コククジラ
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2018年の2月-3月にも同島で確認された[注釈 23]

アジア系の個体群(ニシコククジラ)は、日本列島における古式捕鯨の他にも、ユーラシア大陸における日本由来の商業捕鯨によって大量に捕獲されて壊滅したとされており[注釈 24]、その際に本種がもっとも捕獲されていたのは朝鮮半島だった[36]

朝鮮半島で日本の捕鯨業者によって捕獲された個体を測定した結果、胸ビレやヒゲ板、頭部のプロポーション等に北米系とは異なる特徴が見られたとされる。アジア系の個体数は、捕鯨以前の規模ですら北米系統よりは遥かに少なかったとする説が存在する[9][8][56]。その一方で、生息環境のデータなどから分析・推定された東アジア圏の環境収容力は、データが限定されていながらも、日本列島サハリンの南半分、千島列島などだけでも66,000頭以上とされており、これだけでも判明している限りは北太平洋全体の環境収容力の4割に達しており、データが得られなかった他の地域も合わせればこれ以上の個体数の生息が可能だったとされている[90]

現存するニシコククジラの何割が、純粋なアジア系の生き残りなのか北米系の個体群に由来しているのか、それとも両群の交配に由来するのかは不明である[95]混獲された個体や漂着個体などを解剖した結果、近年に中国日本の沿岸に出現してきた個体は北米側の個体群に由来する可能性および本来のアジア系群が実質的に絶滅した可能性も指摘されている[8][9][96]。また、個体数が激減したことによる近親交配の増加と遺伝的多様性の低下による悪影響も懸念されている[97]

なお、カムチャッカ半島の東岸などでは北米由来の個体が度々確認されてきたが、2010年以降、ニシコククジラの唯一の安定した生息域であるサハリンの北西部からカリフォルニア半島への回遊をする個体が複数存在すると判明しており、サハリンにおける個体数が急速に増加している[注釈 25]ことからも、近年の「アジア系」とされてきた個体には、北米の個体群に由来する個体が含まれている可能性が示唆されている[95]。しかし、本種を対象とした生存捕鯨が行われているカムチャッカ半島の北に位置するチュクチ自治管区に、アジア系の個体が回遊している可能性の有無などに関しては未知数である。

韓国および中国では、国家指定の保護動物に指定されてきたが、近年の同種の定期的な回遊を示す情報は存在しない。大韓民国では、大韓民国指定天然記念物にも「蔚山のコククジラ廻遊海面」が登録されており、賞金を付与する形式で目撃情報も募集されているが、1977年に蔚山広域市沖で2頭が目撃されて以降は確実な記録が存在していない[99]。しかし、2015年には三陟市で本種と思われるクジラの目撃が報告されている[100]

中国では、1933年から24件の記録が存在し、最新のものは1996年に黄海大連市荘河市に座礁した雌の成獣と、2011年の台湾海峡平潭県での雌の成獣の混獲である[96][101]ベトナムでは、1994年にハロン湾でサメと間違えられて殺された個体が、山田格などの協力の結果、コククジラと断定され、本種のベトナムでの分布を示す初の証拠となった[41]

日本はおろか、現代のアジアでは同種の確認は他の多くの大型種同様、非常に稀である。日本では近年になるまで保護対象となることもなく、積極的な保護対策は取られずにきた。結果、2000年代に東京湾に迷入した個体や親子を含む雌4頭が定置網で混獲されて犠牲になった。1996には 北海道寿都郡で密猟されたと思われる死体が発見された[34]。市場から同種の肉が発見された事もある[37]

絶滅していたと思われていたが、アジア系では初の水中撮影が1993年に伊豆大島で行われた[注釈 26]。この時の撮影は、同種の採餌行動を水中で鮮明に捉えたものでも世界初であった。伊勢湾三河湾では1980年代より3度生存個体が確認されており、数ヶ月にわたる定着行動も見られた[注釈 27]。また、2010年に伊良湖岬近くの田原市赤羽根町沖で確認された若年個体が2012年に湾内に定着していた事も証明され[104]、アジア圏では初の定期的な回遊の記録となった。2009年に尾鷲沖で観察された幼鯨も同一の可能性がある[105]

日本海では、2014年に新潟県長岡市の沿岸で確認され[106]、捕鯨時代以降、生存個体では日本初の記録である。

その他の注目すべき事例として、1982年に宗谷海峡で14頭が目撃され(1987年にも2頭目撃されている)、1989年には沿海地方で17-18頭の目撃がある(1987年にも2頭の目撃がある)[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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