『ハリウッド・レポーター』の報道によると、スコットは最初からプラマーをジャン・ゲティ役に起用する予定だったが、スタジオが大物俳優の起用を望んだため、スペイシーにオファーが出たのだという[21]。
再撮影は11月20日から29日にかけて行われたが、ローマやヨルダンでのシーンはセットで撮影された映像をスペイシー版の映像と合成することで撮影された[2]。新しい予告編が公開されたのは撮影最終日となった29日のことであった[22]。なお、再撮影には1000万ドルが費やされた[2]。再編集は夜を徹して行われ、劇場公開版が完成したのは12月7日のことであった[23]。
再撮影と出演料をめぐる騒動
監督のリドリー・スコットは当初「俳優の皆さんはただ同然で再撮影に協力してくれました」という主旨の発言をしていた[24]。しかし、2018年1月10日、ウォルバーグが再撮影に際し150万ドルのギャラを受け取っていたのに対し、ウィリアムズが1000ドル以下のギャラしか受け取っていないと報じられた[25]。ケヴィン・スペイシーのスキャンダルをきっかけのひとつとして「#MeToo運動」が盛り上がりを見せていた時期であり、男女間の賃金格差を象徴する一件として大きな注目を集めた[26]。2人のギャラに1000倍以上の相違が生じたのは、「米国外の配給会社が自分の興行実績を宣伝に利用する」と考えたウォルバーグが独自にギャラの値上げを交渉したためであった。公開日が間近に迫っていたこともあり、製作サイドはウォルバーグの要求を呑まざるを得なかったと報じられた[27]。報道で事実を知ったスコット監督は激怒したとも伝えられている[28][29]。また、ウォルバーグの出演契約には、共演者を拒否する権限が盛り込まれており、ウォルバーグ側がそれを活用してギャラの値上げ交渉を行ったことも非難を浴びた[30]。
ジェシカ・チャステインやジャド・アパトーらが自身のTwitterでこの問題に苦言を呈した[31][32][33]。また、事態を重く見た全米映画俳優組合は協定違反の有無を調査すると発表した[34]。
こうした批判を受けて13日、ウォルバーグとマネージメントを担当するWMEは「ミシェル・ウィリアムズの名義で、再撮影で得たギャラ150万ドルをTime's Up運動(当初#MeToo運動は、こう呼ばれていた)の基金に寄付する」と声明を発表した[35]。翌年3月にウォルバーグはインタビューで「自分の配慮が足らなかった」と認めている[36][37]。 当初は2017年12月22日に全米公開される予定だったが『グレイテスト・ショーマン』との競合を避けるため、12月25日に延期された[38]。11月16日にAFI映画祭でのプレミア上映を予定していたが[39]、前述のケヴィン・スペイシー問題により中止となっている。 2017年12月25日、本作は全米2074館で封切られ、公開初週末に558万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場7位となった[40]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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