ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
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歴史哲学』『美学』『宗教哲学』は、没後 弟子たち(ヘーゲル学派)により 講義と聴講生のノートとを中心に編纂されたものである[2]
生涯
幼少期1789年時点の神聖ローマ帝国。南西部の黄色部分がヴェルテンベルク公国。中小の領邦が分立している。シュトゥットガルトのヘーゲルの生家、 現在はヘーゲル博物館となっている

1770年8月27日神聖ローマ帝国[注釈 1]南西部に位置するシュヴァーベン地方ヴュルテンベルク公国[注釈 2]シュトゥットガルト(現在のドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州の州都)のエーバーハルトシュトラーセ53番地に居を構える中流家庭に生まれる[8][9]。父親はヴュルテンベルク政府の公務員だったゲオルグ・ルートヴィヒ・ヘーゲル(1733年-1799年)。母はマリア・マグダレーナ・ルイーザ・ヘーゲル(旧姓フロム、1741年-1783年)[10]。詳細は「ヴュルテンベルク公国」を参照

18世紀後期のドイツ社会はシュトゥルム・ウント・ドラングの時代に当たり、ゲーテ(1749-1832), シラー(1759-1805)フィヒテ(1762-1814)が活躍を見せた[11]。前年にコルシカではナポレオン(1769-1821)が誕生し、著名人にベートーヴェン(1770-1827)、詩人のフリードリヒ・ヘルダーリン(1770-1843)がいる。後年の生まれでは、哲学者のフリードリヒ・シェリング(1775-1854)が生まれている[12][13]

ヘーゲル家は16世紀にオーストリア領内のスタイエルマルク地方やケルンテン地方など山岳地方から逃れたプロテスタントが祖で迫害を逃れた移民にルーツがある。祖先はヨハネス・ヘーゲルという錫器の鋳造者だと言われ、一族には牧師や製造業者、市の書記など公務員に従事するものがいた[8]。父ゲオルグ・ルートヴィヒは収税局書記としてカール・オイゲン公に仕えていた。母マリア・マグダレーナは民会の役員を務めるフロム家の出身で、信仰篤く教養豊かな女性であった[10][13]

三人兄弟の長子で、弟はナポレオン戦争に従軍しロシア遠征中に戦死している。妹クリスティアーネとはとりわけ親密で、終生格別の強い絆をもっていた。 中産階級のプロテスタント的で堅実な家庭環境で幼少期を過ごすことになった[10][14]

進歩的な教育者であった母の影響も手伝って、学問の環境に恵まれ、5歳でラテン語学校に入り、文学・新聞・哲学などの書物を読みあさった[14]が、幼少期は病気がちで、天然痘で死に瀕したことがある[15]
ギムナジウム時代

1772年、第一回ポーランド分割がおこり、1776年アメリカ合衆国が独立を宣言した。思想家ジャン・ジャック・ルソーが1778年に没し、1786年にはプロイセン王国フリードリヒ大王が世を去る。カントがイギリス経験論と大陸合理論とを統一して『純粋理性批判』(1781年)を執筆し, 人間理性の活動とその範囲を明示し、近代科学の時代の扉を開いた[13][16]紀元前497/6年ごろ ? 406/5年に活躍したギリシア詩人ソポクレース
母と恩師、そして別れ

7歳から18歳までの教育課程としてギムナジウムに進学した[11]。ギムナジウムではレフラー先生をとりわけ尊敬していた。8歳のころ先生からの教示を受けたが、10-13歳にかけて新約聖書やキケロを教わり、ヘブライ語を学ぶなど薫陶を受けた。レフラー先生から8歳のときシェイクスピア全集をもらい読むなど大変な読書家で、感想なども多数書き残す[17]

1783年9月20日、ヘーゲルが13歳のころ、母マリア・マグダレーナが42歳にして世を去る。ヘーゲルは母への愛を晩年期まで思い慕うものであり、ヘーゲルが終生形作ったプロテスタントとしての堅実な人間性や考え方を母との暮らしの経験と記憶から受け継いだ[15]。1785年7月5日には生徒のために身をささげ、学問の価値を教えた尊敬するレフラー先生を失ってしまう[18]。ヘーゲルに多くの資質を与えた人々がいなくなった。

しかし、勉学に臨む意欲は沈まなかった。15歳ごろから歴史や法律、道徳などを広く学び、読んだ本や学んだことを事細かく要約し、抜粋し、自分の考え方や意見、反省点を日記としてノートにまとめ始め, 早くから大学での研究に適う学問的態度を身に着けていた[19][20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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