そのほか、コラーゲンタンパク質の特徴を部分的に備えた "コラーゲン様領域" を有するタンパク質が15種類以上知られている。例えば、補体のC1q、コレクチン、フィコリン、アディポネクチン、マクロファージスカベンジャー受容体などがそれである。これらは部分的にコラーゲンの機能をあわせ持つタンパク質と考えられている。 細胞内でのコラーゲンの産生には、様々な酵素分子やシャペロン分子が関与している。ヒトのコラーゲンのなかでは最も大量に存在するI型コラーゲン分子の場合、COL1A1とCOL1A2の2種類の遺伝子から合成されたmRNAが細胞質中のリボソームによって翻訳が開始され、翻訳されたシグナルペプチドとシグナルリコグニションパーティクル
生合成
いくつかの型のコラーゲンにおいては、HSP47という分子シャペロンが正常なコラーゲン分子の合成に必須であることが報告されている[8]。また、I型コラーゲンとHSP47の発現量は、常に相関することも知られている。 コラーゲンは、ES-D3株などの胚性幹細胞を無血清条件で培養する際にディッシュにコーティングすることで幹細胞の足場となり、幹細胞の未分化性維持および幹細胞の増殖を促進する働きがあることが論文により報告されている[9]。また、米国国立衛生研究所(NIH)による2006年の報告ではヒト胚性幹細胞の無血清培養を行う際にはラミニン-111とIV型コラーゲンを主成分とするマトリゲルによる培養を行うことで胚性幹細胞の未分化性を維持した状態で増殖させる手法が多数紹介されている。同時に精製されたラミニン (laminin) あるいはIV型コラーゲンを使用した培養法が存在することについて述べられている。 As it is mostly comprised of laminin and collagen, these molecules have also been used, in purified form, to avoid lot-to-lot variations in the Matrigel extract.[10] ゼラチンは、高温で立体構造を変性させたコラーゲンである。コラーゲン[11]のらせん構造は、高温では壊れて三量体が解離し、一本鎖にほどけたポリペプチド鎖が遊離する。コラーゲンは、疎水性アミノ酸含有量が少ないために、水に溶けるなど、立体構造を持つコラーゲンとは異なった物理的・化学的性質を示し、ゼラチンと呼ばれる。ゼラチンは、コラーゲン配合と表記されている化粧品や補助食品、あるいはゼリーの原料として用いられる。主な原料はウシやブタなどの大動物の皮膚、骨などや魚類である。乾燥する際の形状によって板ゼラチンや粉ゼラチンと呼ばれる。 コラーゲンらせん構造のフォールディングとアンフォールディング反応には、I型コラーゲンなどの共有結合で3本のポリペプチド鎖が結合していない場合には、濃度依存性はない。III型コラーゲンなど、末端に共有結合で3本鎖が集まっている場合は、フォールディング反応において、プロリン残基におけるX-Pro結合のcis transが律速段階になり、ジッパーのように3本鎖らせん構造が形成されていくので、履歴現象が観察される。低濃度のコラーゲン溶液を用いた実験では、変性温度が単離した動物の体温以下になることが知られている。 コラーゲンの両端には、コラーゲンの主たる抗原部位であるテロペプチドが存在する。この部分を酵素処理で取り外すと、コラーゲンの抗原性が極端に低くなる。これをアテロコラーゲン コラーゲンペプタイドとも呼ばれる。コラーゲンを酵素処理で分解し、低分子化したもので、食品として摂取した場合、体内でオリゴペプチドやアミノ酸に分解しやすいため、吸収性が高められている。ゼラチン同様に水溶性を持つが、ゼラチンのように低温でゲル化する性質はない。健康食品として摂取されたり、保湿性 コラーゲンを変性させずに抽出されたもの。ハーバード大学の研究では、II型の非変性コラーゲンが免疫寛容によって関節の炎症が抑えられることがわかっている。シニア向けの健康食品として摂取されている。原料として、主に鶏の軟骨であったが、近年、アルカリ溶液による抽出方法の発見と、サケの鼻軟骨を原料とすることにより、生産の低コスト化が実現した。 口から摂取し消化されたコラーゲンに特徴的なヒドロキシプロリンの血中への移行は、ゼラチンでは1962年に[12]、さらに分解されたコラーゲンペプチドでは2005年から解明されてきた[13]。
胚性幹細胞培養
産業利用
ゼラチン
アテロコラーゲン
コラーゲンペプチド
非変性コラーゲン
消化、吸収
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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