『コマンドー』(Commando)は、1985年にアメリカ合衆国で公開されたアクション映画。監督はマーク・L・レスター、主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。 本作品は前年の『ターミネーター』(1984)で悪役を演じたアーノルド・シュワルツェネッガーが、現代劇において“屈強で勧善懲悪のヒーロー”を初めて演じた[注 1]ヒット作。シュワルツェネッガーはビルドアップされた肉体とそれを存分に活かしたアクションを披露し、本作で“正義の味方”としてのイメージを確立させ、アクションスターとしての地位を不動のものにした。 宣伝用のキャッチコピーは、"Somewhere... Somehow... Someone's going to pay!"で、日本公開版では「許せない!! 奴らは、ただでは済まさぬ!」となった。 日本ではテレビで繰り返し放送されており、2000年代からはインターネット上において、平田勝茂翻訳によるテレビ朝日版日本語吹き替えの独特の言い回しがカルト的な人気を博している。 2019年から2020年では日本で4Kニューマスター吹替版として各地の劇場でリバイバル公開された[4][5][6]。 かつて精鋭コマンドー部隊の指揮官として名を馳せたジョン・メイトリックス(アーノルド・シュワルツェネッガー)は軍を退役し、愛娘・ジェニーと山荘での静かな生活を送っていた。ある日、二人が暮らす山荘をメイトリックスのかつての上官、カービー将軍が訪れ、メイトリックスにコマンドーの元隊員たちが次々と殺害されていることを伝え、護衛として山荘に部下を残していく。しかしカービーが去った直後、謎の武装集団が山荘を襲撃。護衛たちは殺害されジェニーが連れ去られる。メイトリックスは必死に追跡を試みるが失敗し、彼もまた武装集団に拘束される。 犯人は、過去にコマンドー部隊の工作により失脚したバル・ベルデ共和国の独裁者、アリアスの一味であり、その中にはメイトリックスのかつての部下で、一味に殺害されたはずのベネットも加わっていた。メイトリックスに恨みを持つベネットは、アリアス一味に協力して自分の死を偽装し、カービー将軍がメイトリックスに接触するのを待っていたのだった。大統領に返り咲こうとするアリアスはジェニーの命と引き換えに、メイトリックスに現バル・ベルデ大統領ベラスケスの暗殺を強要する。 やむなくメイトリックスは、一味の監視のもとバル・ベルデへ向かう旅客機に乗り込む。しかし、一瞬の隙を突いて同行の見張りを殺すと離陸直後に飛行機の前輪格納室から脱出し、すぐさまジェニーが捕らわれているアリアスの拠点を突き止めるべく隠密行動を開始する。飛行機がバル・ベルデに到着するのは11時間後、その時間内に拠点を突き止められず、自分が飛行機から脱出したことが一味に知られればジェニーは殺害される。 空港でバル・ベルデ便の離陸を監視していた一味のひとり、サリーを追うメイトリックスは、偶然サリーに口説かれていたスチュワーデスのシンディに目をつけ、脅迫に近い手段で強引に協力を求める。当初シンディは粗野なメイトリックスの態度に不信を抱くが、成り行きで行動をともにするうちに、愛娘への思いを語る彼の言葉を信じるようになる。メイトリックスはシンディに助けられながら拠点の位置を突き止め、軍放出品店を破って武器や装具を調達、いったんは駆けつけた警察に逮捕されるが護送車から脱走し、一味の水陸両用機(グラマン・グース)を奪ってアリアスの拠点である孤島にたどり着く。 メイトリックスは完全武装して孤島に乗り込み、大挙して襲い掛かるアリアスの軍勢を一人で殲滅し、元凶であるアリアスも銃撃戦で倒す。しかし、最後に残ったベネットはジェニーを人質にとり、メイトリックスと対峙する。メイトリックスはベネットを挑発して一騎討ちに持ち込み、苦戦のすえに勝利しジェニーを救出する。その後、シンディが発した緊急通信を受けて救援に来たカービーはメイトリックスに軍への復帰を要請するが、メイトリックスはこれを断り、もう会うこともないと告げてジェニーとシンディを伴い水上機で島を飛び去っていった。
概要
ストーリー
登場人物
ジョン・メイトリックス
本作の主人公で、元コマンドー部隊隊長(現地指揮官、最終階級は大佐)。東ドイツ出身[注 2]。