コマンドルスキー諸島の位置する場所により、アジア由来の生物とアメリカ由来の生物が混在している[2]。ベーリング海の浅瀬や太平洋の隆起による多様性、そして人為的影響から隔絶されていたことに起因して、コマンドルスキー諸島は多種多様な海洋哺乳類、比較的少数の陸生生物によって特徴づけられていた[3]。特に、多数のキタオットセイ(約200,000頭)とトド(約5,000頭)が夏をコマンドルスキー諸島で過ごす。ここでは、繁殖が行われることもあるが、繁殖とは関係ない場合もある。ラッコとゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシも多数生息している。特筆すべきこととして、殆どのアリューシャン列島でラッコは頭数を減らしているにもかかわらず、コマンドルスキー諸島においては頭数は横ばいから微増している[4]。
諸島を取り巻く海は、重要な食物を提供しており、絶滅の危機に晒されている種を含む多種の鯨が越冬のために移動してくる。これらの鯨の種類としては、マッコウクジラ、シャチ、数種類のアカボウクジラ科及びネズミイルカ科の鯨、ザトウクジラそして絶滅の危機に瀕している種、例えばセミクジラ[3][5]、ナガスクジラ[6]が挙げられる。
海生生物と比較すると遥かに少数種の陸生動物相には、明確にこの地方特有のホッキョクギツネの2つの亜種 (Alopex lagopus semenovi, A. l. beringensis)が含まれる。現在、比較的健全な状態であるが、過去には毛皮として取引されるためにこれらの狐の頭数は明確に減少していた。トナカイ、ミンク、そしてラットを含む他の陸生生物の殆どは、人為的に諸島に移入されたものである[3]。
100万羽を超える多種の海鳥が、ほぼ全ての沿岸の崖に膨大な数のコロニーを作っている。コマンドルスキー諸島で特によく見られる海鳥としては、フルマカモメやウミガラス、ハシブトウミガラス、ウミバト、ツノメドリ、エトピリカ、鵜科、カモメ科、ミツユビカモメ属が挙げられる。特にミツユビカモメ属の鳥には、特にこの地域固有のアカアシミツユビカモメが含まれる。この鳥は、コマンドルスキー諸島を含む周辺地域のみで繁殖が確認されている種である。カモ目とシギ科の海鳥も、ベーリング島の河の流域や湖沼の傍に多数生息している。