ココヤシ
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ココヤシ(ココ椰子、古々椰子[2]学名: Cocos nucifera)は、単子葉植物ヤシ科の高木である。おそらくヤシ科植物の中で最も有名で、最も利用価値が高い。単にヤシ(椰子)と言えばこれを指す[1]。果実はココナッツとして有名であり、他にも多方面で利用価値が高く、世界中の熱帯地域で栽培されている。

リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物種の一つである[3]
特徴ココヤシと果実(図)

樹高は大きいもので約30メートル (m) にまで成長する。幹はまっすぐには直立せずやや斜めに伸び、途中がよく屈曲する。葉の長さは5 mにもなる羽状複葉で、基部から先端まで細長い小葉を両側に付ける。は幹の先端部に集まり、その部分には葉の付け根とそこから出る繊維が密集する。それより下では比較的滑らかな樹皮が露出している。樹皮には輪状の葉痕がよく目立つ[4]

雌雄同株で大きな円錐花序をつけ、その先端部は雄花で、基部に雌花をつける。果実は熟すと30センチメートル (cm) 程にもなり、やや先がとがった楕円形で、緑色。その外側は丈夫な繊維を含む厚い層からなり、その内側に非常に固い殻に包まれた種子がある。果実は海水によく浮かび、遠距離への種子の散布が可能である。

ポリネシアから熱帯アジアが原産とされるが、現在では世界中の熱帯地方で栽培されている。
利用ココナッツ

非常に利用価値の高い植物で、世界各地で栽培される[4]。茎は材として用いられ、特にポリネシアなどの海洋の小島では唯一の材木となる場合もある。古代から近世までアラビア海・東アフリカ・インド貿易で利用された船(ダウ船)の建材として利用された。葉は屋根を葺き、あるいは繊維を編んで敷物やカゴなどに加工される。

果実はココナッツと言われ、主として食用になる。固い殻の内部の周縁部には固形胚乳の層があり、中心近くには液状胚乳が入っている。液状胚乳はそのまま飲用される。これは、熱帯では多くの場合に野外の生水は衛生的に危険なことから、非常に重宝される。1個の果実には約1リットルの液状胚乳ココナッツジュースが入っている。

胚乳はそのまま食べられるほか、ココナッツミルクナタデココなどに加工して料理にもよく使われる。また、これを乾燥させてコプラを作る。これは油分が多く、工業原料にもなる。

果実の皮からは繊維を取り出してロープやたわしなどができる。内側の固い殻は容器として用いられるほか、細工物にも使われる。熱帯地方の観光土産の定番である。
種子散布砂浜に漂着したココヤシの実
西表島・まるまの浜

果実は非常によく海水に浮かぶので、海に落ちれば海流に乗ってかなり遠方まで流され、砂浜に打ち上げられればそこで発芽することで分布を広げる。

日本にもしばしば漂着することで有名である。柳田國男渥美半島の浜辺に漂着したココヤシの実に触発されて南海からの文化伝達を論じ、『海上の道』を書いた。島崎藤村抒情詩およびそれに曲を付けた歌曲椰子の実』は、柳田から直接この話を聞いた島崎が触発されて作ったものである。
自生北限ココヤシの分布域。

日本では、鹿児島県奄美群島のごく一部と沖縄県東京都小笠原諸島以外の地域では冬の寒さのため自生できない。沖縄本島では、街路樹やホテルの庭園などに植栽されているが生育は良くない。近年は温暖化の影響もあり、奄美群島でも実をつけていると言う情報がある。

沖縄県宮古諸島伊良部島の渡口の浜や先島諸島西表島の北部海岸、小笠原諸島父島と母島、硫黄島、南鳥島で自生している。特に父島と母島には街中や民家の庭先に樹齢数十年を越える大きな株があり異国情緒を漂わせている。

耐寒温度は12℃といわれ、自生北限はケッペンの気候区分で熱帯気候と温帯気候の境界とされる最寒月平均気温18℃のラインとほぼ一致する。1981 - 2010年の平均値から推測すると、そのラインは父島から大東諸島を通り、宮古島から西表島の北方を横切る線となっている。
その他

各地で利用されるが、大きな果実が非常に高いところに生るので、それなりの苦労が必要になる。まず、果実を採りに行くのが大変な労働であり、木登りの技術は地元の人間にとって重要な能力となる。マレーシアタイでは、ブタオザルを調教してこの役割をさせる地方もある。クレーンの先にゴンドラのついたクレーン車などの機械を使って大量に収穫する方法もある。

他方、果実が自然に落下した場合は、人間などに当たれば大怪我をする。(ココナッツによる死も参照)。観光地では、熟した果実をあらかじめ落として回ることも重要な作業であるという。

なお、ヤシガニは木に登ってこの実を取ると誤解されていたことに由来する名前である。
画像

ココヤシ

ビーチのココヤシ

庭に植えられたココヤシ

ココナッツの幹

芽吹いたばかりのココヤシ

ココヤシの花


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