ゲームソフト
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また、1977年にはコモドール社がCommodore PETというパーソナルコンピュータを発売し、そのPET用にも多くのゲームソフトが制作されていった(→List of Commodore PET gamesを参照)。Apple IIやPET用のゲームソフトの供給の形としては、カセットテープ(オーディオ用のカセットテープをデータ記録用に用いたもの)、フロッピーディスク、雑誌の誌面の文字などであった。

また1976年に日本でNECから発売されたTK-80という8080互換CPUのトレーニング用ボードでも、表示装置は8桁の7セグメントLEDしかなかったにもかかわらず、当時のコンピュータ・マニア(マイコン愛好家)たちはそんな表示装置だけでも遊べるゲームソフトをさっそく16進数機械語で書き始めた。さらに1977年11月にTK-80BSという拡張キットが発売されテレビ画面に表示ができるようになると、マニアたちは文字キャラクタ(文字フォント)を画面に表示することで簡素な図を表現して遊べるゲームを次々と制作、まもなくドットつまり画面上の黒くて小さな点単位で表示を制御してゲームを制作することも行い始め、1978年に世の中でスペースインベーダーが流行り始めるとマニアたちはまもなくそれの動作原理も解析し、機械語+BASICなどでプログラムを書きTK-80BSに移植した。

1978年にはシャープからMZ-80Kが発売され、同機用のゲームをマニアたちや企業などが制作し、誌面の印刷文字などで供給され1文字ずつ入力したり、カセットテープの形で供給でされたりした。

ゲームソフトウェアを文字入力する場合、それがどのようにユーザに届けられていたかというと、1976年には『I/O』というマイコン雑誌が創刊され、そこにコンピュータゲームのプログラムがBASICや16進数の機械語で書かれた状態で紙面に印刷され、マニアたちがそれを、1文字1文字、手で入力して遊ぶなどということがさかんに行われるようになっていた。1982年5月には日本ソフトバンク社(現:ソフトバンクグループ)からゲームソフトのソースプログラムも掲載した雑誌『Oh!MZ』が創刊(6月号)となった。

Apple II用ゲームソフト、Mystery House(1980年、Siera社より発売。1987年に権利者がパブリックドメインへと移行させた)。コマンド入力させ、行動を選択させる。

Mystery Houseの室内

Apple II用ゲームソフト、『プリンス・オブ・ペルシャ』(1989年、ブローダーバンド社より発売、Jordan Mechner制作)

黎明期のゲーム機用のゲームソフト

一方で1977年にAtari社から「Video Computer System」の名でゲーム機が発売され、ロムカートリッジの形(ROM、Read only memoryが入ったカートリッジ)でゲームソフトが販売された。1977年に『Indy 500』など9本、1978年に18本といった調子で数が増えていった(→List of Atari 2600 gamesを参照)。

1983年には任天堂から(初期のゲーム専用機としては第三世代とも位置づけられる)ファミリーコンピュータが発売され(世界的にはNintendo Entertainment System(NES)の名で販売が展開され)、そのゲームソフトはやはりロムカセットの形(Atari社のロムカートリッジと呼び方は異なっているが、基本的には同じ原理のもの)で販売された。本体発売時に発表されたのは『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』『ポパイ』の3本だけだったが、その後、年々、爆発的に数が増えていった(→ファミリーコンピュータのゲームタイトル一覧およびList of Nintendo Entertainment System gamesを参照。日本語版と英語版では、それなりにリスト内容が異なっている)。

Atari2600のゲーム画面

任天堂ファミリーコンピュータ用のゲームカートリッジ(ロムカセット)

ゲーム機用ロムカセットの内部(NINTENDO64用)

本来ソフトウェアは物理的な形を持たないが、ゲームコンソール用のゲームソフトに関しては、最初にロムカセットの時代があり、それにより「物」として販売するという慣習もできた。その結果として中古流通も盛んになった[注 1]。現在でもフリマアプリネットオークションなどで盛んに取引されている。

近年ではインターネット上のPlayStation Network(PSN)などでゲームソフトを選んでダウンロードして遊ぶということも盛んである。この形態の場合、中古で流通することはないので、開発会社や販売会社としては、いわゆる「とりはぐれ」のない形で収益を見込めるというメリットがある。なおPSNなどでもゲームソフトが無料で公開されている場合もある。新作が発表された時などには、旧バージョンをあえて一定期間無料で公開し、新作の需要喚起を行う、という販売手法もとられる。
パッケージ版

