テレビアニメの草創期、分業システムは確立しておらず、虫プロダクションや東映動画では、作画から美術、撮影までの全工程を社内でこなす前提で出発した。しかし週に1本のスケジュールをこれまでのアニメ映画作りと同様の体制で行うことは過酷な労働へとつながり、様々な問題が生じた。スタッフから過労死まで出した『鉄腕アトム』では早くもスタジオ・ゼロ、大西プロなどに作画作業を発注している。その後、虫プロダクションからは、サンライズ、マッドハウス、アートフレッシュ、グループ・タック、ナックといったプロダクションが生まれた。東映動画でも長編映画時代のベテランスタッフが退社して、チルドレンズ・コーナー、トップクラフト、ハテナプロ、ネオメディア、日動新プロといったスタジオを設立。東映動画のテレビアニメを外注プロダクションとして支えた。草創期のプロダクションからは、さらにプロダクションが次々と生まれていく。
元請け会社の中には、外注スタジオとして誕生し、グロス請けで経験を重ねるうちに元請けにまで成長した会社も多い。演出家を抱える作画スタジオだった亜細亜堂、スタジオジュニオ、マジックバス、撮影会社だったぎゃろっぷ、トランス・アーツ、仕上げ会社だったスタジオディーン、イージー・フイルム、京都アニメーション、シャフト、スタジオ雲雀などである。プロデューサーなど制作管理スタッフが独立して作ったスタジオは、最初からグロス請けを行ったり、元請けとなったりする場合もある。
1990年代終盤になると、深夜帯に放送されるテレビアニメがOVA的なメディアミックスによるビデオリリースを前提として登場した。それらは13話程度の放送(1クール)が多いため、元請けの負担も小さくなっており、グロス請けを主にしていた制作会社が元請けとしてデビューする機会も増えてきた。 グロス請けという用語はその他に、映像業界・音楽制作業界などにも用いられる。意味はアニメ制作におけるものとほぼ似ているが、形態は業種によって異なる。 テレビドラマなどでは、『世にも奇妙な物語』のように、メインとなる制作会社(共同テレビ)の他に、東映(及び子会社のセントラル・アーツ)、日活、大映テレビ、東宝、カノックスなどの様々な映画会社や制作プロダクションなどに各回の制作を発注していたという事例がある。
その他の用法
脚注[脚注の使い方]^ 『呪術廻戦』と『鬼滅』、アニメを比べて見えた制作サイドの「決定的な違い」
^ 世界を虜にしたアニメ『鬼滅の刃』はどう作られたのか ufotableにしかできない作画とCGの融合 後編
表
話
編
歴
日本のアニメ制作会社(元請け・グロス請け)
1940年代
東映アニメーション子・正・開
トムス・エンタテインメント子・正
1950年代
スタジオ サインポスト子・準
1960年代
エイケン子・正
タツノコプロ子・正
BAKKEN RECORD
手塚プロダクション正
虫プロダクション
1970年代
旭プロダクション準
葦プロダクション正
亜細亜堂
ぎゃろっぷ正
バンダイナムコフィルムワークス子・正
サンライズ
シャフト