日本はおろか、現代のアジアでは同種の確認は他の多くの大型種同様、非常に稀である。日本では近年になるまで保護対象となることもなく、積極的な保護対策は取られずにきた。結果、2000年代に東京湾に迷入した個体や親子を含む雌4頭が定置網で混獲されて犠牲になった。1996には 北海道寿都郡で密猟されたと思われる死体が発見された[34]。市場から同種の肉が発見された事もある[37]。
絶滅していたと思われていたが、アジア系では初の水中撮影が1993年に伊豆大島で行われた[注釈 26]。この時の撮影は、同種の採餌行動を水中で鮮明に捉えたものでも世界初であった。伊勢湾・三河湾では1980年代より3度生存個体が確認されており、数ヶ月にわたる定着行動も見られた[注釈 27]。また、2010年に伊良湖岬近くの田原市赤羽根町沖で確認された若年個体が2012年に湾内に定着していた事も証明され[104]、アジア圏では初の定期的な回遊の記録となった。2009年に尾鷲沖で観察された幼鯨も同一の可能性がある[105]。
日本海では、2014年に新潟県長岡市の沿岸で確認され[106]、捕鯨時代以降、生存個体では日本初の記録である。
その他の注目すべき事例として、1982年に宗谷海峡で14頭が目撃され(1987年にも2頭目撃されている)、1989年には沿海地方で17-18頭の目撃がある(1987年にも2頭の目撃がある)[11]。
2011年にはアメリカ海軍の音響調査によって、東シナ海の沖合で、約2時間で最大11頭に匹敵する鳴き声が録音されている[42]。
ホエールウォッチングエル・ビスカイノ生物圏保護区における観察業
本種は、産業としてのホエールウォッチングの起源になった種類である。1950年代のサンディエゴ近郊にて、本種を対象としたツアーが漁師を中心に開催され始めたのがホエールウォッチングの草分けであるとされる[107]。
北米の沿岸ではホエールウォッチングが各地で行われており、人気のアトラクションになっている。
世界自然遺産のエル・ビスカイノ生物圏保護区では、クジラが自らボートに近寄ってきて人間との交流を楽しむ事が目立ち、人間とのスキンシップを積極的に行う場合が少なくない。そのため、ここでは(クジラが自ら寄ってくるという条件下に限定しているが)世界で唯一クジラに触れる事が法的に許可されている[28]。
飼育「J.J.」「ギギ」の搬入
コククジラは、ミンククジラやライスクジラ(英語版)[注釈 28]と同様に、ヒゲクジラ類では珍しく水族館で飼育された事例が存在する。
これまでに3例が存在し、3頭とも雌ですべてがシーワールド サンディエゴ(英語版)による飼育記録である。
1965年にスキャモン・ラグーン(英語版)にて捕獲計画が実行された。日本人の捕鯨業者が起用され、母鯨を殺して残された子供を捕獲した。この雌の子鯨は「ギギ[注釈 29]」と名付けられ、シーワールド サンディエゴに輸送された。しかし、捕獲の際の銛による傷と感染症に苦しみ、約二か月後に死亡した[109]。
1971年にやはりシーワールド サンディエゴで飼育するためにスキャモン・ラグーンにて捕獲が行われ、同じく雌の子供が捕獲された。その際、母鯨は子供を守ろうと暴れて何度も船を攻撃し、船が少し損傷したが、最終的には母鯨は逃げ去った。この雌は「ギギ2[注釈 30]」と名付けられ、シーワールド サンディエゴに輸送された。捕獲当時は体長が約5.5メートルだったが、一年間で急激に成長し、飼育設備が間に合わなくなったので放流されたが、親から引き離された子供の放流だったので、ギギ2が生存できたのかは不明である[109][110]。
1997年にマリナ・デル・レイに座礁した個体は、海へ戻す努力もされたが失敗し、母鯨も発見できなかったために飼育が決定された。この個体は衰弱していたが回復し、「J.J.」と名付けられ、シーワールド サンディエゴ にて14か月間飼育されて大きな話題と人気を誇った。しかし、成長に伴って飼育環境が限界を迎えたために、アメリカ沿岸警備隊の協力の下で放流された。放流時には体長が9.4メートル、体重が8.7トンに達しており、人類が飼育した生物では世界最大の個体である[111]。
画像
プエルト・アドルフォ・ロペス・マテオス(スペイン語版)にて
『だれもがクジラを愛してる。』の題材になった救出劇
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、コククジラに関連するメディアおよびカテゴリがあります。