コククジラ
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コククジラに限った話ではないが、絶滅危惧種にとってシャチの襲撃は脅威であり、2009年の時点で本種のアジア系個体群の全個体の約44%にシャチによる襲撃痕が確認されており、確認されている中では現在のヒゲクジラ類においてもっともシャチからの影響が重圧的である事例とされている[29]

他の大型鯨類への襲撃と同様に、シャチは集団で対象を狙うが、子鯨を狙っても母鯨の抵抗にあうため、捕食は容易ではない[30]。しかし、稀には健康な成獣が襲撃されることもあり、2023年にモントレー湾にて30頭のシャチの群れが2頭の成獣を約6時間にわたって攻撃しつづけ、結局は捕食に失敗したが、2頭とも負傷したとされる[30]

また、ザトウクジラはシャチの狩りを積極的に妨害して他の生物を守ることが確認されており、2012年の観察以降、シャチによるコククジラの狩りや殺害後の捕食を妨害した観察例が複数回報告されている[31][32]

商業捕鯨の禁止後は、人類による主だった脅威は少数民族による生存捕鯨、定置網への混獲、船舶との衝突、騒音、ゴミの誤飲、環境汚染とそれによる餌や生息地の減少[33]、などが挙げられているが、これらの他にも日本国内にて密猟と思わしき事例が数度記録されたり[34][35][36]、日本国内の市場から本種の肉が複数回発見されたこともある[37]。また、日本などでは「混獲」と称した疑似的な捕鯨によって絶滅危惧種が標的にされる危険性も存在し[38]、日本国内では混獲による死亡事例が相次いできた[39]。上記の密猟に関しても、本種だけでなくセミクジラシロナガスクジラなどの他の絶滅危惧種日本において密猟の対象にされる懸念が存在する[40]。また、日本では本種もふくめた絶滅危惧種の鯨類の管轄も環境庁ではなく農林水産省の範疇にあり、国内の自然保護の界隈でも鯨類などの保護は外国の思想の受け売りとみなされるなど軽視されてきた[39]

なお、後述の通り現在確認されている「アジア系個体群」はカムチャッカ半島を経由して北米大陸にも回遊していることが判明しているため、チュクチ自治管区ワシントン州などで行われている原住民による「生存捕鯨」に絶滅危惧のアジア系個体群が影響を受ける可能性の有無については明らかになっていない。
分布夏季の回遊(クラークワット海峡)冬季の回遊(ロサンゼルス郡

現在生存している北太平洋のコククジラは、アジア側の沿岸を回遊する西の系統(ニシコククジラ)と、北米側の沿岸を回遊する東の系統とに分かれる。北太平洋では、メキシコからカナダに至る北米大陸からアリューシャン列島を経て、ロシアからベトナム[41]に至る東アジアの沿岸などに分布する[3]。以前は北大西洋にも分布していた[3][5][6]

基本的には大陸の沿岸に多いが、沖合や海洋島でも確認される事があり、東シナ海の沖合[42]青ヶ島[43]ハワイ諸島などの比較的沿岸から距離が離れている島々でも目撃されている[44]

上記の通り、オホーツク海から中華人民共和国の南部沿岸やベトナム[41]にかけて分布する(していた)個体群(ニシコククジラ)と、チュコト半島からカリフォルニア湾や北米大陸側のメキシコの沿岸にかけて分布する個体群に分かれる[5]

なお、北米大陸北太平洋岸からは鮮新世の化石が出土していない事から、現生種のコククジラはアジアで誕生した可能性が指摘されている[45]
北米

東の系統は、北米大陸バンクーバー島ウランゲリ島チュクチ自治管区などで採餌し、カリフォルニア州メキシコの沿岸を繁殖場としている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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