コマンダンテ
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カストロはインタビューに応じるにあたり、「いつでも撮影をやめることが出来るなら」、と条件をつけたが、実際には撮影を制止せず順調に撮影されたといわれ[2]、作中のクレジットも一切の検閲がなかったことを明記している。

米国政府や、マイアミに数多く居住する米国に亡命したキューバ人から独裁者と批判されがちなカストロは、偶像として崇拝されるのを極端に嫌い、キューバ革命(1959年1月1日)直後に自らの提案で、生存する国家的人物の姿を公の場に飾ることを禁じる法律(1959年3月25日発布、法令174号)を制定している[3]。したがってキューバ国内でカストロの肖像がみられることは革命博物館に展示されている記録以外にはほとんどなく銅像もない[3]。また同様の理由から自身の伝記執筆も許可しない(したがって公式の伝記は存在しない)ため、本作はカストロの表情や考え方を垣間見ることができる数少ない作品であり、作品中ケネディ暗殺事件について自説を開陳してみせたり、チェ・ゲバラとの別離やキューバ危機の経緯について、当事者カストロ自らが述懐する作品ともなっている。

サンダンス映画祭で2003年1月にプレミア上映され、米国で最大手ケーブルテレビのネットワーク放送網HBOが本作を配信する予定となっていたが、2003年3月19日に起きた民間機ハイジャック事件と、これに刺激を受けて起きた反体制派による一連の乗っ取り事件の影響から、反カストロを唱える在米キューバ人が上映反対の圧力をかけたため放映されず、読売新聞は事実上のお蔵入りと伝え(同紙2007年5月18日付)[4]東京新聞の外報部長も試写会レビューにおいて「今に至るも未公開」(同年5月)と事実上のお蔵入りを示唆している[5][6]。また、日本の配給元であるアルシネテランは、米国政府にとって「不快」であり「批判的」との理由で米国内では上映禁止になっていると主張している[7]

一方の製作国スペインでは2003年2月に、その後同年中にスウェーデンイギリスで公開され、ヨーロッパ主要国でも2005年には一般公開されている。日本では2007年にアルシネテラン配給で[8]、東京のユーロスペースと大阪のシネ・ヌーヴォで公開され、その後、名古屋シネマテークの他、長崎新潟那覇秋田金沢札幌高崎などで順次上映され[9]、日本国内では2007年12月からDVDが販売されている。
"Looking for Fidel"

(日本未公開)
Looking for Fidel
(原題)
("America Undercover"
テレビ番組タイトル)
監督
オリバー・ストーン
脚本オリバー・ストーン
製作アルバロ・ロンゴリア
Carla Pagi
フェルナンド・シュリシン
製作総指揮アルバロ・ロンゴリア
シーラ・ネビンズ
フェルナンド・シュリシン
出演者フィデル・カストロ
オリバー・ストーン
ファニタ・ベラ(通訳)
音楽Scott Avid
ダビ・ガルシア
撮影カルロス・マルコビッチ
ロドリコ・プリエト
編集アレックス・マルケス
Langdon Page
配給(日本未公開)
公開2004年4月14日
2005年3月12日
(マルデルプラタ映画祭)
2005年12月9日
(劇場公開)
上映時間57分
57分
54分(テレビ番組)
製作国 アメリカ合衆国
言語スペイン語英語
前作コマンダンテ
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本作に引き続き、ストーン監督は再度のインタビューを行ない、2004年に『"America Undercover" Looking for Fidel』と題する別の姉妹作品を公開している[10][11]。こちらは放映されたが[6]、この作品でカストロは2003年の乗っ取り事件などを起こしたキューバ反体制活動家の取り締まりについて言及している。
脚注[脚注の使い方]^ BBC Movies: Interview with director Oliver Stone(英語。2003年9月30日)
^ BBC Movies (Review): Comandante (2003)(英語。2003年10月4日)
^ a b 戸井十月『カストロ、銅像なき権力者』新潮社、2003年6月、ISBN 4104031038、105頁
^ 電子版『読売新聞』: 「オリバー・ストーン監督『コマンダンテ』26日から公開」 ⇒[1]
^ キューバ大使館資料: フェリペ・ペレス・ロケ(Felipe Perez Roque)外務大臣記者会見要約(米国政府の手先として活動したキューバ人の逮捕、裁判について) ⇒[2]Microsoft Word 文書、2003年4月9日)
^ a b 日本記者クラブ(試写会レビュー): ⇒「『コマンダンテ』 独裁者の人間的な顔」(執筆:『東京新聞』安藤徹 外報部長)


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