なお、後述の通り現在確認されている「アジア系個体群」はカムチャッカ半島を経由して北米大陸にも回遊していることが判明しているため、チュクチ自治管区やワシントン州などで行われている原住民による「生存捕鯨」に絶滅危惧のアジア系個体群が影響を受ける可能性の有無については明らかになっていない。
分布夏季の回遊(クラークワット海峡)冬季の回遊(ロサンゼルス郡)
現在生存している北太平洋のコククジラは、アジア側の沿岸を回遊する西の系統(ニシコククジラ)と、北米側の沿岸を回遊する東の系統とに分かれる。北太平洋では、メキシコからカナダに至る北米大陸からアリューシャン列島を経て、ロシアからベトナム[41]に至る東アジアの沿岸などに分布する[3]。以前は北大西洋にも分布していた[3][5][6]。
基本的には大陸の沿岸に多いが、沖合や海洋島でも確認される事があり、東シナ海の沖合[42]や青ヶ島[43]やハワイ諸島などの比較的沿岸から距離が離れている島々でも目撃されている[44]。
上記の通り、オホーツク海から中華人民共和国の南部沿岸やベトナム[41]にかけて分布する(していた)個体群(ニシコククジラ)と、チュコト半島からカリフォルニア湾や北米大陸側のメキシコの沿岸にかけて分布する個体群に分かれる[5]。
なお、北米大陸の北太平洋岸からは鮮新世の化石が出土していない事から、現生種のコククジラはアジアで誕生した可能性が指摘されている[45]。 東の系統は、北米大陸やバンクーバー島やウランゲリ島やチュクチ自治管区などで採餌し、カリフォルニア州とメキシコの沿岸を繁殖場としている。 カリフォルニア州からアラスカ州の南東部にかけて、小柄で[22]他の大多数と異なり大規模な回遊を行わない「レジデント」が 200 - 300頭前後存在し、「PCFG[注釈 10]」として知られている[23]。これらの中には、バンクーバー島やピュージェット湾の沿岸で、北方への回遊の途中で3-5月まで滞在する少数の個体が存在し、通称「サウンダーズ[注釈 11]」と呼ばれている[46]。 以前はコルテス海や大陸側のメキシコの沿岸[注釈 12]にも定期的に回遊しており、1980年代までは2つの繁殖海域がソノラ州とシナロア州に存在したが、おそらくは人間による開発の影響で放棄されたとみられている[33][47]。
北米