ケルビン
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歴史「熱力学温度」および「水#物理的性質」も参照単位名称の元となったケルビン卿

1848年、ケルビン卿は論文「絶対温度目盛りについて」(On an Absolute Thermometric Scale) で、infinite cold(絶対零度)を目盛りのゼロ点とし、温度間隔はセルシウス度と同じとする温度目盛りの必要性を説いた。ケルビン卿は、当時の気温計により絶対零度は?273 °Cに等しいと計算した[12]。この絶対目盛りは今日では「ケルビン熱力学温度目盛り」として知られている。ケルビンが算出した"?273"という数値は、氷点におけるセルシウス度あたりの気体の膨張率 0.00366 の逆数から求めたものであり、現在認められている値ともほぼ一致している。

1954年の第10回国際度量衡総会 (CGPM) の第3決議にて、水の三重点を正確に273.16ケルビンとする定義が採択された[13][14]

1967?1968年の第13回国際度量衡総会の決議3にて、それまでの単位名称「ケルビン度」(degree Kelvin)と記号 °K を改め、単位名称を「ケルビン」(kelvin)、記号を K とした[10][15]。そして、尺度ではなく単位であることを明示するために、決議4にて「熱力学温度の単位、ケルビンは、水の三重点の熱力学温度の1⁄273.16である」と定められた[16]

2005年、国際度量衡委員会 (CIPM) は、定義に使用する水の同位体組成についての補足を追加した[17]。これは、水の物理的性質は、厳密には、その同位体組成の違いによって異なるため、三重点を測定するための水について特定の同位体組成を指定する必要があるからである。ここで指定された水は、ウィーン標準平均海水(Vienna Standard Mean Ocean Water, VSMOW)と呼ばれるものであり、の厳密な物理的性質を計測する場合の国際標準物質となっているものである[18]

2007年、測温諮問委員会からCIPMに、それまでの定義では、20 K以下と1300 K以上で十分な計測ができない報告がなされた。測温諮問委員会では、それまでの水の三重点による定義よりも、ボルツマン定数を基準にした方がより良い温度の計量ができ、低温や高温での計測困難を克服できると考えた[19]。CIPMは、ボルツマン定数を正確に1.3806505×10?23 J/Kに固定することでケルビンを定義することを提案した[20]。CIPMは、この提案が2011年の第24回CGPMで採択されることを望んでいたが、第24回CGPMでは、この提案はSI基本単位全体の見直しの一部として考慮すべきとして、採択は2014年のCGPMに延期された[21]。第25回国際度量衡総会(CGPM)(2014年11月18?20日)においては、「提示されたデータは、新しいSIの定義を採択するには、十分頑強ではない」として[22]2018年に行われる次の第26回CGPMまで改訂を延期することとされた。また再定義のために必要となる基礎定数の新データは2017年7月1日までに論文として受け入れられたものでなければならないこととされた[23]

上記の基礎定数の新データ(複数)は、CODATAが評価して、SIの再定義に必要な精度を備えていることが確認されたので、CIPMはCGPMにおける決議案を2018年2月に決定した[24]

この決議案は2018年11月13?16日に開催された第26回国際度量衡総会の最終日である11月16日に決議承認された。このケルビンの定義変更を含む新しいSIは2019年5月20日に施行[25]された。科学的な視点では、この再定義により、温度の単位が他のSI基本単位と関連付けられ、どんな特定の物質からも独立した安定した定義を得ることができる。実際的な視点では、再定義の影響はほとんどない。日本の法令上は、計量法第3条の規定に基づく計量単位令(平成4年政令第357号)が、計量単位令の一部を改正する政令(令和元年5月17日政令第6号)により改正され、2019年5月20日に施行することにより変更された。
2019年までの定義

2019年までの国際単位系におけるケルビンの定義は以下の通りであった[16]。熱力学温度の単位、ケルビンは、水の三重点の熱力学温度の1/273.16である。補足:この定義は、下記の物質量の比により厳密に定義された同位体組成を持つ水に関するものである。

mol1H あたり 0.00015576 mol の 2H

1 mol の 16O あたり 0.0003799 mol の 17O

1 mol の 16O あたり 0.0020052 mol の 18O

熱力学温度以外の使用法
色温度詳細は「色温度」を参照「シュテファン=ボルツマンの法則」も参照

ケルビンは、光源の色温度の単位としても用いられる[26]。色温度は、黒体がその温度に応じた色の光を放射するという原理に基づく。約4000 K以下の温度の黒体は赤みがかって見え、約7500 K以上の黒体は青っぽく見える。画像投影と写真撮影の分野において、色温度は重要である。昼光用のフィルムの感光乳剤は約5600 Kの色温度が要求される。恒星のスペクトル分類ヘルツシュプルング・ラッセル図上の位置は、「有効温度」として知られる恒星の表面温度に基づいている。例えば、太陽光球は、5778 Kの有効温度を持つ。

デジタルカメラや画像編集ソフトウェアでは、編集や設定メニューで色温度(K)をよく使う。色温度が高くなると、画像は白または青っぽく見えるようになる。Kの値を小さくすると、画像は赤っぽく暖みのある色になる。
雑音温度詳細は「雑音指数」を参照


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