コモロ
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2011年にはモヘリ島からイキリル・ドイニン大統領が選出され、2016年にはグランドコモロ島からアザリ・アスマニ大統領が就任。2018年には大統領再任許可を柱とする憲法改正が国民投票で承認され、2019年にはアザリ大統領が再選された[22]
政治詳細は「コモロの政治(英語版)」を参照

コモロは共和制大統領制連邦制をとる立憲国家である。現行憲法2001年12月23日に制定(2009年、2018年に一部改正)されたもの。

現行憲法の制定当初は連合を構成するグランドコモロ島、アンジュアン島、モヘリ島の3島には独自の自治政府と大統領がおり、ほぼ完全な内政自治権を与えられる一方で、連合政府は外交国防通貨政策など、連合全体にわたる事柄のみを処理する合議機関であり、相対的に権限は弱いという国家連合に近い政体であった。しかし、2009年5月に実施された国民投票で憲法が改正され、各島自治政府の大統領は知事へと降格、更に連合政府の権限が強化され、連邦制に移行した。

連合政府の大統領国家元首であり、3島から輪番制で選出される。任期は5年。内閣に相当する閣僚評議会のメンバーは大統領により任命される。かつては首相(英語版)職も存在したが、2002年4月15日に廃止された。

立法府一院制で、正式名称はコモロ連合議会(AUC)。定数は33議席で、うち9名は各島の地方議会が3名ずつ選出する。AUC議員の任期は5年である[24]

コモロは複数政党制が名実共に機能している。小党乱立の傾向があるが、各島の自治権維持による連邦主義を唱える自治諸島陣営(CdIA)、連合政府の権限強化による中央集権を目指すコモロ再生会議(CRC)の2党が有力である。その他にはイスラーム主義の正義国民戦線(FNJ)なども存在する。

司法府の最高機関は5名の裁判官から成る最高裁判所。最高裁判所裁判官は連合政府の大統領が2名、AUCが2名を任命し、残る1名は各島の地方議会とコモロの歴代大統領による合議で選ばれる。

首都のモロニがあるグランドコモロ島の支配に反発し、1997年からアンジュアン島とモヘリ島で分離独立の動きがあったが、連邦再編と各島の自治権拡大を謳った新憲法が採択され、コモロ連合への国名改称とともに、現在では両島ともコモロに留まる意向を示している。しかし連合政府の権限強化を謳った2009年の憲法改正の際には、再び各島の間で対立が発生した。

軍事については小規模な「コモロ警備軍」と警察を保有している。また、フランスと安全保障条約を締結しており、海上の防衛についてはフランスが行っており、小規模な部隊が駐屯している。長年フランス人傭兵のボブ・ディナールが護衛隊長という職務を濫用して実権を握り、度重なるクーデターの根源と化していたが、1995年にフランス側が拘束したことによりその勢力は排除された。
地方行政区分コモロの地理詳細は「コモロの行政区画」を参照首都モロニの浜辺

コモロはアンジュアン島(ンズワニ島)、グランドコモロ島(ンジャジジャ島)、モヘリ島(ムワリ島)の3島により構成されており、それぞれの島に自治政府がある。コモロ政府はこの他にマヨット島も自国を構成する島の1つと主張しているが、実際にはマヨット島はフランスの海外県となっており、コモロの統治は及んでいない。2001年制定の連合憲法下では、連合を構成する3島には独自の自治政府と大統領が置かれ、それぞれが大幅な自治権を持っていた。しかし2009年の連合憲法改正に伴い、各島の自治権は縮小され、自治政府の大統領は知事へと改称された。

2011年の行政改革で各島に(Prefecture)、コミューン(Commune)が整備された[25]
主要都市詳細は「コモロの都市の一覧」を参照

最大の都市は首都で、グランドコモロ島の主都でもあるモロニである。これに次ぐ都市はアンジュアン島の主都であるムツァムドゥと、モヘリ島の主都であるフォンボニである。
地理詳細は「コモロの地理(英語版)」を参照

