初夏まきで約60日、秋まきでは開花しない[16]。また、夏まきでは開花するが、高温のため結実しない[16]。葉を利用するときは、播種から約6週間後に収穫できるようになる[20]。香辛料として種子をとる場合は、春まきにするとよい[20]。暑さと寒さにはさほど強くない性質があり[20]、発芽にはある程度の高温が必要で[17]、発芽適温は昼間27度、夜間が22度がよいといわれている[16]。コリアンダーは水はけが悪く常に湿度が高い環境を嫌う性質がある。そのため日当たりが良く、水はけの良い土壌を選んで栽培する[21][7]。また、乾燥にも弱いため、土が乾きすぎないように水やりの管理を行う[20]。 直根性で移植を嫌うため、ふつう春に種を直播きする[21][7]。暖地では秋まきも可能である[17]。夜間の気温が7度以下に下がらない条件下で屋外に種蒔きすると、2 - 3週間ほどで発芽する[7]。苗をつくる場合は、セルトレーに種をまき、双葉が出たら間引いて本葉3 - 4枚の苗に仕上げてから畑に植え付ける[22]。育苗箱で筋まきして、双葉が出たら1本ずつ掘り上げて育苗ポットに移植する方法もあり、本葉4 - 5枚になったら株間30センチメートル (cm) 間隔で畑に定植する[23]。プランターで栽培もでき、ポットに種子をまいて18度前後に保つと、5 - 10日ほどで発芽する[7]。葉を収穫する目的であれば約5 cm間隔で、また種子を採集する目的であれば多少のスペースが必要で約20 cmの間隔で間引きをする[7]。水は好む性質のため、表土が乾いたらたくさん水を与えるようにするが、水切れするとその後の生育は悪くなる[9]。 草丈が20 - 25 cmくらいになったら葉の収穫期となる[16][23]。播種から30 - 40日ほどたつと葉を収穫することができるようになるが、葉は保存が利かないため、利用する都度収穫するようにする[7]。花をつけ始めるようになると、葉や茎が固くなってしまうため、葉の食感が良い若葉のうちに摘み取るようにする[17][21]。根ごと抜いて収穫してもよい[23]。 スパイスにもなる種子は夏以降に収穫できるようになり、実が熟して株の上部が重くなったら、茎が弱いので支柱を立てておく[7]。果実が黄褐色に熟したら、種子が飛び散りやすくなっているので、早朝か夕方遅くに茎ごと刈り取って収穫し、十分乾燥してから袋などに入れて保存する[17][8]。収穫が遅れると果皮が黒褐色になり、香りも悪くなる[16]。 病気はほぼ問題ないが、気温が高くなり乾燥してくると、アブラムシやハダニがつく場合がある[16][21]。 花色で白色のものと紅紫色のものがある[16]。また、果実の大きさで大粒系(果実径3 - 5 mm)と小粒系(1.5 - 3 mm)がある[16]。大粒系は、小粒系のものと比べて発芽や開花が早く、茎葉も大きくなる[16]。また小粒系は、大粒系よりも精油含有量の割合が高いという特徴がある[16]。 大粒系の栽培地域は、モロッコ、インドなどの熱帯や亜熱帯地域で、小粒系はロシア、東欧、中欧などで栽培される[16]。
栽培
栽培品種
サワディパクチー - 葉が比較的小さく、色がやや淡いが香りは強い。サラダや添え物、エスニック料理に利用される。果実はレモンに似た芳香がある[20]。
サバイパクチー - 一般のコリアンダーよりも茎が太く、晩抽性で耐暑性がある。葉は色濃く、香りは中程度で、えぐみが少ない。サラダや添え物のほか、スープやジュースにも向く[20]。
ナリーパクチー - 葉の形が細いのが特徴で、やわらかな食感で、爽やかな香りがあり食べやすい。サラダにも向いている[20]。