「ゲームソフト」と呼ばれていたにせよ、カートリッジ版のそれは、実は、純粋なソフトウェアではなく、かなりハードウェア的な要素も含んでいた。たとえばROMカートリッジ形態の場合、カードエッジコネクタでデータバス以外も接続し、ただのメモリ用のROMチップだけでなく、サウンド処理用LSI、ASIC、補助プロセッサなども内蔵されていた。ゲーム機本体をハードウェア的に補う役割も果たしていた。さらに、ファミコンやスーパーファミコンではプラットフォームの世代交代の直前の時期などには、ゲーム機本体よりも高性能なプロセッサが積まれることもあった。ものによっては、カートリッジ内に主処理を行うプロセッサ(メインプロセッサ)を搭載する製品もあった[1]

最初はコンピュータ用の一般的チップが使われることも多かったが、その後、簡単にソフトウェアをコピーされてしまうことを防止するために、さまざまな工夫をしてプロテクトをかけるということも多くなった。

初代ファミリーコンピュータ時代の「ゲームソフト」は、とても質素な紙箱、ゲームカートリッジと同じサイズか、せいぜい2倍程度のサイズの紙箱に入っていた。説明書も小さな紙切れのようなものであった。この時代はゲーム機にOSを搭載せず、ゲームデータとBIOS両方の役割をカセット内の基板に搭載させる傾向にあった。また、ゲームキューブまでのソフトの包装に紙が使用されているため、長期間販売するとパッケージが摩耗・劣化する問題もあった。光学ディスクによるゲームソフトの供給。PlayStationによってこの形のゲームソフト供給が活発になった。

その後、CD-ROM2からCD-ROMに記録された形で販売されるようになり、CD-ROMケースに入れた状態で(音楽CDの歌詞冊子と同じサイズの)取扱説明書が付属して販売されるようになった。CD-ROMで供給されたゲーム機は極めて多く、国内ハードでもCD-ROM2、SUPER CD-ROM2アーケードカード専用CD-ROM2ソフト、PC-FXメガCD3DOプレイディアネオジオCDピピンアットマークセガサターンPlayStationPlayStation 2が存在。CD-ROMをWindows用のインストールディスクとして扱われる傾向も増えた。

その後次第に、光ディスクの大容量化が行われたものの、DVD-ROMを正式に採用したゲーム機はPlayStation 2XboxXbox 360のみである。2006年でBlu-ray Discの規格が裁定された際、PlayStation 3(および、PlayStation 4)が採用し、2013年でXbox Oneもディスクの書き込み規格に特殊なプロテクトを搭載して採用された。2020年でPlayStation 5のソフトはUltra HD Blu-rayで販売されるようになった。

ゲーム特有の現象では無いが、本やCD、レコードなどと同様に熱中するゲームプレーヤーの本棚やクローゼットには、ゲームソフトのパッケージが並ぶことになり、ディスク化したことでソフトパッケージ本体のサイズも薄くなっている。ただし、Nintendo Switchは独自規格のカセットを採用したことで、ディスクパッケージよりもサイズを薄くしている。
ダウンロード版

最近では、ゲーム専用コンソールでも、インターネット経由のデジタル配信による販売が盛んである(ダウンロード販売またはオンラインソフトウェアとも)。
メリット

ユーザー側としては、デジタル配信なら、わざわざ時間をかけて実店舗に出向いて購入する手間も不要であるし、ネット通販のように商品が自宅に届くまで1?3日など待つ必要もない。PSNなどのサイトに接続し、ソフトウェアのリストを見て、気に入ったらすぐにダウンロードを開始することができるというメリットがある。次第にソフトの購入数が増えても、それらは全部ハードディスクの中におさまり、「物体」のパッケージは増えないので、部屋のスペースを余分にとらない、部屋がちらからないというメリットもある。

ゲーム開発会社やプラットフォーマー(つまりゲームプラットフォームを開発・販売しているソニー・インタラクティブエンタテインメント任天堂など)の側としても、サーバーにゲームソフトのデータを置いておけば、ユーザーたちがアクセスして、クレジットカードの番号なども入力して有料でダウンロードされるたびに確実に売上を計上できるので、とても便利な仕組みである。また、ダウンロード版販売の場合、メーカー側はディスクやそのパッケージなどの「物体」を大量に製造せずに済む。メーカーにとっては「物体」を大量に製造するというのは、悩みのタネである。というのは、製造するためには製造数を指定しなければならず(たとえば他社の工場で製造する場合は発注数量を明記した「注文書」の類を作成し(明示的であれ非明示的であれ)取引契約を結んだ形にしなければならないし、たとえば自社工場で製造する場合でも数量を明記した「製造指示書」の類を自社工場の管理部門に対して渡さなければならない)、つまり数量をあらかじめ指定しないと「物体」のゲームソフトの製造は始まらないのである。


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