コモロは、コモロ諸島における4つの主な島のうち3つで構成されている。残りの1つはフランス領のマヨット島であるが、コモロ連合はこの島の領有権も主張している。諸島はインド洋西部にあり、アフリカマダガスカル島の間にある。コモロ諸島はすべて火山島であり、なかでもグランドコモロ島の最高峰であるカルタラ山(Le Karthala。標高2,361m)は活火山である[26]。カルタラ山は数十年に一度の噴火を繰り返しており、2005年にも噴煙を10km以上も噴き上げる大規模な噴火が起きた[27]

3島の地形と植生はそれぞれ明確に異なる。グランドコモロ島は最も広く標高が高いが、活発な火山活動のため火山灰でできた土壌の透水性が非常に高く、降水量が多いにもかかわらず河川が一切存在しない。このため土壌浸食は抑えられているものの、水源はわずかな地下水に頼らざるを得ない[28]。アンジュアン島は起伏の激しい地形をしており、数多くの河川が存在するものの、高い人口圧によって高地の森林伐採と耕地化が進み、土壌浸食と水量減少が深刻な状態となっている[29]。モヘリ島は標高が最も低くなだらかな地形をしており、高地は森林に覆われており多くの河川が存在する[30]

コモロは全域がサバナ気候(Aw)に属し、明確な雨季乾季が存在する。5月から10月が乾季でに当たり、11月から4月が雨季でに当たる。降水量は地域により差があるものの基本的に非常に多く、年間降水量はモロニで約2800mmであり[31]、カルタラ山の一部では8700mmにまで達する。気温は平均26℃で変動が小さい。日照時間は長いが湿度も高い[32]
経済詳細は「コモロの経済(英語版)」を参照

通貨コモロ・フランである。一人あたり国民所得はわずか1610ドル(2022年)にすぎず[33]後発開発途上国の一つである。ほぼ農業しか産業がない状況にもかかわらず、人口密度は1km2あたり344人(2015年)と非常に高く、しかも人口増加率も非常に高いため、人口過剰が深刻な問題となっている。政府は輸出産物の多様化や観光振興に取り組むが、外国からの援助および在外コモロ人からの送金に頼る状況である[31]

農業はプランテン・バナナキャッサバ豆類パンノキタロイモなどを組み合わせた小規模の自給農業が主である[34]。植民地時代はバンバオ植民地会社をはじめとするフランスの農園企業が島のかなりの土地を占有しプランテーションを経営していたが、独立前夜の1960年代以降こうした農園企業はほぼ撤退し、大農園も衰退の一途をたどった[35]。3島とも土地は非常に肥沃であるが、グランドコモロ島の農業用水不足やアンジュアン島の土壌流出、さらには農法の未発達などの問題を抱え、非常に生産性が低く食糧自給ができないため、コメなどの主要食糧を輸入している[36]。中でもコメの輸入は2013年には総輸入の10.2%を占め、石油に次いで第2位の輸入品目となっており[31]、経済をさらに圧迫している。

主要輸出品は香料で、2013年にはクローブが総輸出の48.4%、バニラが20.2%、イランイランなどの精油が11.4%と、香料のみで輸出の80%を占めている[31]。こうした香料生産植物は植民地時代の農園企業によって持ち込まれたが、企業の撤退以降投資や樹木の更新がなされず、生産量は減少傾向にある[37]。島嶼国ではあるが漁業は未発達である[22]。工業はほぼ農産物加工のみ。2013年には輸出が2500万ドル、輸入が2億8500万ドル[31]と大幅な入超となっており、主食であるコメの輸入額だけで総輸出額を超える状況である。
交通詳細は「コモロの交通(英語版)」を参照

コモロ最大の空港はモロニ北郊のハハヤ(フランス語版)にあるプリンス・サイード・イブラヒーム国際空港であり、他2島への国内便のほか、国際線も発着している[5]。このほか、アンジュアン島北部のワニ[38]と、モヘリ島北岸のバンダル・エス・サラーム[39]に空港が存在する。

コモロは島嶼国家であるが、海運はそれほど発達していない。主要港はモロニとムツァムドゥである。以前は大型船の入港ができる港が存在しなかったが、1985年にムツァムドゥ港が深水港として整備されて大型船入港が可能となった[15]


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