ケイローンはアポローンから音楽、医学、予言の技を、アルテミスから狩猟を学んだという。ケイローンはペーリオン山の洞穴に住み、薬草を栽培しながら病人を助けて暮らした。またヘーラクレースやカストールら英雄たちに請われて武術や馬術を教え、イアーソーンや[11][12]アクタイオーンを養育し[13]、アスクレーピオスには医術を授けた[12][14][15]。アキレウスの師でもあった。弓を持つケンタウロスのモチーフは知恵の象徴であるケイローンに由来している。
ヘーラクレースとケンタウロスたちとの争いに巻き込まれ、ヘーラクレースの放った毒矢が誤ってケイローンの膝に命中し、不死身のケイローンは苦痛から逃れるために、ゼウスに頼んで不死身の能力をプロメーテウスに譲り、死を選んだ。その死を惜しんだゼウスはケイローンの姿を星にかたどり、射手座にしたという[16]。
ダンテの『神曲』「地獄篇」第十二曲においてダンテ及びウェルギリウスと言葉を交わし、ネッソスに地獄の道案内をするよう命じた。
関係者
家族
クロノス - 父。馬に化けていたティーターンの王。(ゼウスたちとケイローンは異腹兄弟)
ピリュラー- 母。ニュンペー。恥と嫌悪感からケイローンを捨てる。
アポローン - 養父。竪琴、弓術、医学、占星術などを教える。(アポローンがゼウスの子であるため、叔父・甥の関係でもある。)
アルテミス - 養母。弓術と狩猟を教える。(アポローンの妹)
カリクロー - 妻
ヒッペー(Hippe) - 娘。こうま座の神話の一つに登場する。
エンデーイス(Endeis) - 娘
オクロエ(オシロエ)
著述家クセノポーンによると、ケイローンはアポローンとアルテミスから狩猟と猟犬について学び、それを生徒である英雄たちに教えたとされる[17]。クセノポーンは、ケイローンに学んだ英雄を次のように列挙している[18]。ビザンツ帝国では、ディオニューソスも弟子としている。
ケパロス
アスクレーピオス
メイラニオーン
ネストール
アムピアラーオス
ペーレウス
テラモーン
メレアグロス
テーセウス
ヒッポリュトス
パラメーデース
オデュッセウス
メネステウス
ディオメーデース
ディオスクーロイ
マカーオーン
ポダレイリオス
アンティロコス
アイネイアース
アキレウス
ギャラリー
「ケイーロンとアキレウス」(石棺の装飾。トラッチャ、カシリーナ邸、3世紀)
「ケイローンに対面するティーターン王とアキレウス」(バロワ美術館)
「ケイローンとアキレウス」(17世紀、ルーベンスの絵によるタペストリー)
ピエール・ピュジェ「アキレウスを導くケイローン」(1690年頃)
ヨハン・バルタザール・プロバスト